自傷行為(自分を傷つけてしまうこと)について
国際的な診療ガイドラインに基づく
概要
自傷行為とは、つらい気持ちや苦しさをどうにかしようとして、自分の体をわざと傷つけることです。たとえば、腕や足を切る、体を叩く、火で焼く、髪を抜くなどの行動があります。これは「気持ちを言葉にできない」「どうすればいいかわからない」という心のSOSであることが多いです。
重要な事実
- 自傷行為は「弱さ」や「わがまま」ではなく、苦しさをしのぐための必死の対処法です。
- 多くの場合、人に見えないところで繰り返され、隠されやすいです。
- 適切な支援を受ければ、自分を傷つけない方法で気持ちを整えられるようになります。
決して珍しいことではありません。特に10代から20代前半の若い人に多く見られますが、どの年齢でも起こり得ます。
性別に関係なく起こります。強いストレスや生きづらさ、つらい経験を抱えている人に起こりやすいといわれています。
症状
- 自分を傷つけて大量出血し止血できない、死にたい気持ちが強く自分を止められない、薬を大量に飲んだ、意識がもうろうとしている場合は、ためらわずに119番(救急)に連絡してください。
- ⚠自分を傷つけた傷が深い、または赤く腫れて熱を持つなど感染の兆候がある
- ⚠自傷行為が頻繁に続いていて、一人でいると危険を感じる
- ⚠死にたい気持ちはあるが、まだ自分で踏みとどまっている
- ⚠家族や友人が自傷のサインを見つけて、どう対応すればよいかわからない
一般的な症状
- 理由の説明がつかない傷やあざが体にある(特に腕、太もも、胸など)
- 季節にかかわらず長袖や長ズボンを着て、体を隠す
- 刃物やライターなど危険なものを多く持っている
- 気分の落ち込み、イライラ、感情の波が激しくなる
- 「自分は価値がない」と何度も口にする
- 一人で過ごす時間が増え、部屋に閉じこもりがちになる
原因
主な原因
- つらい感情やストレスを自分に向けて発散してしまうこと
- 怒りや悲しみ、不安などの感情を言葉で表現したり、コントロールしたりするのが難しいこと
- いじめ、虐待、大切な人を失うなど、つらい経験の影響
- うつ状態や強い不安など、心の不調が背景にあること
リスク要因
- 幼少期のつらい体験や虐待、ネグレクト
- 頼れる人が近くにおらず、孤独感が強いこと
- 完璧主義で、自分に厳しい考え方を持っていること
- アルコールや薬物に頼りがちなこと
- 自傷に関する情報や刺激に触れやすい環境にいること
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 自傷をして出血が止まらない、傷が深い、異物が入っている
- 「死にたい」という気持ちが強く、危険な行動をとりそうで自分では止められない
- 周囲の人が自傷を見つけ、本人の安全が守れない状態である
- このようなときは、ためらわずに救急外来または119番へ連絡してください。
定期受診を予約すべき場合:
- 自傷の衝動や行為が続いていて、自分ではやめられない
- 気分の落ち込み、不安、不眠、食欲の変化などが続いている
- 家族、学校、職場など周囲の人が気づいて、相談したい
- 自傷について誰かに話したいが、どこに相談すればよいかわからない
診断
自傷行為を診断する特別な検査はありません。診察では、あなたの今の気持ち、生活の様子、自傷をしたきっかけ、背景にある心の状態について、時間をかけて話を聞きます。信頼できる関係をつくることが大切にされます。
行われる可能性のある検査
- 体の診察:傷やあざの状態、感染の有無、治った傷跡を確認します
- 問診・質問:気分、不安、睡眠、食欲、死にたい気持ちの危険性について評価します
- 必要に応じて血液検査:貧血や感染症など、体の問題がないかを確認します
診察で予想されること
診察はプライバシーが守られた個室で行われます。無理に話す必要はありません。医師は「自傷をやめること」よりも、あなたが安全に暮らせる方法を一緒に考えることを大切にします。
治療
治療の中心は、なぜ自傷に頼ってしまうのかを一緒に理解し、感情を安全に扱う方法を身につけることです。カウンセリングや精神療法(心の支援)が基本になります。
自宅でのセルフケア
- 刃物やライターなど危険なものを、手の届かない場所に置くか、処分する
- 衝動が強くなったら、その場を離れて氷を握る、紙を破る、冷たい水で手を洗うなど、別の刺激に切り替える
- 信頼できる人に「今つらい」「一人でいると危ない」と正直に伝える
- 気持ちをノートやスマホのメモに書き出す
- 睡眠と食事をできるだけ規則正しくして、心の土台を整える
医療治療
医師は必要に応じて、背景にあるうつ状態や強い不安、不眠などの症状を和らげるための薬を処方することがあります。薬の種類や使い方は医師が説明し、必ず医師の指示に従って使います。命の危険がある場合や自傷を止められない場合は、安全を確保するために短期間の入院を提案することもあります。
手術が検討される場合
自傷による傷が深く、縫合や感染の処置が必要な場合は、外科や救急の医師が体の治療を行います。体の安全を確保したうえで、心の支援につなげます。
この病気と共に生きる
回復の道のりは一直線ではありません。良くなったり、少し後戻りしたりしながら進みます。後戻りしても「自分はだめだ」と思わず、その経験から学び、次の一歩につなげることが大切です。
生活習慣のアドバイス
- 毎日同じ時間に起きて、朝の光を浴びる
- 散歩や軽いストレッチなど、体を動かす習慣をつくる
- 音楽を聴く、本を読む、入浴するなど小さな楽しみを日課にする
- 信頼できる人や支援者とのつながりを続ける
- アルコールや薬物に頼らない
食事と運動
食事を抜いたり偏ったりすると気分が不安定になりやすくなります。1日3食を無理のない範囲でとり、野菜や果物、たんぱく質も意識しましょう。軽い運動には、気分を整える効果があるといわれています。
精神的健康と心の健康
自傷を繰り返すと、その直後はほっとしても、後から自己嫌悪や罪悪感が強くなることがあります。また、隠し続けることで孤独や疲れがたまります。これはあなたが弱いからではなく、心の苦しみが作り出す悪循環です。支援を受けることで必ず変えていけます。
予防
自傷行為そのものを事前に完全に防ぐことは難しいかもしれません。しかし、周囲が早くサインに気づき、本人が安心して助けを求められる環境があれば、自傷を繰り返すリスクを大きく減らすことができます。
ワクチン
自傷行為を予防するためのワクチンはありません。
検診プログラム
特別な検診はありませんが、健康診断や学校・職場の相談員との面談、地域の精神保健福祉センターの相談などを利用して、早い段階で心の変化に気づくことはできます。
合併症
治療しない場合
- 傷の感染症や化膿、大きな傷跡が残る
- 誤って深い血管や神経を傷つけるなど、命に関わるけが
- うつ状態や不安など心の不調がさらに悪化する
- 周囲との関係が壊れたり、孤独が深まったりする
長期的な見通し
自傷行為は、適切な支援を受ければ多くの人が克服できます。すぐに変わらなくても、回復は可能です。あなたがこの記事を読んでいること自体が、回復への希望のサインです。一歩ずつで大丈夫です。
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必ず医師に確認してください
健康ガイドラインは国や地域によって異なります。この記事の情報は国際的な臨床ガイドラインに基づいていますが、お住まいの国の具体的なガイドライン、薬、または診療慣行を反映していない場合があります。健康上の懸念は常にご自身の医師または医療提供者と相談し、利用可能な場合は地域の国家ガイドラインを参照してください。
重要なお知らせ この情報は教育目的にのみ提供されています。専門的な医療アドバイス、診断、治療に代わるものではありません。ご自身の状況については、常に資格を持つ医療専門家にご相談ください。医療上の緊急事態が発生した場合は、直ちに最寄りの救急医療サービスに連絡してください。
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情報源とガイダンス
この記事は教育目的で、利用可能な場合は認知された健康情報および臨床ガイダンスの情報源を参照して作成されています。具体的な情報源リンクはトピックによって異なる場合があります。
最終更新: 2026年7月31日
教育上の注記: この情報は教育目的のみであり、診断ではありません。
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