帯状疱疹後神経痛(PHN)
国際的な診療ガイドラインに基づく
概要
帯状疱疹後神経痛(PHN)は、帯状疱疹(たいじょうほうしん)の水ぶくれや発疹が治ったあとも、その場所に痛みが続く状態です。帯状疱疹を引き起こすウイルスが神経にダメージを与え、治ったあとも痛みの信号が送り続けられるために起こります。
重要な事実
- 帯状疱疹のあとに、皮膚の見た目は治っているのに痛みが続くことがあります。
- 痛みは、焼けるような痛み、針で刺されるような痛み、電気が走るような痛みなど、人によってさまざまです。
- 時間とともに和らぐことが多いですが、適切な治療を受けることでより快適に過ごせます。
帯状疱疹を経験した人のおよそ10〜20人に1人に起こるとされ、年齢が高いほどその割合は増えます。帯状疱疹は日本人にも多く、高齢になるにつれて心配される症状です。
主に50歳以上の人に多くみられます。帯状疱疹にかかったすべての人に起こるわけではありませんが、免疫力が低下している人や、帯状疱疹を発症したときに痛みが強かった人はリスクが高くなります。
症状
- 帯状疱疹の水ぶくれが目や顔に広がり、視力が急に落ちたり、目に激しい痛みがある
- 意識がもうろうとする、呼びかけに反応しない
- 呼吸が苦しい、胸の強い痛みがある
- ⚠新しい水ぶくれや発疹がまだ出てきている
- ⚠痛みが強くなり、日常生活が送れないほどである
- ⚠熱が出ている、皮膚が赤く腫れてくる(細菌感染の可能性)
一般的な症状
- 皮膚の同じ場所に続く痛み(灼熱感、ちくちくする痛み、ズキズキする痛みなど)
- 触れただけでも痛む(衣服がこすれるだけでも痛い)
- しびれや感覚の鈍さ
- かゆみや違和感
- 痛みのせいで眠れない、疲れやすい
原因
主な原因
- 帯状疱疹の原因となる水痘・帯状疱疹ウイルスが神経を傷つけ、その神経が正しく働かなくなるために起こります。
- 帯状疱疹自体は治っても、傷ついた神経が痛みの信号を送り続けることがあります。
リスク要因
- 高齢(特に50歳以上)
- 免疫力が低下している(がん治療中、糖尿病、ステロイド薬の使用など)
- 帯状疱疹を発症したときに痛みが強かった
- 帯状疱疹の発疹が広い範囲に及んだ
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 痛みが日々の生活や睡眠を妨げるほど強い
- 帯状疱疹の発疹が目の近くや顔にできている(早めの受診が必要)
- 新しい水ぶくれが増えている、または熱がある
定期受診を予約すべき場合:
- 帯状疱疹が治った後も、同じ場所の痛みが1か月以上続いている
- 痛みの感じ方や場所が変わり、不安がある
診断
医師の問診と診察によって診断されます。どのような痛みか、いつから続いているか、帯状疱疹になったことがあるかなどを伝えましょう。
行われる可能性のある検査
- 通常は特別な検査は必要ありません。
- 帯状疱疹がまだ続いている可能性がある場合、皮膚の液体を調べる検査が行われることがあります。
- まれに、神経の状態を調べるために神経伝導検査などが行われることもありますが、多くの場合は問診と診察で判断されます。
診察で予想されること
診察では、痛みの場所や性質、強さ、日常生活への影響について聞かれます。必要に応じて、痛みを専門に扱う診療科や皮膚科を紹介されることもあります。
治療
帯状疱疹後神経痛の治療は、痛みを和らげて生活の質を保つことが目的です。症状に合わせて、塗り薬、飲み薬、神経ブロックなどを組み合わせて行います。時間はかかることもありますが、我慢せずに医師と一緒に自分に合った方法を探していくことが大切です。
自宅でのセルフケア
- 肌にやさしい綿の衣服を選ぶ
- お風呂はぬるめにして、熱いお湯や冷たい刺激を避ける
- 十分な休息と睡眠をとる
- ストレスをためないようにする(深呼吸や好きなことをする時間を持つ)
- 痛みが強いときは無理をせず、体を休める
医療治療
医師が処方する治療には、神経の痛みを和らげる塗り薬・貼り薬、飲み薬(神経にはたらく薬など)、神経ブロック注射などがあります。抗うつ薬や抗てんかん薬が、痛みの治療として使われることもありますが、これは本来の用途とは異なる使われ方です。必ず医師の指示に従ってください。また、痛みが続く場合には、ペインクリニックや痛みの専門医を紹介されることもあります。
手術が検討される場合
帯状疱疹後神経痛に対して、手術が第一選択になることはほとんどありません。長く強い痛みが続き、ほかの治療で効果が不十分な場合は、専門医療機関で神経ブロックなどのより高度な処置を検討することがあります。
この病気と共に生きる
痛みが続くと、気分が落ち込んだり、夜眠れなかったりすることがあります。すべてを一度にやろうとせず、自分のペースで休息と活動のバランスをとりましょう。痛みがひどい日は休んでもよい、と自分に許可を与えることも大切です。
生活習慣のアドバイス
- 睡眠のリズムを整える
- 趣味や人とのつながりを大切にする
- 痛みを悪化させるきっかけ(冷え、疲れ、ストレス)を知って、避ける工夫をする
- 家族や友人に気持ちを話す
食事と運動
バランスの良い食事を心がけ、適度な運動(ゆっくりとした散歩やストレッチなど)を続けると、体の調子が整いやすくなります。ただし、痛みが強いときは無理をせず、運動について医師に相談してください。
精神的健康と心の健康
慢性的な痛みは、不安や抑うつの原因になることがあります。「気持ちがつらい」と感じたら、それは当然のことです。痛みの診療とあわせて、心のケアも大切にしてください。必要であれば、医師にカウンセリングなどについて相談しましょう。
予防
帯状疱疹後神経痛を完全に予防する方法はありませんが、帯状疱疹を発症しないことが最も重要です。帯状疱疹ワクチンを接種することで、帯状疱疹そのものを防ぎ、その後の神経痛のリスクも減らすことが期待できます。
ワクチン
日本では、成人を対象に帯状疱疹ワクチンが受けられます。50歳以上の方は特に検討をおすすめします。ワクチンの種類や接種時期については、かかりつけ医に相談しましょう。
検診プログラム
帯状疱疹後神経痛のための特別な検診はありません。帯状疱疹にかかった後、違和感や痛みが続く場合は、早めに医療機関を受診することが早期対応への近道です。
合併症
治療しない場合
- 長く続く痛みによる睡眠不足や疲労感
- 動かなくなることによる筋力低下
- うつ状態や不安、人との交流の減少
- 日常生活の質の低下(買い物や外出が難しくなるなど)
長期的な見通し
多くの場合、痛みは時間とともに徐々に和らいでいきます。適切な治療を受けることで、痛みをうまくコントロールしながら生活することは十分可能です。希望を持って、医療者と一緒に一歩ずつ進んでいきましょう。
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必ず医師に確認してください
健康ガイドラインは国や地域によって異なります。この記事の情報は国際的な臨床ガイドラインに基づいていますが、お住まいの国の具体的なガイドライン、薬、または診療慣行を反映していない場合があります。健康上の懸念は常にご自身の医師または医療提供者と相談し、利用可能な場合は地域の国家ガイドラインを参照してください。
重要なお知らせ この情報は教育目的にのみ提供されています。専門的な医療アドバイス、診断、治療に代わるものではありません。ご自身の状況については、常に資格を持つ医療専門家にご相談ください。医療上の緊急事態が発生した場合は、直ちに最寄りの救急医療サービスに連絡してください。
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情報源とガイダンス
この記事は教育目的で、利用可能な場合は認知された健康情報および臨床ガイダンスの情報源を参照して作成されています。具体的な情報源リンクはトピックによって異なる場合があります。
最終更新: 2026年7月31日
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