糞線虫症(ストロンギロイデス症)について
国際的な診療ガイドラインに基づく
概要
糞線虫症は、とても小さな寄生虫(糞線虫)が体の中に入ることで起こる感染症です。この寄生虫は主に土の中にいて、素足で土を踏んだときに皮膚から入り込み、腸の中で育ちます。多くの人は症状がなく、気づかないこともあります。
重要な事実
- 多くの人は症状がなく、何年も気づかないことがあります。
- 寄生虫が皮膚から入り込み、肺や腸など体内を移動します。
- 免疫(ばい菌などから体を守る力)が弱っている人では、重い症状になることがあります。
日本ではあまり多くない病気ですが、暖かい地域(東南アジアや熱帯地方など)への渡航歴がある人や、そうした地域に住んでいた人にみられます。また、沖縄などかつて流行があった地域の高齢者で見つかることもあります。
農作業などで素足で土に触れる機会がある人、熱帯・亜熱帯の地域に旅行したり住んだりした人、免疫を弱める治療を受けている人、HTLV-1(成人T細胞白血病の原因となるウイルス)に感染している人では注意が必要です。
症状
- 急な息苦しさや呼吸が苦しい
- 血が混じったたんが出る
- 強いお腹の痛み
- 高熱と一緒に意識がぼんやりする
- 免疫力が弱っている人が急に重い症状を出した(このような場合はためらわず救急車・119番を呼んでください)
- ⚠下痢が続いて水分が取れない、脱水(のどが渇く・尿が少ない)の心配がある
- ⚠急に体重が減った
- ⚠皮膚の発疹が広がってきた
- ⚠旅行から戻ってから下痢や発疹などが治らない
一般的な症状
- 症状がない(もっとも多い)
- お腹の痛み
- 皮膚のかゆみ・赤い発疹(特に足やお尻などにできることがある)
- 乾いた咳(せき)
子供の症状
- お腹の痛みや下痢
- 食欲があまりない
- 体重が増えない、発育に影響が出ることがある
高齢者の症状
- 症状がないことが多い
- 理由のわからない疲れやすさ
- お腹の不調や便秘・下痢
- 皮膚のかゆみやじんましん
原因
主な原因
- 糞線虫(Strongyloides stercoralis)という寄生虫が体に入ることで起こります。
- 感染した人の便が土を汚し、その土を素足で踏むと幼虫が皮膚から入ってきます。
- 幼虫は血管を通って肺に移動し、のどを越えて飲み込まれ、小腸にたどり着いて卵を産みます。
リスク要因
- 熱帯・亜熱帯の地域(東南アジア、アフリカ、中南米など)への旅行・長期滞在
- 農作業やガーデニングで裸足になるなど、土に直接触れる仕事・活動
- 免疫力が弱っている(ステロイド薬や抗がん剤を使っている、臓器移植の後、HIV感染など)
- HTLV-1に感染している(特に日本の高齢者でみられることがある)
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 熱帯地方への旅行後に、下痢・発疹・咳などがあり、さらに息苦しさや血の混じったたんが出る場合
- 免疫力が弱っている人で、原因不明の発熱や強い腹痛が続く場合
定期受診を予約すべき場合:
- 下痢やお腹の痛みが2週間以上続く
- 足やお尻に赤くてかゆい発疹ができた
- 渡航歴や土に触れる機会があり、心配な症状がある
診断
医師があなたの症状・渡航歴・土に触れる機会などを尋ねます。そのうえで、寄生虫がいないかを調べるために便や血液の検査を行います。
行われる可能性のある検査
- 便の検査(寄生虫や卵が便のなかに出ないかを調べます)
- 血液検査(虫に対する抗体ができていないかを調べます)
- まれに内視鏡(胃カメラなど)で小腸の状態を確認することがあります
診察で予想されること
便の検査は1回では見つかりにくいこともあるため、数日間まとめて便を提出することがあります。血液検査は数日で結果が出ます。
治療
糞線虫症は、寄生虫を退治するための薬(抗寄生虫薬)で治療します。多くは飲み薬で、治療期間は比較的短いです。免疫力が弱い方では、再発しないように長めの治療が必要になることもあります。
自宅でのセルフケア
- 医師から処方された薬は、指示どおり最後まで飲みましょう。
- 治療中は手洗いをこまめに行い、清潔を心がけましょう。
- かゆみがある場所を強くかかないようにして、皮膚を清潔に保ちましょう。
- 熱のあるときは十分に休み、水分をこまめに取りましょう。
医療治療
治療には抗寄生虫薬を使います。薬の種類や服用期間は、症状の重さや体の状態によって異なります。医師の処方に従って服用してください。治療後も再感染や再発の確認のため、便や血液の検査を再び受けることがあります。
手術が検討される場合
糞線虫症に対して手術が必要になることは通常ありません。
この病気と共に生きる
治療後は、症状が落ち着いているかどうかを確認しながら生活します。無症状で経過していた人も、免疫が弱くなるような治療を受ける前に、きちんと検査と治療を済ませておくことが大切です。定期的に通院し、医師の指示に従いましょう。
生活習慣のアドバイス
- 屋外で土に触れるときは必ず靴や長靴を履く
- 手洗いを毎日の習慣にする
- 爪を短く切り、皮膚を清潔に保つ
- 免疫力を保つために十分な睡眠と休養をとる
食事と運動
バランスのよい食事を心がけ、体の免疫力を保つことが大切です。激しい運動は無理をせず、体調に合わせて散歩などの軽い運動を取り入れてください。
精神的健康と心の健康
寄生虫の病気と聞くと不安になるかもしれませんが、治療がしっかり効く病気です。気になる症状や不安があるときは、ひとりで抱え込まずに医師や看護師に話してください。
予防
はい、予防できます。感染が知られている地域では素足で土を歩かない、手をよく洗う、安全な水を飲む、きれいな野菜や果物を食べることが大切です。
ワクチン
糞線虫症を予防するワクチンは現在ありません。
検診プログラム
感染地域から帰った人や免疫力が弱い人では、症状がなくても検査をすすめられることがあります。医療機関で相談してみましょう。
合併症
治療しない場合
- 腸に長くすみつくことで慢性的な下痢や栄養の吸収不良になり、体重が減ることがある
- 寄生虫が体の中でも増え続ける「過剰感染症候群」を起こすことがある(特に免疫が弱っている人)
- 寄生虫が腸から血管を通って肺や脳など全身に広がり、命に関わることもある
長期的な見通し
きちんと治療すれば、多くの人は完全に回復します。免疫力が弱い人でも、早期に発見して治療を始めれば回復が期待できます。心配なときは早めに医療機関を受診してください。
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必ず医師に確認してください
健康ガイドラインは国や地域によって異なります。この記事の情報は国際的な臨床ガイドラインに基づいていますが、お住まいの国の具体的なガイドライン、薬、または診療慣行を反映していない場合があります。健康上の懸念は常にご自身の医師または医療提供者と相談し、利用可能な場合は地域の国家ガイドラインを参照してください。
重要なお知らせ この情報は教育目的にのみ提供されています。専門的な医療アドバイス、診断、治療に代わるものではありません。ご自身の状況については、常に資格を持つ医療専門家にご相談ください。医療上の緊急事態が発生した場合は、直ちに最寄りの救急医療サービスに連絡してください。
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情報源とガイダンス
この記事は教育目的で、利用可能な場合は認知された健康情報および臨床ガイダンスの情報源を参照して作成されています。具体的な情報源リンクはトピックによって異なる場合があります。
最終更新: 2026年7月31日
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