血友病について
国際的な診療ガイドラインに基づく
概要
血友病は、血液を固めるために必要な「凝固因子」が遺伝的な原因で不足するために、けがをしたときなどに出血が止まりにくくなったり、体の中で出血(内出血)が起こりやすくなったりする病気です。
重要な事実
- 血友病は、ほとんどが生まれつき持っている遺伝子の異常が原因です。
- 主なタイプは「A型」(第Ⅷ因子が不足)と「B型」(第Ⅸ因子が不足)の2つがあります。
- 治療をきちんと続ければ、多くの人が仕事や学校生活をほぼ普通に送れます。
血友病はまれな病気です。日本では厚生労働省の指定難病に含まれており、認定を受けると医療費の助成などを利用できます。
ほとんどが男性です。血友病の原因となる遺伝子はX染色体にあり、男性に症状が現れやすいことが知られています。女性は保因者として遺伝子を受け継いでも、症状が出ないか、出ても軽いことがほとんどです。
症状
- 頭を打った後に、激しい頭痛・吐き気・意識がもうろうとする・けいれん・手足の力が入らないなどが現れる
- 大きな事故やけがで、出血が止まらない
- 血を吐いたり、黒色の便(タール便)や血液が混ざった便が出たりする
- 関節や筋肉が突然強く腫れて、激しい痛みで動かせない
- 上記のいずれかがある場合は、ためらわずに119番(救急)に電話してください
- ⚠関節に腫れや違和感がある(冷やしながら早めに受診)
- ⚠血の混じった尿が出る
- ⚠歯ぐきや口の中の出血が続く
- ⚠軽いけがでも出血が長引く
一般的な症状
- あざができやすい(大きなあざ・理由がわからないあざ)
- 小さな切り傷や擦り傷でも血がなかなか止まらない
- 鼻血が止まりにくい
- ひじ・ひざ・足首などの関節の中に出血して、腫れたり痛んだりする
- 尿や便に血が混じる
子供の症状
- 歩き始めるころに、転んだだけで大きなあざができる
- 抜けた歯や口の中の傷から出血が続く
- おむつに血がついている(おしっこから出血している可能性)
- 予防接種の後、針を刺した場所から血が止まりにくい
高齢者の症状
- これまでの関節の出血の繰り返しによる慢性的な痛みや動きの制限
- 手術や歯科治療の後に出血が続きやすい
- 内出血しやすさや、関節のこわばりが目立ってくる
原因
主な原因
- 血液を固める働きを持つ「凝固因子」が遺伝子の変化(変異)により正しく作られないことが原因です。
- 血友病は、X染色体を通して親から子に受け継がれることがほとんどです。
- まれに、生まれつきではなく、免疫の異常により凝固因子を攻撃する「自己抗体」ができて起こる「後天性血友病」というタイプもあります。
リスク要因
- 家族(両親や兄弟)に血友病の方がいる
- 男性である
- 後天性血友病の場合:高齢である、妊娠・出産後にあたる、がんや自己免疫疾患がある
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- けがをした後、止血をしても30分以上出血が続く
- 関節や筋肉に突然の強い腫れや痛みがある
- 血尿が出る、または便に血が混じっている
- 頭をぶつけたり体を強く打ったりした後に、いつもと違う症状がある
定期受診を予約すべき場合:
- 頻繁に鼻血が出る、あざが度々できる
- 小さな傷でも血が止まりにくいと感じる
- 家族に血友病の方がいるため、検査を受けたい
- 抜歯や手術を予定しており、出血のリスクについて事前に相談したい
診断
血友病の診断は、症状や家族歴の確認と、血液検査によって行います。血液が固まるまでの時間や、凝固因子の量・働きを調べます。多くの場合、血液内科(血友病専門の科)で診断されます。
行われる可能性のある検査
- 血液凝固能検査(PT・APTTなど、血が固まる時間を調べる)
- 第Ⅷ因子・第Ⅸ因子活性測定(不足している凝固因子を特定する)
- 血小板数や血算(血小板の数など血液全体の状態をみる)
- 遺伝子検査(家族歴があり、保因者かどうかの確認が必要な場合)
診察で予想されること
採血の検査自体は特別な準備が要りません。結果には数日かかることがあります。診断後は、血液内科の医師や血友病専門の看護師、コーディネーターが、あなたの状態に合わせた治療計画を作ってくれます。
治療
血友病の治療は大きく「補充療法」が中心です。不足している凝固因子を静脈から補い、出血を止めたり予防したりします。最近では、注射の回数をへらす薬や、新しい働きの治療薬も登場しています。
自宅でのセルフケア
- けがを防ぐため、家の中のとがった角を保護する、段差に注意するなど環境を整える
- 運動時はヘルメットやサポーター、プロテクターを着用する
- やわらかい歯ブラシを使い、歯ぐきを傷つけないようにする
- 市販の痛み止めやかぜ薬などでも、血液を固まりにくくする成分が含まれているものがあるため、必ず医師か薬剤師に相談する
医療治療
治療は血液内科の医師と相談しながら行います。不足する凝固因子を静脈注射で補う「補充療法」が基本です。出血が起きた時だけに行う方法と、定期的に行うことで出血を予防する方法(予防療法)があります。また、凝固因子が壊れにくくなる新しい作用の薬を使う治療法もあります。重症度や出血の状況に合わせて、医師が最適な方法を提案します。具体的な薬の名称や量については、必ず医師に相談してください。
手術が検討される場合
手術や抜歯などを行う前には、必ず血友病であることを担当医に伝えます。血液内科の医師と連携し、凝固因子を補いながら手術すれば、安全に行うことができます。
この病気と共に生きる
血友病と共に生活するうえで大切なのは、自分の体の特性を知り、出血の初期サインに気づくことです。治療計画を守り、定期的に受診しましょう。緊急時に備え、病名・治療内容・担当医の連絡先を記載したカードや紹介状を持ち歩くと安心です。
生活習慣のアドバイス
- 水泳、ウォーキング、サイクリングなど、関節に負担がかかりにくい運動を習慣にする
- ラグビー、ボクシング、格闘技など、強い体当たりのある競技は避ける
- 自転車に乗るときはヘルメットを必ず着用する
- 肥満は関節への負担が増えるため、体重管理を心がける
食事と運動
血液を固まりやすくする特別な食品はありません。骨と関節の健康のために、カルシウムとビタミンDを含むバランスのよい食事を意識しましょう。適度な運動は筋肉を強くし、関節を守る効果があります。運動プログラムを始める前には医師の許可を確認してください。
精神的健康と心の健康
出血の不安や、将来への心配から気分が落ち込んでしまうこともあります。それは自然な感情です。ひとりで抱え込まずに、家族や友人、担当医、看護師、または心理の専門家に話してみましょう。
予防
血友病自体は遺伝子の異常が原因のため、未然に防ぐことはできません。しかし、日常生活でけがを防ぎ、適切な治療を続けることにより、出血の頻度や重症度を抑えることは十分に可能です。
ワクチン
予防接種は原則として受けることができますが、筋肉注射は出血を伴う場合があります。接種前に血友病であることを必ず伝え、皮下注射など安全な方法を用いることができます。母子手帳の記録や医師と相談しながら計画的に受けましょう。
検診プログラム
血友病の家族歴がある場合、妊娠前に保因者診断や出生前検査の可能性を、遺伝カウンセリングや血液内科で相談できます。検査の目的や限界についてしっかり説明を受けた上で選択しましょう。
合併症
治療しない場合
- 関節内出血を繰り返すと関節が変形し、動かしにくくなる(血友病性関節症)
- 頭の中や内臓で出血が起こると、命の危険を伴うことがある
- 出血が続くことで貧血が進行し、疲れやすくなる
長期的な見通し
現代の血友病治療は大きく進歩し、適切に治療を続ければ、ほとんど制限なく生活できる方が大半です。血液内科を中心とした定期的なケアを受けることで、合併症を抑え、安心して日々を過ごすことができます。
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必ず医師に確認してください
健康ガイドラインは国や地域によって異なります。この記事の情報は国際的な臨床ガイドラインに基づいていますが、お住まいの国の具体的なガイドライン、薬、または診療慣行を反映していない場合があります。健康上の懸念は常にご自身の医師または医療提供者と相談し、利用可能な場合は地域の国家ガイドラインを参照してください。
重要なお知らせ この情報は教育目的にのみ提供されています。専門的な医療アドバイス、診断、治療に代わるものではありません。ご自身の状況については、常に資格を持つ医療専門家にご相談ください。医療上の緊急事態が発生した場合は、直ちに最寄りの救急医療サービスに連絡してください。
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情報源とガイダンス
この記事は教育目的で、利用可能な場合は認知された健康情報および臨床ガイダンスの情報源を参照して作成されています。具体的な情報源リンクはトピックによって異なる場合があります。
最終更新: 2026年7月31日
教育上の注記: この情報は教育目的のみであり、診断ではありません。
免許を持つ医療者のアドバイスを補うために使い、代わりにはしないでください。
症状が重篤、悪化、または緊急の場合は、地域の救急番号に電話するか、緊急医療を受けてください。