多発性筋炎(ポリミオシチス)とは
国際的な診療ガイドラインに基づく
概要
多発性筋炎は、自分の免疫が誤って筋肉を攻撃し、全身の筋肉に炎症が起こる病気です。特に首や肩、腕の付け根、太ももなど、体の中心に近い筋肉が弱くなり、日常生活の動作が難しくなることがあります。
重要な事実
- 筋肉に炎症が起こり、左右対称に力が入りにくくなります。
- 原因ははっきりしていませんが、免疫の異常が関わっているとされています。
- 治療により症状がよくなることが多く、早期診断・早期治療が大切です。
まれな病気で、10万人に数人程度とされています。日本では難病に指定されている疾患のひとつです。
大人、特に40~60歳の女性に多くみられます。子どもにみられることはまれですが、その場合はより注意深く診察されます。ご高齢の場合、ほかの病気に合併することもあります。
症状
- 呼吸が苦しくて、息がしにくい(この場合は119番へ)
- 胸の強い痛みがあり、動けない(この場合は119番へ)
- 突然、立つことや歩くことができなくなる(この場合は119番へ)
- 食物をのどに詰まらせて、窒息しそうになる(この場合は119番へ)
- ⚠数日の間に筋力が急激に落ち、日常生活が難しくなった
- ⚠尿の色が赤茶色やコーラ色になる(筋肉の細胞が壊れている可能性)
- ⚠強い筋肉の痛みや全身の脱力感がある
一般的な症状
- 肩や腕を上げにくい(洗髪や物を棚にしまう動作が難しい)
- いすや床から立ち上がりにくい
- 階段を上りにくい
- 筋肉に痛みや圧痛がある
- 全身の疲れやすさ
- 首の筋肉が弱く、頭を起こしにくい
- 飲み込みにくさ(飲食物が喉につまる感じ)
子供の症状
- 動作が遅れる、転びやすいなど、筋力低下のサインがみられます。
- 歩きたがらない、階段を嫌がるなど、普段と違う様子があります。
- 発熱や全身の倦怠感を伴うこともあります。
高齢者の症状
- 筋力低下が老化のせいと思われ、発見が遅れることがあります。
- 転倒や骨折のリスクが上がります。
- 飲み込みにくさによる誤嚥(食べ物やつばが気管に入ること)に注意が必要です。
原因
主な原因
- 免疫の働きに異常が起こり、自分の筋肉を攻撃してしまうことが原因とされています。
- 正確な原因はまだわかっていませんが、遺伝的な体質に何らかの環境要因(感染やストレスなど)が加わって発症すると考えられています。
- 一部の薬によって筋肉の炎症が引き起こされることもありますが、その場合は薬をやめることで改善することがあります。
リスク要因
- 家族に同じ病気の人がいる場合(まれ)
- ほかの自己免疫疾患(関節リウマチや全身性エリテマトーデスなど)がある
- ある特定の体質(HLA型)を持っている
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 数週間以上続く手足の筋力の低下がある
- 物が飲み込みにくい、ろれつが回らない
- 日常生活の動作ができないほど疲れやすい
定期受診を予約すべき場合:
- 朝起きたときに筋肉がこわばる、あるいは痛む
- 階段の上り下りや立ち上がりの動作が以前よりつらい
- 新しい薬を飲み始めた後に筋肉の違和感がある
診断
診断は、問診と身体診察に加えて、血液検査や筋電図、筋肉の画像検査、筋肉の生検(一部を採取して顕微鏡で調べること)などを組み合わせて行います。
行われる可能性のある検査
- 血液検査(筋肉の酵素や炎症の程度を調べます)
- 筋電図検査(筋肉と神経の電気的な働きを調べます)
- MRI検査(筋肉の炎症の分布を画像で確認します)
- 筋肉生検(筋肉の一部を採取し、顕微鏡で確認します)
診察で予想されること
診断確定には数週間かかることがあります。また、診断や治療は神経内科やリウマチ科などの専門医が行うため、必要に応じて専門の医療機関を紹介されます。
治療
治療の中心は、免疫の働きを抑えて筋肉の炎症をしずめる薬物療法です。並行して、筋肉の力を維持・回復するためのリハビリテーションがとても大切です。
自宅でのセルフケア
- 無理をしすぎず、ゆっくり休む時間をとる
- 転ばないように、手すりや滑りにくい靴などを活用する
- 飲み込みにくいときは、食事を小さく切り、ゆっくり食べる
- 体を冷やさないようにして、筋肉のこわばりをやわらげる
医療治療
一般的には、まず免疫の働きを抑えるお薬が使われます。症状によっては、免疫グロブリン療法や血漿交換療法といった治療が行われることもあります。お薬の種類や量は症状や体質に合わせて専門医が調整しますので、必ず医師の指示に従ってください。
手術が検討される場合
この病気に対して手術を行うことはほとんどありません。ただし、飲み込みに関する問題が重い場合は、専門的な対応が必要になることもあります。
この病気と共に生きる
症状の波にあわせて、活動量を調整することが大切です。朝や疲れたときは動作がつらいこともあるため、余裕をもって行動しましょう。
生活習慣のアドバイス
- 毎日のリハビリテーションやストレッチを無理のない範囲で続ける
- 十分な睡眠とバランスのよい食事を心がける
- 喫煙や過度の飲酒を避ける
- 体調の変化を記録し、受診時にお話しする
食事と運動
骨や筋肉の健康のために、食事は肉・魚・卵などのたんぱく質を適量とり、緑黄色野菜や果物も加えましょう。運動は、筋肉に負担をかけすぎない範囲で行うことが大切です。専門の理学療法士に相談すると安全です。
精神的健康と心の健康
慢性的な病気と向き合うことは、ときに不安や気分の落ち込みを招くことがあります。つらさを一人で抱え込まず、家族や医療スタッフに相談してください。もし自分の命について考えるような強い苦しさがある場合は、すぐに助けを求めてください。
予防
はっきりとした予防法はありません。ただし、早期に診断し、適切な治療を始めることで、筋力低下や合併症の進行を防ぐことができます。
ワクチン
治療で免疫の働きが弱まると感染症にかかりやすくなるため、インフルエンザや肺炎などの予防接種を医師と相談して受けることをおすすめします。
検診プログラム
健診や検診の項目にこの病気のスクリーニングはありません。気になる症状があれば、早めに医療機関を受診してください。
合併症
治療しない場合
- 筋力低下が進み、車いすや寝たきりになるなど、生活の自立が難しくなる
- 呼吸筋(息を吸ったり吐いたりするための筋肉)が弱まり、呼吸不全を起こす
- 飲み込みの障害から誤嚥性肺炎を起こす
- 心臓の筋肉に炎症が及び、不整脈や心不全を起こすことがある
長期的な見通し
多発性筋炎は、早く診断して治療を始めれば、多くの方は症状の改善が期待できます。治療が長く続くこともありますが、多くの場合、日常生活をしっかり送れるようになります。慌てず、医師やリハビリの専門家と一緒に少しずつ前へ進みましょう。
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健康ガイドラインは国や地域によって異なります。この記事の情報は国際的な臨床ガイドラインに基づいていますが、お住まいの国の具体的なガイドライン、薬、または診療慣行を反映していない場合があります。健康上の懸念は常にご自身の医師または医療提供者と相談し、利用可能な場合は地域の国家ガイドラインを参照してください。
重要なお知らせ この情報は教育目的にのみ提供されています。専門的な医療アドバイス、診断、治療に代わるものではありません。ご自身の状況については、常に資格を持つ医療専門家にご相談ください。医療上の緊急事態が発生した場合は、直ちに最寄りの救急医療サービスに連絡してください。
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情報源とガイダンス
この記事は教育目的で、利用可能な場合は認知された健康情報および臨床ガイダンスの情報源を参照して作成されています。具体的な情報源リンクはトピックによって異なる場合があります。
最終更新: 2026年7月31日
教育上の注記: この情報は教育目的のみであり、診断ではありません。
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