腸重積(ちょうじゅうせき)とは?
国際的な診療ガイドラインに基づく
概要
腸重積は、腸の一部が隣の腸の中に入り込んでしまう病気です。まるで、細いストローを太いストローの中に差し込んだような状態になり、腸の流れが詰まってしまいます。赤ちゃんや小さなお子さんに多い病気ですが、大人にも珍しくありません。
重要な事実
- 腸の一部が別の腸にめり込むように入り込むことで起こります。
- 放っておくと血流が悪くなり、腸の組織が傷んでしまうことがあります。
- 早期に見つければ、手術をせずに治療できることが多い病気です。
乳幼児では、生後6か月から18か月くらいの間にみられる代表的なおなかの病気のひとつです。大人ではあまり多くありませんが、起こることがあります。
特に1歳前後の乳幼児に多いです。男の子にやや多くみられます。大人では、10歳未満の子どもにも見られますが、多くは2歳未満の乳児です。
症状
- 赤いゼリー状の便が出ている
- 激しい腹痛で泣き叫びぐったりしている
- 意識がもうろうとしている
- 顔色が真っ青で、おう吐を繰り返している
- ⚠強い腹痛を繰り返す
- ⚠何度も吐く
- ⚠便に血液が混じっている
- ⚠機嫌が悪く、ぐったりしている
一般的な症状
- 元気だったのに突然、強い腹痛で泣き出し、しばらくするとケロッと治まることを繰り返す(間欠的な腹痛)
- 黄色い胃液のような嘔吐(おうと)
- 血が混じった便、またはイチゴゼリーのような赤い便
- 顔色が悪い
- ぐったりして元気がない
- おなかを触ると張っている
子供の症状
- 子どもは「おなかが痛い」と言葉でうまく伝えられず、激しく泣く、足を縮める、顔色が悪くなるなどのサインを示します。
- 泣いたりおさまったりを繰り返すことが多く、最初は便に異常がなくても、時間とともに赤いゼリー状の便が出ることがあります。
- 進行するとぐったりして、意識がもうろうとすることもあります。
高齢者の症状
- 大人では、おなかの痛みや吐き気、便秘などの症状が慢性的に続くことがあります。
- 症状があまりはっきりせず、診断が遅れることもあります。
- 繰り返す腹痛や血便に気づいたら、早めに相談することが大切です。
原因
主な原因
- 多くは原因がはっきりしません(特発性)が、風邪や感染性胃腸炎のあとなどに起こりやすいことが知られています。
- 腸のリンパ組織がはれ上がることで、腸の動きが乱れて入り込みやすくなると考えられています。
- 大人では、腸の中にできたポリープや腫瘍などの異常がきっかけになることがあります。
リスク要因
- 生後6か月から18か月までの乳幼児
- 風邪や胃腸炎の感染症にかかった直後
- これまでに腸重積を起こしたことがある
- 「腸かくだ」という腸の折りたたみが原因になることもあります
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 激しい腹痛を繰り返す場合
- 血便やゼリー状の便が出た場合
- ぐったりして元気がない場合
- 何度も吐く場合
定期受診を予約すべき場合:
- おなかの痛みや張りが続く場合
- 便に血が混じることが何度かある場合
- 原因がわからない嘔吐や下痢が続く場合
診断
医師は、あなたの症状やおなかの触診、そして超音波(エコー)検査やX線(レントゲン)検査などで診断します。問診では、症状の始まりや吐いたもの、便の様子を詳しく聞かれます。
行われる可能性のある検査
- おなかの触診(しょくしん)
- 超音波(エコー)検査
- X線(レントゲン)検査
- 空気や造影剤を入れて腸の状態を確認する注腸検査
診察で予想されること
診断が確定すると、専門の医師が治療方針を説明してくれます。緊急処置が必要な場合もあるため、小児科や外科、救急科の医師と連携して対応することが一般的です。
治療
治療の目的は、入り込んだ腸を元の位置に戻すことです。早期であれば手術をせずに治療できる可能性が高く、お子さんでは成功率も高いです。
自宅でのセルフケア
- 診断されるまでは、食事や水分を控えることがあります(おなかを休めるため)。
- 絶飲食を指示された場合は、医師や看護師の指示に従ってください。
- 痛みの波がおさまったからといっても、自己判断で食事を再開しないでください。
医療治療
一般的には、おしりから空気または造影剤を入れて、入り込んだ腸を押し戻す「注腸整復(ちゅうちょうせいふく)」という方法が行われます。これは、外科手術をせずに治療できる方法です。ただし、腸の状態や症状によっては、鎮静剤を使ったり、時間をおいて再度試みることもあります。
手術が検討される場合
注腸整復がうまくいかない場合や、腸の血流が悪くなっている場合、腸に穴があいている場合は、手術が必要になることがあります。手術では、入り込んだ腸を整復し、傷んだ部分があれば切除します。
この病気と共に生きる
治療がうまくいったあとは、多くの場合、数日で普通の生活に戻れます。ただし、再発することがあるため、しばらくはおなかの症状に注意してください。特に1週間以内は、同じような腹痛や嘔吐がないか観察を続けることが大切です。
生活習慣のアドバイス
- 治療後は、ゆっくりと水分や食事を再開し、様子をみながら元の量に戻しましょう。
- お子さんの場合は、普段どおり遊んでかまいませんが、体をぶつけるような激しい遊びはしばらく控えめにしましょう。
- 便の様子やおなかの張りに変化がないか、毎日チェックしましょう。
食事と運動
特別な食事制限はありませんが、治療直後は消化の良い食事を少しずつとると安心です。普段から食物繊維を適度に取り入れ、水分をしっかりとることもおすすめします。運動は、症状が落ち着いていれば問題ありません。
精神的健康と心の健康
子どもでは、治療中や入院中にぐずったり、不機嫌になったりすることがあります。そばで安心させることが大切です。大人でも、原因がはっきりしない痛みが続くと不安になることがあるため、不安な気持ちは遠慮なく医師や看護師に伝えましょう。
予防
特発性のものは、はっきりとした予防法はありません。ただし、感染症のあとに起こりやすいため、手洗いやうがいをこまめに行い、感染症を予防することが間接的な予防につながります。
ワクチン
この病気を直接予防するワクチンはありません。ただし、ロタウイルス胃腸炎が腸重積のきっかけになることがあるため、ロタウイルスワクチンなどの予防接種を受けることには意味があります。
検診プログラム
特に健康診断で行うスクリーニング法はありません。家庭で便の異常や腹痛の様子に気を配ることが、早期発見につながります。
合併症
治療しない場合
- 腸の血流が途絶え、組織が壊死(えし)してしまうことがあります。
- 腹膜炎というおなかの中の感染症を起こすことがあります。
- おなかの中に穴があく腸穿孔(ちょうせんこう)という重い合併症を引き起こすことがあります。
長期的な見通し
早期に見つかれば、注腸整復で治る可能性が高く、後遺症もまれです。再発することもありますが、適切な治療を繰り返すことで多くの人が元気に過ごせます。不安なことがあれば、いつでも医療者に相談してください。
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情報源とガイダンス
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最終更新: 2026年7月31日
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