鉤虫症(こうちゅうしょう)―知っておきたい基礎知識
国際的な診療ガイドラインに基づく
概要
鉤虫症は、寄生虫の一種である鉤虫が腸に寄生しておこる感染症です。幼虫が土の中にいて、素足で踏むと皮膚から入り込み、やがて腸に達して成虫になります。腹痛や下痢、貧血などの症状を引き起こすことがあります。
重要な事実
- 鉤虫は、汚染された土の中の幼虫が皮膚から入って感染します。
- 感染しても症状がない人もいますが、貧血や腹痛の原因になります。
- きちんと検査して治療すれば、ほとんどの場合治る病気です。
日本ではまれな病気です。しかし、海外の温暖な地域や衛生設備が十分でない地域への渡航歴がある方は、注意が必要です。
裸足で土を踏む機会が多い農業従事者や、衛生状態が整っていない地域に住む人・旅行者が感染しやすいです。子どもも感染することがあります。
症状
- 意識がもうろうとするほどの強い貧血症状(すぐに119番に連絡してください)
- 激しい腹痛が続く(すぐに119番に連絡してください)
- 吐血や下血(血を吐く、黒い便が出る)が見られる(すぐに119番に連絡してください)
- ⚠1週間以上続く下痢
- ⚠便に血が混じる
- ⚠めまいや立ちくらみが続く
- ⚠強い疲労感で日常生活が送れない
一般的な症状
- 皮膚のかゆみや発疹(幼虫が入った場所)
- 疲れやすさ(貧血による)
- 食欲不振
子供の症状
- 成長の遅れ
- 貧血による顔色の悪さ
- 集中力の低下
- おなかの痛み
高齢者の症状
- 息切れや動悸(貧血が進んだ場合)
- ふらつき
- 全身の強い倦怠感
原因
主な原因
- 感染した人の便に混ざった鉤虫の卵が土の中で幼虫になる
- 素足で汚染された土を踏み、幼虫が皮膚から侵入する
- 幼虫が血流に乗って肺に移動し、のどを通って腸に達して成虫になる
リスク要因
- 温暖で湿った地域への旅行や滞在
- 素足で歩く習慣
- トイレなどの衛生設備が整っていない地域での生活
- 農業や土いじりの仕事
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 貧血の症状が急に強くなった(動悸、息切れ、めまい)
- 激しい腹痛がある
- 便に血が混じる、または黒っぽい便が出る
定期受診を予約すべき場合:
- 原因が分からない疲れや貧血が続く
- 腹痛や下痢が長引く
- 心当たりのある地域への渡航歴があり、症状がある
診断
医師が症状や渡航歴を確認し、便の検査や血液検査で診断します。
行われる可能性のある検査
- 便検査(顕微鏡で虫の卵を確認します)
- 血液検査(貧血や好酸球の増加を確認します)
- 必要に応じて内視鏡検査
診察で予想されること
まずは気になる症状や渡航歴を医師に伝えましょう。便の採取方法などについて説明があります。結果が出るまで数日かかることがあります。
治療
治療は、寄生虫を退治する薬(駆虫薬)が中心です。貧血がある場合は鉄分の補給も行います。治療後は再発を防ぐため、生活習慣の見直しも大切です。
自宅でのセルフケア
- 医師の指示に従い、処方された薬を最後まで飲み切る
- トイレの後や食事前には必ず手洗いをする
- 下着やシーツを清潔に保つ
- 爪を短く切り、皮膚を清潔に保つ
医療治療
駆虫薬による治療が基本です。薬の種類や服用期間は医師が決定します。貧血の程度によっては鉄分の補充も行われます。自己判断で市販薬を使用せず、医師の指示に従ってください。
手術が検討される場合
通常、手術が必要になることはありません。
この病気と共に生きる
治療中は、十分な休養と栄養をとり、体を回復させましょう。家族への二次感染を防ぐため、トイレの後はしっかり手を洗いましょう。
生活習慣のアドバイス
- 素足で土を踏まない
- 長靴や手袋を着用して農作業や土いじりをする
- 使用後のトイレは清潔に保ち、手指の消毒習慣をつける
食事と運動
貧血がある場合は、鉄分やたんぱく質を多く含む食品(レバー、赤身の魚、ほうれん草、大豆製品など)を意識してとりましょう。激しい運動は避け、体調に合わせて軽い散歩などから始めましょう。
精神的健康と心の健康
寄生虫の病気と聞くと不安になるかもしれませんが、適切な治療で治る病気です。気になる不安や悩みは、医師や看護師に遠慮なく相談してください。
予防
はい、予防できます。最も大切なのは、感染した人の便が環境中に広がらないようにすることと、皮膚から幼虫が入らないようにすることです。
ワクチン
現在のところ、鉤虫症を予防するワクチンはありません。
検診プログラム
決まった予防的な検査はありませんが、渡航前に渡航先の感染症情報を確認し、帰国後に気になる症状があれば医師に相談しましょう。
合併症
治療しない場合
- 鉄欠乏性貧血(赤血球が不足して、疲れやすさや息切れが起こる)
- 低栄養状態(たんぱく質の不足)
- 子どもの場合、発育や発達の遅れ
- 重度の貧血による心不全(まれ)
長期的な見通し
鉤虫症は、適切な治療を受ければ、ほとんどの場合問題なく治ります。貧血も治療後には回復していきます。放置せずに医療機関を受診することが何より大切です。
サポートを探す
外部リンクは第三者のウェブサイトを開きます。Ruqelo は外部コンテンツについて責任を負いません。団体名の掲載は推奨を意味するものではありません。
必ず医師に確認してください
健康ガイドラインは国や地域によって異なります。この記事の情報は国際的な臨床ガイドラインに基づいていますが、お住まいの国の具体的なガイドライン、薬、または診療慣行を反映していない場合があります。健康上の懸念は常にご自身の医師または医療提供者と相談し、利用可能な場合は地域の国家ガイドラインを参照してください。
重要なお知らせ この情報は教育目的にのみ提供されています。専門的な医療アドバイス、診断、治療に代わるものではありません。ご自身の状況については、常に資格を持つ医療専門家にご相談ください。医療上の緊急事態が発生した場合は、直ちに最寄りの救急医療サービスに連絡してください。
関連する疾患
情報源とガイダンス
この記事は教育目的で、利用可能な場合は認知された健康情報および臨床ガイダンスの情報源を参照して作成されています。具体的な情報源リンクはトピックによって異なる場合があります。
最終更新: 2026年7月31日
教育上の注記: この情報は教育目的のみであり、診断ではありません。
免許を持つ医療者のアドバイスを補うために使い、代わりにはしないでください。
症状が重篤、悪化、または緊急の場合は、地域の救急番号に電話するか、緊急医療を受けてください。