交代勤務睡眠障害(シフトワーク睡眠障害)
国際的な診療ガイドラインに基づく
概要
交代勤務睡眠障害は、夜勤や早朝勤務、交代制のシフトなどによって生活リズムが乱れ、日中に強い眠気が出たり、夜にしっかり眠れなくなったりする状態です。体内時計(体のリズムを整える働き)と仕事の時間が合わずに起こります。
重要な事実
- 仕事や日常生活に支障をきたすほどの眠気や不眠が続きます。
- 多くの場合、シフト勤務をしている間だけ症状が続きますが、休みの日にも影響が出ることがあります。
- 眠気による事故やうつ状態など、二次的な健康問題にもつながる可能性があります。
はい。交代勤務をする人に比較的よく見られます。日本の調査では、交代勤務者の約6割が何らかの睡眠の悩みを抱えているとされますが、診断として治療を受けるのはそのうちの一部です。
主に、夜勤や早朝勤務、24時間交代勤務などを行う働き手に影響します。看護師、工場勤務者、救急隊員、運転手、コンビニエンスストア店員などが代表例です。年齢が高いほど体のリズムが変わりにくくなるため、高齢の交代勤務者に起きやすい傾向があります。
症状
- 突然の意識喪失や呼吸停止
- 胸の痛み、息苦しさ、冷や汗を伴う発作
- 交通事故などでケガをした場合
- ⚠仕事中などに制御できない眠気に襲われ、事故になりそうになる
- ⚠強い抑うつ気分や、生きるのがつらいという気持ちが続く
- ⚠自分を傷つけたい、死にたいと本気で考えてしまう
- ⚠突然の頭痛、めまい、手足のしびれ、ろれつが回らないなどの脳卒中を疑う症状が出た場合
一般的な症状
- 夜寝ようとしてもなかなか眠れない(不眠)
- 仕事中や通勤中に強い眠気で集中できない
- 十分な睡眠時間を取っているのに疲れがとれない
- 注意力が落ちて仕事でミスをしやすくなる
- 気分の落ち込みやイライラが続く
- 頭痛や胃の不調などの体の症状
原因
主な原因
- 体内時計(概日リズム)と仕事時間のずれ
- 夜間に強い光を浴びることで、体内時計がリセットされにくくなる
- 睡眠時間が不規則で、睡眠のとれる時間帯が毎日変わる
- 昼間の騒音や明るさ、家庭の都合などで睡眠が遮られる
リスク要因
- 頻繁に交代があるシフト(深夜と早朝を一定間隔で交互に回る)
- 22時以降に働く夜勤を含む勤務
- 長時間労働や週40時間を超える勤務
- 睡眠不足や不眠の素因
- 年齢(特に40歳以降)
- うつ病などの精神疾患をすでに抱えている
- カフェインやアルコールの習慣
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 通勤中や仕事中に危険な眠気に襲われる
- 自分を傷つけたい、死にたいという考えが強くなる
- 意識を失った、ろれつが回らない、体の半分が動かないなどの脳卒中サインがある
定期受診を予約すべき場合:
- 日中の眠気や夜の不眠が1か月以上続いている
- 家族や周囲から「よく眠そうだ」「集中力がない」と言われる
- 感情が不安定で、仕事や家庭生活に支障が出始めている
- 睡眠日誌をつけて、自分の睡眠パターンを記録してみたいとき
診断
主に、問診と睡眠記録(睡眠日誌)をもとに診断します。医師は、あなたの勤務形態、睡眠時間、日中のだるさ、事故の経験などを詳しく聞きます。必要に応じて、腕時計型のセンサー(アクチグラフ)を1〜2週間装着してもらうことがあります。
行われる可能性のある検査
- 睡眠日誌(少なくとも1週間、睡眠と勤務のメモをとる)
- アクチグラフ(手首につける活動量計で、睡眠・覚醒のリズムを調べる)
- 血算や甲状腺ホルモンの検査(他の病気を除外するため)
- 睡眠時無呼吸の簡易検査(必要に応じて、睡眠専門医が判断)
診察で予想されること
診察では、あなたの生活リズムや仕事の状況が丁寧に聞かれます。無理に診断を急がず、症状と勤務の関連を確かめながら進めます。明確に診断がつくまでは、まず生活調整のアドバイスが中心になることが多いです。
治療
治療の基本は、体内時計をできるだけ本来のリズムに近づけることです。勤務の組み方、睡眠環境、光の浴び方、仮眠(なっぷ)の取り方など、生活の工夫を組み合わせます。症状が強い場合は、医師の指導のもとで薬物療法の選択肢を相談することもあります。
自宅でのセルフケア
- 休みの前日も含めて、できるだけ同じ時間に床につき、同じ時間に起きる
- 勤務中の光の浴び方を工夫する(夜勤中は明るいところで仕事をし、帰宅時に強い朝日を避けるなどの研究結果があります。個別の判断は医師に相談してください)
- 通勤前に15〜20分の短い仮眠をとる
- 寝室を暗く、静かに、涼しく保ち、遮光カーテンや耳栓、アイマスクを利用する
- カフェインは勤務時間の後半に控え、就寝前4時間以内にはとらない
- アルコールは睡眠の質を下げるため、寝酒は避ける
医療治療
薬物療法は、医師があなたの症状(不眠が主か、眠気が主か)により治療方針を決めます。不眠には睡眠の導入や維持を助ける薬、過度の眠気には覚醒を促す薬が使用されることがあります。どちらも処方薬であり、自己判断での使用はせず、必ず医師の指示に従ってください。また、光浴療法など非薬物の治療を提供する専門外来もあるため、紹介してもらうこともできます。
この病気と共に生きる
交代勤務の生活は、家族や友人とは違うリズムの中で自分の健康を守る必要があります。自分を責めず、睡眠を最優先事項にしましょう。睡眠時間を確保するために、用事は先に済ませる、家族に協力を頼むなどの工夫が力になります。週に1日は完全に自分のリズムで過ごす「回復日」を作ることも有効です。
生活習慣のアドバイス
- 毎日15〜30分の運動(ただし寝る直前の激しい運動は避ける)
- 規則正しい食事時間を心がけ、夜勤中は少量の食事を頻回に
- 仕事から帰ったらまずゆっくり入浴する(寝る2〜3時間前が良しとされています)
- 日中の長い昼寝は避け、短い仮眠で済ませる
- スマートフォンやテレビの強い光を寝る前に避ける
食事と運動
食事は、脂っこいものや大量の食事を就寝前に避け、昼と夜の区別がつくようにしましょう。夜勤後の朝食は少しだけにして、その後すぐ寝る場合は消化に負担をかけないようにします。運動は、仕事前や仕事後にウォーキングや軽いストレッチを取り入れると睡眠リズムを整える助けになります。
精神的健康と心の健康
睡眠の乱れは、気分の落ち込みや不安、イライラを引き起こしやすく、うつ病を招くことがあります。また、人間関係のすれ違いや孤独感を感じる人も少なくありません。もし、自分を傷つけたい、死にたいという気持ちが少しでも浮かんだら、ためらわずに誰かに話してください。かかりつけ医や職場の保健師、最寄りの精神保健福祉センター、救急電話(119番)などを頼ってください。
予防
完全に予防することは難しいとされますが、リスクを大きく減らすことは可能です。職場側のシフトの組み方(交代の方向を固定する、順方向に回す、最低24〜48時間の休養を入れる)が予防効果を持つことが知られています。個人としては、睡眠衛生を整え、定期的に医師との相談を行って早期に兆候に気づくことが大切です。
合併症
治療しない場合
- 仕事中の事故や通勤中の居眠り運転による重大な事故
- 高血圧、心臓病、脳卒中などの循環器疾患のリスク増加
- 糖尿病や肥満のリスク増加
- うつ病や不安障害など精神疾患の発症リスク増加
- 家族や社会生活の孤立、離職につながる可能性
長期的な見通し
適切な治療と生活調整により、症状は多くの場合改善します。シフトを調整したり、睡眠衛生を整えたりするだけでも効果が得られます。また、医療機関のサポートを併用すれば、仕事を続けながら付き合っていくことも可能です。一人で抱え込まずに、早めに相談してください。
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必ず医師に確認してください
健康ガイドラインは国や地域によって異なります。この記事の情報は国際的な臨床ガイドラインに基づいていますが、お住まいの国の具体的なガイドライン、薬、または診療慣行を反映していない場合があります。健康上の懸念は常にご自身の医師または医療提供者と相談し、利用可能な場合は地域の国家ガイドラインを参照してください。
重要なお知らせ この情報は教育目的にのみ提供されています。専門的な医療アドバイス、診断、治療に代わるものではありません。ご自身の状況については、常に資格を持つ医療専門家にご相談ください。医療上の緊急事態が発生した場合は、直ちに最寄りの救急医療サービスに連絡してください。
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情報源とガイダンス
この記事は教育目的で、利用可能な場合は認知された健康情報および臨床ガイダンスの情報源を参照して作成されています。具体的な情報源リンクはトピックによって異なる場合があります。
最終更新: 2026年7月31日
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