肺線維症(はいせんいしょう)
国際的な診療ガイドラインに基づく
概要
肺線維症(はいせんいしょう)は、肺の組織が硬く厚くなり、空気を取り込む働きが悪くなる病気です。「線維(せんい)」という、のりのような組織が肺の中に増えることで、肺が柔らかさを失い、息切れやせきが続きます。
重要な事実
- 肺線維症は、ゆっくり進行する病気ですが、治療によって進行を遅らせることができます。
- 原因がわからない「特発性肺線維症」が最も多いタイプです。
- せきや息切れが続くときは、早めに医療機関を受診することが大切です。
肺線維症は、そこまで多い病気ではありませんが、まれな病気というわけでもありません。特に高齢の方で診断されることが多いです。
主に50歳以上の方、特に男性に多くみられます。喫煙歴のある方や、粉じん・化学物質を吸う仕事をしていた方に多いとされています。子どもにも報告がありますが、非常にまれです。
症状
- 突然、激しい息苦しさで立っていられない
- 顔色が青白い、唇が紫色になる
- せきと一緒に大量の血を吐く
- 意識がもうろうとする
- ⚠息苦しさが急に悪化して、話すこともつらくなった
- ⚠熱が出て、せきやたんが増えた(感染症の可能性)
- ⚠胸の痛みがある
- ⚠日常生活ができないほどの息苦しさがある
一般的な症状
- 動いたときに息切れする
- からだを動かしていないときにも続くせき
- 疲れやすくなる
- 指の先が太くなる「ばち指」がみられることがある
原因
主な原因
- 原因がわからない「特発性肺線維症」が最も多いとされています。
- リウマチや強皮症などの自己免疫疾患(体が自分自身を攻めてしまう病気)が関係することがあります。
- アスベスト(石綿)、粉じん、カビなどの有害な物質を吸い込むことが原因になることもあります。
- 一部の薬や胸部への放射線治療の影響で起こることもあります。
リスク要因
- 50歳以上であること
- 喫煙歴があること
- 家族に肺線維症の方がいること(遺伝的な要素)
- 粉じんや化学物質に長期間さらされる仕事や環境で過ごしたこと
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 息切れが数日のうちに悪化する、または胸の痛みを伴う場合は、すぐに医療機関に連絡してください。夜間・休日は、救急外来や救急相談電話(#7119)を利用しましょう。
定期受診を予約すべき場合:
- 「階段を上がると息切れがする」「せきが1か月以上続く」など、気になる症状があれば、かかりつけ医に相談してください。必要に応じて、呼吸器内科の専門医を紹介してもらえます。
診断
問診で症状、喫煙歴、仕事の環境などを詳しくお聞きします。聴診器で呼吸の音を確認し、呼吸機能検査や胸部の画像検査を行います。診断には、呼吸器内科の専門医の判断が必要です。
行われる可能性のある検査
- 胸部X線・CT検査(肺の状態を画像で詳しく確認する)
- 呼吸機能検査(肺の空気を吸ったり吐いたりする働きを測定する)
- 血液検査(炎症や自己免疫疾患の手がかりを調べる)
- 必要に応じて、気管支鏡検査や肺の組織を一部取って調べる検査
診察で予想されること
診断までに時間がかかることがあります。肺線維症と似た症状の病気を除外しながら、少しずつ確認を進めていきます。専門的な検査が必要な場合、大きな病院を紹介されることもあります。
治療
肺線維症は、すでに硬くなった肺を元どおりにする治療法は限られていますが、進行をゆるやかにする治療や、症状をやわらげる治療があります。治療の目的は、呼吸のつらさを減らし、その人らしい日常生活を長く続けられるようサポートすることです。
自宅でのセルフケア
- 禁煙する(本人だけでなく、周りの方も協力して分煙してください)
- インフルエンザや新型コロナなどのワクチン接種を医師と相談して検討する
- 手洗いやマスクなど、感染症予防を習慣にする
- 無理のないペースで体を動かし、疲れすぎないようにする
医療治療
呼吸器内科の医師が中心となって治療計画を立てます。肺の炎症を抑える薬や、肺の線維化を抑える薬などが使われることがあります。酸素が不足している場合は、在宅酸素療法(自宅で酸素を吸う治療)が検討されます。また、肺のリハビリテーションも息切れの改善や体力維持に役立ちます。具体的な薬の名前や使い方は、必ず医師・薬剤師に確認してください。
手術が検討される場合
薬の治療だけでは進行を抑えられない場合や、状態が重い場合には、肺移植の可能性について専門の病院と相談することがあります。肺移植は、年齢や全身状態などを考慮して慎重に判断されます。
この病気と共に生きる
息苦しさを減らすために、動作をゆっくりにする、物を手の届くところに置く、無理のない階段の使い方を工夫しましょう。日常生活のペースを調整し、「これならできた」という感覚を大切にすることが、こころの安定にもつながります。
生活習慣のアドバイス
- 禁煙を続ける
- 呼吸法(口すぼめ呼吸など)を学ぶ(専門家の指導を受けると安心です)
- 感染症予防を習慣にして、せきやたんの変化に注意する
- ゆっくり話す、こまめに休憩するなど、息切れを避ける工夫をする
食事と運動
バランスのよい食事で栄養をとり、体力を維持することが大切です。食事中に息切れしやすい場合は、1回の量を少なくして何回かに分けて食べると楽になることがあります。運動は医師の許可のもと、肺リハビリテーションなどの安全な環境で行いましょう。
精神的健康と心の健康
息苦しさや将来への不安から、落ち込みやすくなったり、眠れなくなったりすることがあります。それを一人で抱え込まず、医療チームにこころのつらさを伝えたり、家族や友人に気持ちを話したりしてください。必要に応じて、こころの専門家につなぐこともできます。
予防
原因がわからない特発性肺線維症は、完全に予防する方法はまだありません。しかし、禁煙をすることや、有害な粉じん・化学物質にさらされる環境を避けることは、発症や進行のリスクを減らすために重要です。
ワクチン
肺炎やインフルエンザ、新型コロナウイルス感染症のワクチンは、感染症にかかったときの重症化を減らす効果が期待できます。接種するかどうか、時期や種類についてかかりつけ医に相談してください。
検診プログラム
健康診断の胸部X線検査で、肺の異常がみつかることがあります。息切れやせきなどの症状がある場合は、健康診断を待たずに医療機関を受診しましょう。
合併症
治療しない場合
- 呼吸不全(肺で十分な酸素を取り込めなくなる状態)
- 肺炎などの感染症にかかりやすくなり、重症化しやすい
- 肺高血圧症や心不全などの合併症
- 活動量の低下による筋力低下や、寝たきりのリスクが高まる
長期的な見通し
肺線維症の進行の速さは人によって大きく異なります。治療によって進行をゆるやかにし、安定した生活を長く続けている方もたくさんいます。診断後も、医師や医療チームと相談しながら、自分に合った療養方法を見つけて、希望を持って日々を過ごすことが大切です。
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必ず医師に確認してください
健康ガイドラインは国や地域によって異なります。この記事の情報は国際的な臨床ガイドラインに基づいていますが、お住まいの国の具体的なガイドライン、薬、または診療慣行を反映していない場合があります。健康上の懸念は常にご自身の医師または医療提供者と相談し、利用可能な場合は地域の国家ガイドラインを参照してください。
重要なお知らせ この情報は教育目的にのみ提供されています。専門的な医療アドバイス、診断、治療に代わるものではありません。ご自身の状況については、常に資格を持つ医療専門家にご相談ください。医療上の緊急事態が発生した場合は、直ちに最寄りの救急医療サービスに連絡してください。
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情報源とガイダンス
この記事は教育目的で、利用可能な場合は認知された健康情報および臨床ガイダンスの情報源を参照して作成されています。具体的な情報源リンクはトピックによって異なる場合があります。
最終更新: 2026年7月31日
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