良性発作性頭位めまい症(BPPV)
国際的な診療ガイドラインに基づく
概要
良性発作性頭位めまい症(BPPV)は、耳の奥にある「耳石(じせき)」という小さなかたまりが、本来あるべき場所から外れて、頭を動かしたときにめまいを起こす病気です。「良性」という名前の通り、命にかかわるような病気ではありませんが、めまいがすると「何か重い病気になったのでは」と不安になることもあります。
重要な事実
- 頭を動かすと、数秒から1分以内の回るようなめまいが起こります。
- めまいは、ベッドで寝返りをうつ、顔を洗うために前かがみになるなどの動作で起こりやすいです。
- 命に危険はありませんが、転倒のリスクがあるので注意が必要です。
- 耳鼻咽喉科で、耳石の位置を戻す治療(耳石置換法)が行われ、多くの場合よく改善します。
はい、BPPVは成人で最も多いめまいの原因のひとつと言われています。めまいで医療機関を受診する方の中でも、この病気が占める割合は大きいです。
誰にでも起こる可能性がありますが、特に40歳以上で、女性にやや多いと報告されています。高齢者では転倒をきっかけに骨折などが心配されるため、注意が必要です。
症状
- 意識がもうろうとする
- ろれつが回らない
- 顔や手足のまひがある
- 突然の激しい頭痛
- 胸の痛み・呼吸困難
- これらの症状がめまいと一緒に出た場合、脳卒中や心臓の病気の可能性があるため、すぐに119番に電話してください。
- ⚠めまいが何時間も続く
- ⚠強い耳鳴りや難聴を伴う
- ⚠立っていられないほどのめまい
- ⚠発熱やまとまりのない話し方がある
- ⚠頭部を打ったあとにめまいが出た
一般的な症状
- 頭を動かしたときに起こる、ぐるぐると回るようなめまい
- めまいは数秒から長くても1分以内で治まることが多い
- 吐き気や嘔吐
- めまいが治まったあとの、ふらつきや浮いたような感じ
- めまいが起こったときに、目の動きがそろわなくなる「眼振(がんしん)」
子供の症状
- 小児ではあまり一般的ではありませんが、起こることがあります。
- 子どもはめまいをうまく言葉で説明できないことがあるため、「頭を動かすのを嫌がる」「体がふらっとする」などの変化に気づくことが大切です。
高齢者の症状
- 高齢者ではめまいによる転倒のリスクが高く、骨折の原因になることがあります。
- ふらつきが続いて、歩くことや階段の昇り降りが不安になることもあります。
原因
主な原因
- 耳の奥の三半規管に、耳石という小さな炭酸カルシウムのかたまりが迷い込むと考えられています。
- 耳石が、頭の動きを感じるセンサー(有毛細胞)を刺激することで、実際には頭が動いていないのに動いたと脳が誤って認識し、めまいが起こります。
- 原因がはっきりしないことも多いですが、頭部のけがや感染がきっかけになることがあります。
リスク要因
- 加齢(年をとると耳石がはがれやすくなります)
- 女性にやや多いという傾向があります
- 頭部のけがの経験
- 長期間の安静(ベッドで寝ていることが多い状態)
- ビタミンD不足や、骨粗しょう症との関連を指摘する報告もありますが、まだ十分にはわかっていません
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- めまいと一緒に、意識障害やまひなど前述の「緊急」の症状がある場合は、ただちに救急車を呼んでください。
- めまいが強くて歩けない、自分で動けない場合は、無理をせず、人に助けを求めて医療機関を受診しましょう。
定期受診を予約すべき場合:
- めまいが何度も繰り返す
- めまいのため日常生活や仕事に支障が出ている
- めまいに吐き気や耳鳴り、難聴が伴う場合も早めに受診しましょう。
診断
診断は主に、あなたの症状の話(問診)と、体の向きを変えてめまいを再現する検査によって行われます。このとき、めまいと一緒に現れる目の動き(眼振)を観察することで、どの三半規管に問題があるかを調べます。
行われる可能性のある検査
- Dix-Hallpike法(ディックス・ホールパイク法):医師があなたの頭を特定の方向へ動かし、めまいと眼振が出るかを見る検査です。
- 眼振検査:めまいを起こす頭の位置で、目の動きを詳しく観察します。
- 必要に応じて、頭部CTやMRI、聴力検査が行われることもあります。これは、めまいを起こすほかの病気(脳や内耳の病気など)を区別するためです。
診察で予想されること
診察では、胸の上で横になるなど、いくつかの姿勢をとってもらいます。検査中にめまいが起こることがありますが、通常は数十秒で落ち着き、安全に行える方法です。痛みはありませんので、安心して医師の指示に従ってください。検査のあとは、めまいを誘発する可能性があるため、1人で車を運転して帰るのは避けた方がよい場合があります。医療機関に確認しましょう。
治療
BPPVの治療の中心は、耳石を三半規管の外に戻すための「耳石置換法」と呼ばれる、先生が行う簡単な頭や体の動きです。多くの場合、この方法でめまいは改善します。また、吐き気などの症状をやわらげるための薬が使われることもありますが、めまいそのものを治す薬ではありません。
自宅でのセルフケア
- めまいが起こる頭の動き(寝返り、前かがみなど)を、少しの間避けるようにしましょう。
- 朝起きるときは、まず横になったまま顔を横に向ける、次にゆっくり体を起こすなど、段階的に動くとめまいを避けやすくなります。
- めまいがしているときは、無理に歩かず、安全な場所で座ったり横になったりしてください。
- 冷たい水を飲んだり、バランスのよい食事をとったり、水分をしっかり補給しましょう。
医療治療
医療機関では、医師があなたの頭を動かして耳石を元の場所に戻す「耳石置換法」が行われます。これは薬を使わない治療法で、特にめまいが強く出る姿勢を判断して、それに合わせて行われます。また、吐き気やめまいの症状を一時的にやわらげるお薬が処方されることもありますが、必ず医師の指示に従って使ってください。さらに、慢性のふらつきに対しては「前庭リハビリテーション」と呼ばれる目の動きや体のバランスを改善する運動療法が行われることもあります。
手術が検討される場合
BPPVに対して手術が行われることは非常にまれです。耳石置換法を何度行っても改善しない、ほかの治療が効かない場合に、耳鼻咽喉科の専門医が最終的に手術を検討することがあります。しかし、ほとんどの方は手術を必要としません。
この病気と共に生きる
めまいが出やすい動作をあらかじめ知っておき、それをゆっくり行うか、避けることで日常生活を安全に送れます。たとえば、寝起きの時に急に体を起こさない、高い棚の物を取るときに頭を後ろに反らしすぎないなどを心がけましょう。また、めまいが起こったときに落ち着いてしゃがめるよう、周囲の片づけをしておくと安心です。
生活習慣のアドバイス
- 規則正しい生活を心がけ、睡眠をしっかりとるようにしましょう。
- ストレスはめまいを感じやすくすることがあります。自分なりのリラックス方法を見つけましょう。
- 寝室の照明を足元がよく見える程度にし、夜中にトイレに立つときも安全に動けるようにしましょう。
- 頭部を打つようなスポーツや、急に頭を振る動作は慎重に行いましょう。
食事と運動
特別な食事制限はありませんが、バランスのよい食事と適度な水分補給を心がけてください。めまいがない時の無理のない運動は、全体的な健康に役立ちます。ただし、めまいが強いときや、めまいが出やすい時期は無理をせず、まずは安静にしてください。再発を予防するという目的で、ビタミンDやカルシウムの適切な摂取が役立つかもしれないという報告もありますが、サプリメントは医師に相談してからにしましょう。
精神的健康と心の健康
めまいは突然起こるため、「また起きたらどうしよう」という不安や恐怖を感じることがあります。また、長く続くと食欲が落ちたり、気分が沈んだりすることもあります。これは自然な反応です。一人で抱え込まず、家族や友人、医療機関に気持ちを伝えてください。必要に応じて、心のケアも受けることができます。
予防
BPPVを完全に予防する方法はまだわかっていませんが、頭部を強く打たないようにする(シートベルトやヘルメットの着用など)、急な頭の動きを避ける、健康的な生活習慣を送ることで、リスクを減らせる可能性があります。
合併症
治療しない場合
- めまいによる転倒で、骨折や頭部のかすり傷などのけがをすることがあります。
- めまいを怖がって動かなくなり、筋力低下や、さらにめまいを感じやすくなることがあります。
- めまいの原因がほかの病気だった場合に、その診断が遅れる可能性があります。
長期的な見通し
BPPVは、適切な治療を行うと多くの場合、数日から数週間で症状が改善します。また、治療をしなくても自然に治ることもあります。ただ、再発することもあるため、もし再びめまいが出たとしても、また治療を受ければよくなるので、安心してください。めまいで生活が制限される必要はありません。医療機関と一緒に、安全で快適な生活を目指しましょう。
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必ず医師に確認してください
健康ガイドラインは国や地域によって異なります。この記事の情報は国際的な臨床ガイドラインに基づいていますが、お住まいの国の具体的なガイドライン、薬、または診療慣行を反映していない場合があります。健康上の懸念は常にご自身の医師または医療提供者と相談し、利用可能な場合は地域の国家ガイドラインを参照してください。
重要なお知らせ この情報は教育目的にのみ提供されています。専門的な医療アドバイス、診断、治療に代わるものではありません。ご自身の状況については、常に資格を持つ医療専門家にご相談ください。医療上の緊急事態が発生した場合は、直ちに最寄りの救急医療サービスに連絡してください。
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情報源とガイダンス
この記事は教育目的で、利用可能な場合は認知された健康情報および臨床ガイダンスの情報源を参照して作成されています。具体的な情報源リンクはトピックによって異なる場合があります。
最終更新: 2026年7月31日
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