天然痘(痘瘡)
国際的な診療ガイドラインに基づく
概要
天然痘は、痘瘡ウイルスが原因で起こる感染症です。かかると高熱と全身の水ぶくれのような発疹が現れます。かつては世界中で多くの命を奪いましたが、1980年に世界保健機関(WHO)が世界から根絶されたことを宣言しました。
重要な事実
- 天然痘を引き起こすのは「痘瘡ウイルス」というウイルスです。
- 1980年に世界保健機関(WHO)が根絶を宣言しました。
- 現在、自然に感染する症例は確認されていません。
- 昔はワクチン(種痘)で予防されていました。
- もし感染が疑われる場合は、すぐに医療機関へ相談することが大切です。
いいえ。1980年の根絶宣言以来、世界で自然に発生した天然痘の症例はありません。
かつては、ワクチンを受けていない人や免疫力が弱い人を中心に、子どもから大人まで幅広い年齢の人が発症しました。現在は自然感染がないため、特定の人がかかる病気ではありません。
症状
- 呼吸が止まりそうなほど苦しい
- 意識がもうろうとしている
- けいれんが止まらない
- ぐったりして呼びかけに反応しない
- ⚠高熱が続く
- ⚠発疹が全身に急速に広がっている
- ⚠水分をとれず、尿の量が少ない
- ⚠天然痘の患者と接触した可能性がある
一般的な症状
- 突然の高熱(38度以上になることが多い)
- 強い頭痛と全身のけん怠感
- 背中や筋肉の痛み
- 口の中に現れる小さな発疹
- 顔や腕、足など全身に広がる水ぶくれのような発疹
- 発疹が時間とともに膿(うみ)を持った状態になる
子供の症状
- 現在は自然感染例がありませんが、かつては子どもは成人に比べて高熱や発疹の症状が強く出やすく、水分不足(脱水)に注意が必要とされていました。
高齢者の症状
- 現在は自然感染例がありませんが、かつては高齢者では肺炎や脳炎などの合併症を起こしやすく、重症化するリスクが高いとされていました。
原因
主な原因
- 痘瘡ウイルスに感染することで起こります。
- せきやくしゃみ、会話などでうつる飛沫感染と、患者の体液や汚染された物に触れる接触感染で広がりました。
- 現在は自然に感染する原因となる場面はありません。
リスク要因
- 研究施設で痘瘡ウイルスを取り扱う人
- かつてワクチン接種を受けていない世代
- 免疫力が低下している人(過去の報告による)
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 高熱と同時に水ぶくれのような発疹が全身に現れた場合
- 天然痘患者と接触した可能性がある場合
定期受診を予約すべき場合:
- 感染症について不安や疑問がある場合
診断
現在は自然発生がないため、ふだんの診療で天然痘の検査が行われることはありません。もし感染が疑われる場合は、医師が症状や接触の状況を確認し、国が定める専門の検査機関で詳しい検査が行われます。また、感染が疑われる人は、感染を広げないために隔離の措置がとられます。
行われる可能性のある検査
- PCR検査(ウイルスの遺伝子を調べる検査)
- ウイルス分離検査(患者の体液からウイルスを取り出す検査)
- 血液検査(ウイルスへの免疫を調べる補助検査)
診察で予想されること
問診、触診、血液検査などが行われます。もし天然痘の可能性が高いと判断された場合は、本人や周囲への感染を防ぐため、専門の医療機関で隔離しながら診察が続けられます。
治療
天然痘は1980年に根絶され、今後も自然感染が起こる可能性は極めて低いと考えられています。しかし、万一発症した場合に備えた治療の研究は続けられています。治療の中心は、症状をやわらげる対症療法と、ウイルスの増殖をおさえる抗ウイルス療法の組み合わせです。
自宅でのセルフケア
- 体を十分に休める
- 水分をこまめにとる
- 発疹を清潔に保つ
- 薬は自己判断で使わず、医師の指示に従う
医療治療
治療は感染症を専門とする医師が、患者の重症度や体調に合わせて行います。解熱剤や痛みを和らげる薬など、症状に応じた薬が使われることがあります。また、ウイルスの増殖を抑える抗ウイルス薬を、入院して点滴や内服で使うことがあります。いずれも医師の指示のもとで行われるものです。
この病気と共に生きる
現在、世界で天然痘は根絶されており、日常生活の中でこの病気を気にする必要はほとんどありません。大切なのは、感染症全般について正しい知識を持ち、健康的な生活を送ることです。
生活習慣のアドバイス
- 手洗いを徹底する
- バランスのよい食事をとる
- 十分な睡眠をとる
- 体調が悪いときは無理をしない
食事と運動
天然痘に関して特別な食事制限や運動の制限はありません。普段から栄養バランスのよい食事を心がけ、無理のない範囲で体を動かすことが健康維持に役立ちます。
精神的健康と心の健康
新しい感染症のニュースが流れると、不安になることがあります。不安が強いときは、信頼できる情報源(国や自治体のホームページなど)から正確な情報を得るようにし、必要に応じて医療機関や相談機関に話を聞いてもらいましょう。
予防
天然痘はワクチンで予防できる病気でした。しかし、1980年の根絶宣言後は、世界中で定期の予防接種は行われていません。現在は、研究施設でウイルスを取り扱う人など、ごく限られた状況でワクチンが考慮されるだけです。
ワクチン
日本では現在、一般の方を対象とした天然痘ワクチンの接種は行われていません。研究や医療で特に必要とされる場合には、厚生労働省の方針と専門家の判断のもとで接種が検討されます。
合併症
治療しない場合
- 脳炎(脳の炎症)
- 皮膚の細菌感染による化膿
- 角膜の炎症による視力障害
- 肺炎や関節炎などの合併症
長期的な見通し
天然痘は人類の歴史上、唯一根絶された感染症です。世界保健機関の宣言以降、自然に感染する例はなく、万一の再興にも備えて研究と対策が続けられています。もし感染が疑われても、早期に報告・隔離・治療を行うことで広がりを防ぐことができます。正確な知識と冷静な行動が何より大切です。
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情報源とガイダンス
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最終更新: 2026年7月31日
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