骨軟化症(こつなんかしょう)とは?
国際的な診療ガイドラインに基づく
概要
骨軟化症は、骨が十分に固くならず、やわらかくなってしまう病気です。主にビタミンDが不足することで、新しい骨が正常に作られなくなり、骨全体の強さが低下します。その結果、骨の痛みや筋力の低下、骨折を起こしやすくなります。
重要な事実
- 骨軟化症は大人の骨の病気で、子どもの場合は「くる病」とも呼ばれます。
- 最も多い原因はビタミンDの不足ですが、カルシウムやリンの不足、消化管の病気、腎臓の病気でも起こります。
- 早期に見つけて治療すれば、症状は改善し、骨の強さを取り戻すことができます。
日本ではまれな病気ですが、日光を浴びる機会が極端に少ない方や、消化管の病気で栄養が吸収されにくい方では、時々見られます。
大人であればどの年代でも起こり得ますが、高齢者、妊娠・授乳中の女性、胃や腸の手術を受けた方、腎臓病や肝臓病がある方に多く見られます。
症状
- 転んだり、ちょっとした拍子に強い痛みが走り、動けなくなった場合(骨折の疑いがあります)
- 腰や背中に突然の激しい痛みが起き、足に力が入らなくなった場合
- 意識がぼんやりする、呼吸が苦しいなど、ほかの重い病気を疑う症状がある場合
- ⚠強い骨の痛みが続いて、日常の歩行や家事が難しい場合
- ⚠脚や腰に痛みがあって、体重をかけると強い痛みがある場合
- ⚠骨折したかもしれないが、救急車を呼ぶほどではない場合(できるだけ早く整形外科を受診)
一般的な症状
- 骨の奥がうずくような痛み(特に腰、太もも、骨盤、足)
- 筋力の低下、特に脚の力が入りにくい
- 歩き方がよちよちになる、階段を上がりにくい
- 特別な衝撃がなくても骨が折れる(骨折)
- 全身のだるさ、疲れやすさ
子供の症状
- 成長期の子どもでは「くる病」という形で現れます。
- 脚がO字型やX字型に曲がる
- 身長の伸びが遅い、発育が遅れる
- 頭の骨がやわらかく感じる、歩き始めが遅い
高齢者の症状
- 腰や背中、股関節の痛みが続く
- 転倒しやすくなる、骨折しやすくなる
- 手足の力が弱くなり、立ち上がったり歩いたりするのがつらくなる
原因
主な原因
- ビタミンDの不足(日光を浴びる時間が極端に少ない、食事から十分に取れない)
- カルシウムやリンの不足、または体内でこれらのバランスが崩れる
- 胃や腸の病気・手術によって、栄養が十分に吸収されない
- 腎臓や肝臓の病気で、ビタミンDが正常に働かない
- 一部の薬の影響(長期間服用している薬がある場合、医師に相談を)
リスク要因
- 外出が少なく、日光をほとんど浴びない
- 偏った食事や栄養不足、極端なダイエット
- 胃の切除手術や腸の病気(クローン病、セリアック病など)
- 腎臓病、肝臓病がある
- 妊娠・授乳中で、赤ちゃんに栄養を取られる
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 骨の痛みが急に強くなった、または歩けなくなった
- ちょっとした衝撃で骨が折れた(骨折の可能性)
- 両脚や腰の力が急速に弱くなった
定期受診を予約すべき場合:
- 数週間から数か月続く骨の痛みやだるさがある
- 階段を上るのがつらい、立ち上がりにくい
- 食事や日光の取り方に不安がある、栄養不足を感じる
- 消化器の病気や腎臓病で通院している方で、骨の症状が気になる
診断
医師が問診(症状や生活習慣の確認)と診察を行い、血液検査や画像検査で骨の状態を調べます。必要に応じて専門医を紹介することもあります。
行われる可能性のある検査
- 血液検査(カルシウム、リン、ビタミンD、副甲状腺ホルモンなどの値)
- レントゲン検査(骨の変化を確認)
- 骨密度検査(骨の強さを測る)
- 場合によっては骨生検(骨の一部を採取して調べる検査)
診察で予想されること
診察では、痛みの場所、食事の内容、日光を浴びる時間、過去の病気や手術、服用中の薬について詳しく聞かれます。血液検査の結果とあわせて診断します。ほとんどの場合、外来での検査で確認できます。
治療
治療の基本は、不足している栄養素(特にビタミンD)を補い、骨が丈夫になる環境を整えることです。同時に、原因となっている病気や薬の影響があれば、それを改善・調整します。
自宅でのセルフケア
- 医師の指示に従って、ビタミンDやカルシウムを食事から十分に取る
- 天気のよい日に、短時間(10〜15分程度)日光を浴びる
- 痛みが強い時期は無理をせず、体を休める
- 転倒を防ぐために、家の中の段差をなくす、滑りにくい靴を履く
- 飲酒や喫煙は骨の健康に悪影響を与えるため、控える
医療治療
医師の管理のもとで、不足しているビタミンDやカルシウムを薬やサプリメントとして補充します。骨の代謝を調整する薬が使われることもあります。原因となっている病気(腎臓病、消化管の病気など)がある場合は、その病気の治療を優先します。具体的な薬の種類や量は、必ず医師が判断しますので、自己判断で薬局のサプリメントを大量に摂取しないでください。
手術が検討される場合
骨軟化症そのものに対する手術はありません。ただし、骨軟化症が原因で骨折した場合は、骨折を治療するための手術が必要になることがあります。
この病気と共に生きる
骨軟化症の治療中は、無理をしすぎず、痛みを感じたら休むことが大切です。骨が弱っている間は、重い荷物を持ち上げたり、高い所から飛び降りたりするような負担を避けましょう。徐々に症状がよくなり、通常の生活に戻れることがほとんどです。
生活習慣のアドバイス
- 毎日少しずつ日光を浴びる習慣をつける
- バランスのよい食事を心がける(乳製品、小魚、緑黄色野菜などを適度に)
- 禁煙し、お酒は控えめにする
- 家の中を整理して、転倒のリスクを減らす
- 痛みが続くときは、無理せず主治医に相談する
食事と運動
食事では、ビタミンDを含む魚(サケ、サンマ、サバなど)や、カルシウムを含む乳製品・小魚・豆腐などを取り入れましょう。運動は、骨への負担が少ないウォーキングや水中歩行などから始め、医師や理学療法士の相談を受けながら行うと安全です。
精神的健康と心の健康
慢性的な骨の痛みや運動の制限があると、気分が落ち込んだり、不安になったりすることもあります。無理をせず、自分のペースで生活することが大切です。つらい気持ちがあるときは、家族や友人、医師に話すだけでも楽になることがあります。
予防
多くの場合、生活習慣の改善で予防できます。特に、日光を十分に浴び、ビタミンDとカルシウムをバランスよく取ることが重要です。ただし、消化管の病気や腎臓病などが原因の場合は、その病気の治療が予防につながります。
合併症
治療しない場合
- 骨がもろくなり、ちょっとした拍子に骨折する
- 背骨の圧迫骨折による背中や腰の慢性的な痛み
- 身長が縮む、猫背になる
- 筋力が低下して歩けなくなり、寝たきりになるリスクが高まる
長期的な見通し
骨軟化症は、原因を正しく治療すれば、症状は大きく改善します。骨の痛みや筋力は、治療を始めてから数か月でよくなることが多く、骨の強さも数年かけて回復します。早期発見・早期治療がとても大切です。あきらめずに、医師と一緒に治療を続けましょう。
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情報源とガイダンス
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最終更新: 2026年7月31日
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