中咽頭がん(口の奥にできるがん)について
国際的な診療ガイドラインに基づく
概要
中咽頭がんは、口を開けて見える奥のほう、のどの中央あたり(中咽頭)にできるがんです。具体的には、のどちんこ(軟口蓋)、扁桃(へんとう)、舌のつけ根、のどの後ろの壁などにできます。
重要な事実
- 中咽頭がんは早期に見つかれば、治る可能性が高いがんです。
- たばこ・お酒・ヒトパピローマウイルス(HPV)感染が主な原因とされています。
- 最近は治療技術が進歩し、のどや声の機能を保ちながら治療することも可能になってきています。
日本では、がん全体の中では比較的まれなタイプです。ただし、近年はとくにHPV感染に関係する中咽頭がんが、世界でも日本でも増加傾向にあると報告されています。
従来は50~70代の男性に多いがんですが、最近はHPVが関係するタイプが若い世代でも増えています。女性にも起こりますが、患者数は男性のほうが多いとされています。
症状
- 息ができない、窒息しそう
- のどから大量に出血した
- 意識がもうろうとしている
- ⚠のどに強い痛みがあり、水分も飲めない
- ⚠首のしこりが急に大きくなった
- ⚠のどの症状が2週間以上よくならず、体重が減ってきた
一般的な症状
- のどの痛みや違和感が長く続く
- 飲み込みにくい(特に片側だけ飲み込みにくい)
- 声がれが長く続く
- 首のしこりが触れる
- 耳の痛みがある
- 口臭や血の混じった痰が出る
原因
主な原因
- 喫煙(たばこ)
- 多量の飲酒
- ヒトパピローマウイルス(HPV)感染(性行為で感染するありふれたウイルスで、のどの中咽頭にも感染することがあります)
リスク要因
- たばことお酒の両方の習慣がある
- HPV感染(特に口腔性交などのリスク行動による感染)
- 免疫力が低下している状態
- 慢性的なのどの炎症や刺激
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- のどの痛みや違和感が2週間以上続く
- 左右どちらかののどに限られた痛みや腫れ
- 首のしこりが気になる
- 声がれが長く続く
- 飲み込みにくさがだんだん悪くなる
定期受診を予約すべき場合:
- のどに何となく違和感があり、1週間ほど続く
- いびきや起床時ののどの乾燥が気になる
- たばこ・お酒の習慣があり、のどの健康が気になる
診断
中咽頭がんの診断は、主に耳鼻咽喉科で行います。まず、医師が口の中やのどを直接観察し、次に鼻から細い内視鏡(カメラ)を入れて中咽頭の奥まで詳しく観察します。異常が見つかれば、組織の一部を取って顕微鏡で調べる「生検」を行い、がんかどうかを確定します。
行われる可能性のある検査
- 問診と視診・触診
- 鼻からのどの内視鏡検査
- 画像検査(CT・MRI・PETなど)
- 生検(組織を取って顕微鏡で調べる検査)
- 腫瘍マーカーやHPV検査(必要に応じて)
診察で予想されること
最初の診察では、症状の経過や生活習慣(たばこ・お酒など)について聞かれます。内視鏡検査は少し違和感がありますが、数分で終わることがほとんどです。生検は局所麻酔で行われるため、強い痛みはあまりありません。結果が出るまでに数日から1週間ほどかかることがあります。
治療
治療は、がんの大きさや広がり、リンパ節への転移の有無、患者さんの全身状態や希望などを考慮して、医師とよく相談して決めます。主な治療法は「手術」「放射線治療」「薬物療法」で、これらを組み合わせること(集学的治療)が一般的です。
自宅でのセルフケア
- 禁煙する、または受動喫煙を避ける
- 節酒する(できれば休肝日を作る)
- 口の中を清潔に保ち、治療後はうがいや歯磨きを丁寧にする
- 治療中はのどを乾燥させないよう、こまめに水分をとる
- 疲れをためず、十分に休む
医療治療
治療の選択肢には、がんを切除する手術、放射線を当ててがん細胞を壊す放射線治療、抗がん剤などを使う薬物療法があります。進行したがんでは、これらの治療を組み合わせて行うことがあります。最近では、口から内視鏡で切除する低侵襲な手術や、免疫力を高める薬なども、患者さんの状態に合わせて選ばれます。薬の種類や組み合わせは医師が個別に判断するため、必ず主治医と相談してください。
手術が検討される場合
がんが進行している場合や、放射線治療が難しい場合は、のどの一部や周囲の組織を切除する手術が行われることがあります。進行がんであっても、可能な限り声や飲み込みの機能を残すための工夫が行われます。手術後は、食事や発声のリハビリが必要になることもあります。
この病気と共に生きる
治療中や治療後は、のどの痛み、乾燥、飲み込みにくさなどが続くことがあります。無理せず、食べやすいもの・飲み込みやすいものを選び、少しずつ食事をとりましょう。口の中が痛むときは、やわらかい食事やとろみをつけた飲み物が助けになります。不安な症状があれば、我慢せず医療者に相談してください。
生活習慣のアドバイス
- 禁煙と節酒を心がける
- 口の中を清潔に保つ(歯磨き、うがい、歯科受診)
- のどの保湿をこまめに行う
- 規則正しい生活と十分な睡眠をとる
- 感染症予防のため、手洗いや人混みを避けるなどの工夫をする
食事と運動
飲み込みにくいときは、おかゆ、スープ、プリン、ゼリーなど、やわらかくて喉ごしのよいものを選びましょう。食事が難しい場合は、栄養補助食品や経管栄養(チューブで栄養をとる方法)も選択肢です。体力を保つために、医師の許可があれば、無理のない範囲で散歩やストレッチなどの軽い運動を続けましょう。
精神的健康と心の健康
がんと診断されることや治療中のつらい症状は、不安や落ち込みなどの気持ちの変化を引き起こすことがあります。これは自然な反応です。一人で抱え込まず、家族や友人、医療者に気持ちを話してください。必要に応じて、がん相談支援センターでの心理的サポートや緩和ケアなどの専門的な支援も利用できます。
予防
すべてのがんを予防することはできませんが、中咽頭がんの主なリスクである喫煙と多量の飲酒を避けることは、予防に大きく役立ちます。また、HPV感染を予防することで、中咽頭がんの一部を防げる可能性があります。
ワクチン
HPVワクチンは子宮頸がんだけでなく、中咽頭がんなどHPVが関係するがんの予防にも役立つと考えられています。日本では、厚生労働省のガイドラインに沿って、これまで女性を対象に定期接種が行われてきましたが、最近は男性への接種も一部で始まっています。対象年齢や接種の時期については、かかりつけ医や自治体に相談してください。
検診プログラム
中咽頭がんには、国がすすめている特定の検診はまだありません。ただし、のどの違和感が長引く場合や、たばこ・お酒の習慣がある人は、人間ドックのオプション検査や耳鼻咽喉科の受診でよく診てもらうことが予防・早期発見につながります。
合併症
治療しない場合
- がんが周囲の組織(舌、あご、のど、食道など)に広がる
- 首のリンパ節に転移する
- 肺や骨などの遠い臓器に転移する
- のどの働きが悪くなり、食べる・話すことが難しくなる
長期的な見通し
中咽頭がんは、早期に発見して適切な治療を受ければ、治る可能性が高いがんです。最近は放射線治療や手術の技術が進歩し、治療後も声や飲み込みの機能を保ちながら社会生活を送れる人が増えています。仮に進行がんであっても、治療にはさまざまな選択肢があり、医師とよく話し合いながら進んでいくことで、良い結果を目指せます。希望を持って、医療チームと一緒に治療に取り組むことが大切です。
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必ず医師に確認してください
健康ガイドラインは国や地域によって異なります。この記事の情報は国際的な臨床ガイドラインに基づいていますが、お住まいの国の具体的なガイドライン、薬、または診療慣行を反映していない場合があります。健康上の懸念は常にご自身の医師または医療提供者と相談し、利用可能な場合は地域の国家ガイドラインを参照してください。
重要なお知らせ この情報は教育目的にのみ提供されています。専門的な医療アドバイス、診断、治療に代わるものではありません。ご自身の状況については、常に資格を持つ医療専門家にご相談ください。医療上の緊急事態が発生した場合は、直ちに最寄りの救急医療サービスに連絡してください。
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情報源とガイダンス
この記事は教育目的で、利用可能な場合は認知された健康情報および臨床ガイダンスの情報源を参照して作成されています。具体的な情報源リンクはトピックによって異なる場合があります。
最終更新: 2026年7月31日
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