SARS(重症急性呼吸器症候群)の基礎知識と対処法
国際的な診療ガイドラインに基づく
概要
SARS(重症急性呼吸器症候群)は、コロナウイルスの一種によって起こる、重い呼吸器の感染症です。発熱やせき、息苦しさなどの症状が現れ、重症化すると肺炎を引き起こすことがあります。感染力が強いのが特徴ですが、適切な対策で予防できます。
重要な事実
- 原因はSARSコロナウイルスというウイルスです
- せきやくしゃみのしぶき(飛沫)を吸い込むことで感染します
- 潜伏期間は通常2〜7日で、その後、発熱やせきなどの症状が出ます
日本ではほとんど発生していない、まれな病気です。2003年に世界的な流行がありましたが、現在は落ち着いています。
誰でもかかる可能性がありますが、感染者と身近に接する医療従事者や家族に感染が広がりやすいことが知られています。
症状
- 息苦しくて、座っていられない
- 唇の色が紫色になる
- 意識がぼんやりする
- 胸の強い痛みがある
- ⚠高熱が続く
- ⚠せきがひどくて眠れない
- ⚠水分がとれない
- ⚠症状が急に悪化した
一般的な症状
- 発熱(38度以上のことが多い)
- 息苦しさ
- 筋肉の痛み
- 下痢(一部の人に現れる)
原因
主な原因
- SARSはSARSコロナウイルスというウイルスによって起こります。感染した人のせきやくしゃみなどの飛沫(しぶき)を吸い込むことや、ウイルスが付いた手で目や鼻、口をさわることでうつります。
リスク要因
- 感染している人と長い時間、同じ部屋で過ごす
- 医療機関で働いている(特に感染者をケアする場合)
- 感染が流行している地域から帰国した人と接触した
- 高齢である
- 心臓や肺の持病がある
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 発熱やせき、息苦しさがあり、症状が少しずつ悪化している
- SARSが流行している地域から帰国し、その後に症状が出た
- 持病(心臓病、肺の病気など)がある人が症状を感じた
定期受診を予約すべき場合:
- 長引くせきや微熱がある
- 感染の可能性があるか心配で、検査を希望する
診断
医師が症状や渡航歴、周囲の感染状況を確認し、必要に応じて検査を行います。SARSが疑われる場合は、ほかの人にうつさないために、医師や看護師が感染防止の装備をして対応することがあります。
行われる可能性のある検査
- 鼻やのどから粘液を取って行うPCR検査
- 血液検査
- 胸部X線(レントゲン)検査
- 症状に応じて、血液の酸素濃度を調べる検査
診察で予想されること
検査結果がわかるまで、場合によっては隔離された部屋で過ごすことがあります。これはあなたのためではなく、周りの人への感染を防ぐための大切な措置です。結果が出る前に、医師は症状を和らげるための治療を始めることがあります。
治療
SARSには特別な治療法は確立されておらず、症状を和らげながら体の回復を助ける「対症療法」が中心になります。重症の場合は入院して、酸素を投与するなどの治療が行われます。
自宅でのセルフケア
- しっかり休養をとる
- 水分をこまめにとる
- 部屋を加湿して、のどの乾燥を防ぐ
- 栄養のある食事を心がける
- せきやくしゃみが出るときはマスクを着用し、周りの人にうつさないようにする
医療治療
医師は症状に合わせて、解熱薬やせきを和らげる薬、鼻炎の薬などを処方することがあります。また、細菌による二次感染を防ぐために抗生物質が使われることもありますが、ウイルスそのものに対する特別な薬は確立していません。重症の場合は、酸素吸入や人工呼吸器による呼吸管理が行われることがあります。
手術が検討される場合
SARSでは、手術による治療は通常行われません。
この病気と共に生きる
回復後は、多くの人が時間の経過とともに体力を取り戻します。ただし、しばらくはだるさやせきが続くことがあります。無理をせず、自分の体調に合わせて少しずつ活動量を増やしましょう。
生活習慣のアドバイス
- 十分な睡眠をとる
- ストレスをためない工夫をする
- 人混みを避け、体調が万全ではないときは外出を控える
- 室内の換気をこまめに行う
食事と運動
特別な食事療法はありませんが、たんぱく質やビタミンを意識したバランスのよい食事が回復に役立ちます。運動は、主治医と相談しながら、軽い散歩から始めるとよいでしょう。
精神的健康と心の健康
重い症状や隔離の経験は、不安や落ち込みを引き起こすことがあります。回復後も眠れない、気分が沈むといった症状が続く場合は、一人で抱え込まずに医師やカウンセラーに相談してください。もし今すぐ自分を傷つけたくなるような気持ちがある場合は、一人で悩まず、信頼できる人に話すか、救急医療(119番)や警察(110番)に連絡してください。
予防
感染自体は、飛沫感染と接触感染を防ぐことで対策できます。手洗い、咳エチケット(せきやくしゃみをするときは肘の内側やティッシュで口を覆う)、換気が基本です。
ワクチン
現在、SARSを予防する一般的なワクチンはありません。ただし、感染症の発生時には、健康観察や検疫などの公衆衛生上の対策がとられます。
検診プログラム
流行地域への渡航後、保健所や検疫所で健康状態を確認されることがあります。また、SARSが疑われる患者さんと接触した場合も、保健所から連絡が来て、健康観察の対象となることがあります。
合併症
治療しない場合
- 重症化すると、肺炎を起こすことがある
- 急性呼吸窮迫症候群(急性の呼吸不全)を起こし、命に関わることがある
- 回復後も、肺がかたくなる「肺の線維化」などの後遺症が残ることがある
長期的な見通し
SARSは多くの場合、早期に診断して適切な治療を受ければ回復が見込めます。感染力は強いですが、日本では現在ほとんど発生しておらず、予防と管理が可能な病気です。不安なことがあれば、遠慮なく医療機関に相談してください。
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健康ガイドラインは国や地域によって異なります。この記事の情報は国際的な臨床ガイドラインに基づいていますが、お住まいの国の具体的なガイドライン、薬、または診療慣行を反映していない場合があります。健康上の懸念は常にご自身の医師または医療提供者と相談し、利用可能な場合は地域の国家ガイドラインを参照してください。
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情報源とガイダンス
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最終更新: 2026年7月31日
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