敗血症(はいけつしょう)とは
国際的な診療ガイドラインに基づく
概要
敗血症とは、体の中に入った細菌などの感染症に対して、免疫システムが過剰に反応し、自分自身の臓器を傷つけてしまう病気です。感染症が重症化すると起こり、全身に炎症が広がります。
重要な事実
- 命に関わることがある病気ですが、早期に気づいて治療すれば回復が期待できます。
- 細菌感染症が最も多い原因ですが、ウイルスや真菌(カビ)が原因になることもあります。
- 高齢者や持病のある人、免疫力が低下している人に多く見られますが、健康な人でも発症することがあります。
敗血症は決して珍しい病気ではありません。日本でも年間多くの人が発症していると考えられています。ただし、正確な数は公開されていない部分もあります。
誰でもかかる可能性があります。特に、生後1歳未満の赤ちゃん、65歳以上の高齢者、糖尿病や腎臓病などの持病がある人、がん治療中や免疫を抑える薬を使っている人、脾臓が摘出されている人ではリスクが高くなります。
症状
- 意識がない、または呼びかけに反応しない
- 呼吸が止まるか、浅く速い呼吸が続く
- けいれんが止まらない
- 皮膚に広がる出血斑(あざのようなものが急に広がる)
- 上記の症状に加えて、全身状態が急激に悪化している
- ⚠高熱が続く、または悪寒が強い
- ⚠息苦しい、呼吸が速い
- ⚠意識がもうろうとする、または異常に眠い
- ⚠極度の疲労感で動けない
- ⚠おしっこの量が明らかに減った
- ⚠感染症にかかっている、またはその疑いがあり、状態が急に悪化した
一般的な症状
- 悪寒(さむけ)をともなう高熱
- 呼吸が速くなる、息苦しい
- 心拍が速くなる(動悸)
- 意識がもうろうとする、判断力が低下する
- 極度のだるさや疲労感
- 皮膚がまだらになったり、冷たく汗ばんだりする
子供の症状
- いつもよりぐったりしている、反応が弱い
- 呼吸が速い、または「ヒューヒュー」という呼吸をする
- 発熱があるのに手足が冷たい
- おしっこの量が減る(おむつが乾いたまま)
- ミルクや飲み物を受けつけず、嘔吐する
- けいれんを起こす
高齢者の症状
- 急に元気がなくなり、食事をとらなくなる
- 意識の混濁(ぼんやりして反応が鈍い)
- 転んで骨折しやすいなど、体の動きが不安定になる
- 発熱のないこともあり、体温が低くなる場合も
- 下痢やおう吐などの消化器症状
原因
主な原因
- 肺炎(肺の感染症)
- 尿路感染症(膀胱炎や腎盂腎炎)
- 腹部の感染症(腹膜炎や胆嚢炎など)
- 皮膚の感染症(蜂窩織炎など)
- 髄膜炎(脳や脊髄を包む膜の感染症)
リスク要因
- 年齢(1歳未満の乳児、65歳以上)
- 糖尿病、心臓病、腎臓病などの持病がある
- がんの治療中、または免疫抑制剤を使用している
- 脾臓を摘出している
- 長期間の入院やカテーテルの留置がある
- やけどや外傷による創傷がある
- インフルエンザなどの感染症にかかっている
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 高熱と激しい悪寒がある
- 息苦しさが続く
- 意識がぼんやりする
- 全身の状態が急に悪化したと感じる
- このような症状がある場合は、すぐに救急車(119番)を呼ぶか、最寄りの救急外来を受診してください。
定期受診を予約すべき場合:
- 感染症の疑いがあり、数日症状が続いている
- 慢性的な病気があり、体調の変化を感じる
- 敗血症の退院後のフォローアップとして
診断
敗血症の診断は、問診と身体診察に加えて、血液検査や画像検査などの結果を総合して行われます。感染症の重症度を評価し、臓器障害がないかを調べます。
行われる可能性のある検査
- 血液検査(白血球数、炎症の程度、臓器の働きを調べる)
- 血液培養検査(血液の中に細菌がいるかを調べる)
- 尿検査(尿路感染の有無)
- 喀痰(かくたん)検査(たんの原因菌を調べる)
- 画像検査(レントゲン、CTなどで感染の場所を確認する)
- 乳酸値の測定(組織の酸欠の程度を評価する)
診察で予想されること
受診後、医師は緊急性を判断し、必要があればすぐに入院を勧めます。敗血症が疑われる場合は、原因の特定と同時に、酸素投与や点滴による水分補給、感染症に対する薬の投与などが開始されます。診断までの流れは人によって異なりますが、担当医が丁寧に説明します。
治療
敗血症の治療は、感染症の原因を特定し、それを取り除くとともに、臓器の機能を維持するための集中治療が中心になります。多くの場合、入院が必要で、重症の場合は集中治療室(ICU)で治療が行われます。
自宅でのセルフケア
- 治療中は医師や看護師の指示に従い、安静に過ごす
- 脱水を防ぐために、水分を適切に摂る(ただし、むくみや心不全のある場合は医師の指示に従う)
- 退院後は、疲れを感じたら無理をせず休息をとる
- 感染症の再発を防ぐため、手洗いやうがいを丁寧に行う
医療治療
治療では、感染症の原因となる細菌を抑える薬(抗生物質)が、培養検査の結果を待たずに早い段階で投与されます。また、点滴による水分・電解質補給、酸素吸入、血圧を保つための薬、臓器の働きをサポートする治療(人工呼吸器や人工透析など)が行われます。薬の種類や投与方法は、患者さんの状態や感染症の種類に応じて、医師が慎重に選択します。
手術が検討される場合
感染の原因が膿瘍(うみのかたまり)や壊死した組織などの場合には、手術やドレナージ(排膿処置)によって感染源を取り除く必要があります。
この病気と共に生きる
敗血症から回復した後も、体が完全に元に戻るまでには時間がかかることがあります。退院後は、定期的に医師のフォローアップを受けながら、無理のない範囲で日常生活を再開していきます。疲労感や筋力低下が続くこともあり、リハビリテーションが必要になる場合もあります。
生活習慣のアドバイス
- 十分な睡眠と休息をとる
- 無理のない範囲で少しずつ体を動かして、体力の回復を目指す
- 手洗い・うがい・歯磨きなどで清潔を保つ
- 感染症にかかりやすい時期は、人混みを避けるなどの対策をとる
食事と運動
バランスの良い食事を心がけ、特にたんぱく質やビタミンを意識してとることが大切です。運動は、ウォーキングなど軽いものから始め、徐々に時間や強度を増やしましょう。回復の具合は個人差がありますので、かかりつけ医や理学療法士と相談しながら進めてください。
精神的健康と心の健康
敗血症を経験した後には、強いストレスや不安、気分の落ち込みを感じることがあります。これは自然な反応です。特に集中治療を受けた人は、後に「心的外傷後ストレス障害(PTSD)」を発症することがあります。長引く場合は、早めに医師や専門家に相談することが大切です。
予防
敗血症そのものを直接予防する方法はありませんが、感染症を予防し、早期に治療することで敗血症になるリスクを大きく減らせます。けがや傷を清潔に保つことも大切です。
ワクチン
感染症を予防するための予防接種(例:インフルエンザや肺炎球菌など)は、敗血症のリスクを下げる可能性があります。自分に必要な予防接種については、医師に相談してください。
検診プログラム
特定の検査項目としての敗血症スクリーニングはありませんが、感染症の悪化を早期に察知するために、日頃から体調の変化に注意し、定期健診を受けることが勧められます。
合併症
治療しない場合
- 臓器の障害(腎臓や肺などが機能不全になる)
- 感染症が全身に広がり、血圧が低下する敗血症性ショック
- 血液凝固障害による出血傾向
- 重症の場合、四肢の血流障害から組織の壊死が起こり、切断が必要になることがある
- 死亡に至ることもある
長期的な見通し
敗血症は命に関わる重い病気ですが、早期に気づいて適切な治療を受ければ、多くの人が回復できます。日本では厚生労働省も敗血症の診療ガイドラインを整備し、早めの診断と治療を進めています。回復後は完全に元の生活に戻れる人もいれば、体に後遺症が残る人もいますが、リハビリテーションや医療的サポートを受けながら、新しい生活を築いていくことができます。どうか希望を持ってください。
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健康ガイドラインは国や地域によって異なります。この記事の情報は国際的な臨床ガイドラインに基づいていますが、お住まいの国の具体的なガイドライン、薬、または診療慣行を反映していない場合があります。健康上の懸念は常にご自身の医師または医療提供者と相談し、利用可能な場合は地域の国家ガイドラインを参照してください。
重要なお知らせ この情報は教育目的にのみ提供されています。専門的な医療アドバイス、診断、治療に代わるものではありません。ご自身の状況については、常に資格を持つ医療専門家にご相談ください。医療上の緊急事態が発生した場合は、直ちに最寄りの救急医療サービスに連絡してください。
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情報源とガイダンス
この記事は教育目的で、利用可能な場合は認知された健康情報および臨床ガイダンスの情報源を参照して作成されています。具体的な情報源リンクはトピックによって異なる場合があります。
最終更新: 2026年7月31日
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