網膜剥離(もうまくはくり)について
国際的な診療ガイドラインに基づく
概要
網膜剥離とは、目の奥にある網膜(ものが見えるために必要な神経の膜)が、その下の組織からはがれてしまう病気です。はがれた部分は光を感じることができなくなり、そのままにしておくと視力が失われることがあります。早く見つけて治療すれば視力を守れることが多い病気です。
重要な事実
- 網膜剥離は失明につながる可能性がある緊急の病気です
- 最も多い症状は「飛蚊症(ひぶんしょう)」の急な増加、光が見える閃輝(せんき)現象、視野の一部が欠けることです
- 早く治療するほど、視力が回復する可能性が高くなります。片目でも症状が出たらすぐに受診しましょう
網膜剥離は決して多くはない病気ですが、日本では年間約1万人に1人が発症すると言われています。決して珍しくはなく、誰にでも起こりうる病気です。
特に40歳から60歳代の方に多く見られます。また、強い近視の人、目の外傷の経験がある人、家族に網膜剥離の人がいる場合、目の手術を受けたことがある人はリスクが高くなります。
症状
- 急に視力がほとんど見えなくなった
- 視野の半分以上が欠けて、黒い幕がおりたように見える
- 目をぶつけたあとに強い痛みや急激な視力低下がある
- こうした場合は、迷わず救急車(119番)を呼ぶか、すぐに眼科を受診してください
- ⚠飛蚊症が急に増えた
- ⚠目の前をキラキラした光が走る
- ⚠視野の一部が欠けて見える範囲が狭くなっている
一般的な症状
- 突然、黒い点や糸くずのようなものがたくさん見えるようになる(飛蚊症の急な増加)
- 光が走るように見える(光視症)、またはピカッと光る感じがする
- 視野の一部が黒い幕でおおわれたように見えない(視野欠損)
- 視力が急に落ちる、または物がゆがんで見える
子供の症状
- 子どもではなかなか自覚しにくいですが、「飛蚊症のようなものがある」「光が見える」と言ったり、目を細めたり、物にぶつかったりすることがあります
- 近視が強い子どもや、目のぶつけたりしたあとに起こることがあります
高齢者の症状
- 加齢に伴い眼球の中のゼリー(硝子体)が縮むことで網膜が引っ張られて剥がれることが多く、飛蚊症や光視症が最初の症状になりやすいです
- 高齢者は視力低下を「年のせい」と判断せず、急な変化を感じたら早めに受診してください
原因
主な原因
- 加齢が主な原因です。眼球の中の硝子体が縮んで網膜を引っ張り、網膜に裂け目ができると、そこから網膜がはがれます
- 目の外傷(けが)によって網膜が剥がれることがあります
- 強度近視の場合、眼球が引き伸ばされるため網膜が薄くなり剥がれやすくなります
リスク要因
- 年齢(40歳以上)
- 強度近視(マイナス6ジオプター以上)
- 家族に網膜剥離を発症した人がいる
- 目の外傷の既往
- 白内障などの目の手術を受けたことがある(特に手術後数年)
- 糖尿病や網膜の病気がある
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 飛蚊症が急に増えた
- 光が走って見える
- 視野の一部が欠けている
- 視力が急に落ちた
定期受診を予約すべき場合:
- 飛蚊症が少しあるが変化がゆっくりで、視野の欠けや光の閃きがない場合
- 心配な症状はないが、定期的に目の検査を受けたい場合
診断
眼科医による検査で診断されます。まず問診で症状を聞き、そのあと目を大きく開く点眼薬を使って目の内部を詳しく調べます。
行われる可能性のある検査
- 細隙灯顕微鏡(さいげきとうけんびきょう)という装置で目の内部を観察します
- 眼底検査で網膜や硝子体の状態を確認します
- 網膜の奥が見えにくい場合は、超音波(ちょうおんぱ)検査を行うことがあります
- 必要に応じて視野検査や光干渉断層計(OCT)などの精密検査を行います
診察で予想されること
検査の前に視力測定と眼圧測定を行います。瞳孔を開く点眼薬を入れますが、効果は数時間続き、まぶしく感じたり近くが見えにくくなったりします。検査後は眼帯をすることはほとんどありませんが、点眼薬の作用が完全に消えるまで車の運転は控えてください。
治療
網膜剥離は自然に治ることはなく、原則として手術治療が必要になります。剥がれた網膜を戻し、網膜の裂けた部分をレーザーや冷凍で閉じて、再発を防ぐことを目的とします。治療が早ければ早いほど、視力が保たれる可能性が高まります。
自宅でのセルフケア
- 医師から安静が必要と言われたら、安静にし、激しい動きや目をこすることを避けてください
- 手術後は医師の指示に従い、うつむき姿勢や安静を保つことがあります
- 痛み止めなどの市販薬を使う前に、必ず医師または薬剤師に相談してください
医療治療
網膜剥離の治療は手術が中心です。網膜にできた小さな裂け目に対しては、レーザー光線や冷凍凝固という方法で裂け目をふさぐ治療が行われることがあります。剥離が広い場合には、眼球の外側からシリコンのバンドを巻き付けて網膜を押さえる強膜バックリング術(きょうまくバックリングじゅつ)や、目の内部の硝子体を取り除く硝子体手術(しょうしたいしゅじゅつ)などが行われます。使用する器具や方法は目の状態によって医師が選びます。
手術が検討される場合
網膜に裂け目ができ、そこから剥離が進んでいる場合は、緊急の手術が必要です。裂け目だけでまだ剥離していない場合も、剥離を防ぐために早めのレーザー治療が検討されます。
この病気と共に生きる
手術後はしばらく安静が必要で、うつぶせの姿勢を保つことがあります。視力が完全に戻るまでには数週間から数か月かかることがあります。通院は眼科の指示に従ってください。
生活習慣のアドバイス
- 目をこすらない
- 激しいスポーツや重い物を持つことは、医師の許可があるまで控える
- 頭を強く揺らすような動作を避ける
- 手術後は、運転や高所作業は医師に確認してから行う
食事と運動
網膜剥離そのものに特別な食事療法はありません。ただし、糖尿病や高血圧などの基礎疾患がある場合は、それらの管理をしっかり行うことが網膜の健康にも役立ちます。運動は医師に相談したうえで、ウォーキングなど負担の少ないものから始めるといいでしょう。
精神的健康と心の健康
突然の視力低下や手術への不安は強いストレスになります。かっとして焦る気持ちになることもあるでしょう。無理をせず、信頼できる家族や友人に話を聞いてもらったり、医師に不安なことを質問したりして、心の負担を減らしてください。
予防
網膜剥離を完全に予防することはできません。しかし、リスクの高い人は定期的に眼科で検査を受けることが大切です。特に飛蚊症が急に増えた、光が見えるなどの症状が出たら、すぐに受診してください。また、目をぶつけるようなスポーツでは保護メガネの着用を検討しましょう。
ワクチン
網膜剥離を予防するワクチンはありません。
検診プログラム
強度近視の人や家族に網膜剥離の人がいる場合は、症状がなくても定期的な眼底検査を受けることをおすすめします。特に40歳を過ぎたら、年に1回は目の健診を受けましょう。
合併症
治療しない場合
- 網膜剥離を放置すると、はがれた部分の視細胞が機能を失い、視野欠損が広がります
- 時間の経過とともに黄斑(ものの中心を見る部分)まで剥離が進むと、中心視力が低下します
- 最終的には失明に至る可能性があります
- また、手術後に再発することもあります。再発を防ぐためには経過観察が欠かせません
長期的な見通し
網膜剥離は早く見つけて治療すれば、ほとんどの場合で視力の回復が期待できます。手術後の最終的な視力は、剥離の範囲や黄斑の状態によって異なりますが、多くの方が日常生活に支障のない視力を保つことができます。たとえ視力が完全に戻らなくても、適切な治療とリハビリで十分に生活していくことは可能です。希望を持って、医師と一緒に治療に取り組みましょう。
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健康ガイドラインは国や地域によって異なります。この記事の情報は国際的な臨床ガイドラインに基づいていますが、お住まいの国の具体的なガイドライン、薬、または診療慣行を反映していない場合があります。健康上の懸念は常にご自身の医師または医療提供者と相談し、利用可能な場合は地域の国家ガイドラインを参照してください。
重要なお知らせ この情報は教育目的にのみ提供されています。専門的な医療アドバイス、診断、治療に代わるものではありません。ご自身の状況については、常に資格を持つ医療専門家にご相談ください。医療上の緊急事態が発生した場合は、直ちに最寄りの救急医療サービスに連絡してください。
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情報源とガイダンス
この記事は教育目的で、利用可能な場合は認知された健康情報および臨床ガイダンスの情報源を参照して作成されています。具体的な情報源リンクはトピックによって異なる場合があります。
最終更新: 2026年7月31日
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