複合性局所疼痛症候群(CRPS)
国際的な診療ガイドラインに基づく
概要
複合性局所疼痛症候群(CRPS)は、けがや手術のあとに、その部位に強い痛みが長く続き、皮膚の色や温度が変わるなどの症状が現れる病気です。神経の過剰な反応によって起こると考えられています。
重要な事実
- 多くは骨折や捻挫、手術などの外傷がきっかけになります。
- 痛みの程度がけがの回復具合と合わず、非常に強く感じられることがあります。
- 早期に適切な治療を受けることで、症状の改善が期待できます。
日本での正確な頻度は不明ですが、まれな病気ではありません。どの年齢でも起こりえますが、一般外来で出会うことのある病気です。
40〜50代の成人に多く、女性は男性より約3〜4倍多いとされています。子どもや高齢者にも起こることがあります。
症状
- 突然の強い胸の痛み
- 息が苦しくなる
- 意識がもうろうとする
- 体の片側が動かない、またはしびれる
- ⚠痛みが急にひどくなり、夜も眠れない
- ⚠患部の皮膚の色が急に変わった
- ⚠患部が急に大きく腫れた
- ⚠発熱がある
一般的な症状
- 焼けるように、または刺すような強い痛み
- 触れただけで痛む(アロディニア)
- 患部の腫れ
- 皮膚の色が赤や青っぽく変化する
- 皮膚の温度が熱い、または冷たい
- 関節がこわばり動かしにくい
- 発汗や毛・爪の異常
子供の症状
- 小児では脚に症状が現れることが多い
- 痛みのため学校に行けないなど、社会的な影響が出ることがある
- 不安や気分の落ち込みを伴いやすい
高齢者の症状
- 痛みのために活動量が減り、筋肉の委縮や骨密度の低下が進みやすい
- 転倒のリスクが高まることがある
- 体力が落ちることでさらに痛みが強くなる悪循環になりやすい
原因
主な原因
- 骨折、捻挫、手術などの外傷
- 感染症や脳卒中などの後に起こることがある
- はっきりした原因がなく現れることもある
リスク要因
- 40〜50代
- 精神的ストレスを抱えている
- 強い痛みや長引く痛みの経験
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 痛みが続く、または悪化して日常生活に支障が出る
- 症状が新しい部位に広がる
定期受診を予約すべき場合:
- 気になる症状があれば早めに受診する
- 治療を受けているが、効果や副作用に不安があるとき
診断
診断は、医師による問診と診察が中心です。CRPSに特化した簡単な検査はなく、ほかの病気を除外しながら総合的に判断されます。
行われる可能性のある検査
- 血液検査(炎症や感染の有無を確認)
- レントゲン(骨の異常がないかを確認)
- MRI(神経や組織の状態を確認)
- 骨シンチグラフィー(骨の血流や代謝の変化を確認)
診察で予想されること
診察では、痛みの場所や性質、きっかけとなったけがや手術の履歴、日常生活への影響などを詳しく質問されます。必要に応じて、ペインクリニックや整形外科、リハビリテーション科などの専門の医師を紹介されることもあります。
治療
治療の中心はリハビリテーション(運動療法や作業療法)で、痛みの管理と機能回復を目指します。医師、理学療法士、作業療法士、心理士などが連携して進めていくことが大切です。
自宅でのセルフケア
- 指示された範囲で患部を動かす(動かしすぎは禁物、全く動かさないのもしすぎ)
- 痛みが強い日は無理をせず、調子が良い日に少しずつ活動量を増やす
- 患部を冷やしすぎず、締め付ける衣服を避ける
- リラックスする方法(深呼吸、ストレッチなど)を見つける
医療治療
薬物療法(痛みや炎症を和らげる薬)、神経ブロック注射、脊髄刺激療法などの治療が行われることがあります。効果や副作用は個人差が大きく、どの治療が適しているかは症状や経過によって異なります。必ず医師の指示に従い、自己判断で薬を変えたり止めたりしないでください。
手術が検討される場合
外科的な手術は通常、第一選択にはなりません。症状が続く場合には、神経ブロックや脊髄刺激療法などの処置が、医師との相談のうえで検討されることがあります。
この病気と共に生きる
痛みの程度はその日によって変わることもあります。無理をせず、できる範囲で活動することが大切です。家事や仕事での動作の工夫については、作業療法士に相談するとよいでしょう。
生活習慣のアドバイス
- 禁煙する
- 十分な睡眠をとる
- ストレスを減らす工夫をする
- 自分のペースで動くようにする
食事と運動
バランスの良い食事を心がけ、医師や理学療法士の指導のもとで、水泳やウォーキングなどの軽い運動を取り入れましょう。運動は血流を改善し、機能回復に役立ちます。
精神的健康と心の健康
長く続く痛みは、気分の落ち込みや不安を引き起こすことがあります。これは多くの人が経験することであり、恥ずかしいことではありません。心理的なサポートを治療の一部として受けながら、心の健康も大切にしましょう。
予防
完全に予防する方法はまだありません。けがや手術のあとに痛みが続くときは、早めに医療機関へ相談し、適切な痛みの管理とリハビリテーションを早期に始めることが、重症化の予防につながるとされています。
合併症
治療しない場合
- 関節のこわばりや筋肉の委縮
- 骨密度の低下(骨粗しょう症)
- うつ病や不安障害
- 仕事や家事ができなくなるなど、日常生活の大きな低下
長期的な見通し
複合性局所疼痛症候群は、治療に長い時間がかかることがありますが、決して治らないわけではありません。多くの人が、適切な治療とサポートにより痛みの軽減や機能の回復を実感しています。希望を持って、今できることを一つずつ続けていくことが大切です。
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最終更新: 2026年7月31日
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