無血管性骨壊死(骨壊死)
国際的な診療ガイドラインに基づく
概要
無血管性骨壊死(むけっかんせいこつえし)とは、骨に血液が十分に届かなくなり、骨の組織が死んでしまう病気です。骨がもろくなって、つぶれてしまうことがあります。特にお尻の関節(股関節)に起こりやすく、膝や肩などにも起こることがあります。
重要な事実
- 骨の一部に血液が届かなくなると、骨が壊死(死んだ状態)します。
- 最も多い場所は股関節の骨(大腿骨頭)です。
- 早期に見つけて治療すれば、関節を温存できる可能性が高まります。
- 原因には、ケガやステロイド薬の長期使用、お酒の飲みすぎなどがあります。
無血管性骨壊死は、よくある病気ではありませんが、日本では年に一定数の人が診断されます。骨折やステロイド治療の背景がある人に多く見られますが、健康な人でも起こり得ます。
30~50歳代の男性にやや多く見られますが、女性や子どもにも起こることがあります。子どもでは「ペルテス病」という形で股関節に起こることがあります。また、ステロイド薬を長期使用している人や、お酒を多く飲む人はリスクが高くなります。
症状
- 突然、足に体重をかけられなくなった
- 強い痛みのあと、関節がはれて動かせない
- 転倒やケガのあとに、足の形がおかしい、激しい痛みがある
- ⚠安静にしても痛みが続く、または悪化する
- ⚠歩くと痛くて、階段が上れない
- ⚠ステロイド薬を使っている人や、お酒を多く飲む人が、股関節や膝の痛みを感じる
一般的な症状
- 股関節や太ももの付け根、お尻、膝に痛みが出る
- 歩くときや体重をかけたときに痛む
- 関節の動きが制限される、曲げ伸ばししにくい
- 進行すると、安静にしていても痛む、夜間痛がある
- 足を引きずる、跛行(はこう)が見られる
子供の症状
- 足を引きずって歩く
- 太ももや膝、股関節の痛みを訴える
- 股関節の動きが悪くなる
- 特に原因がなくても痛みが出ることがある
高齢者の症状
- 初期には症状がないこともあり、気づかないまま進行することがある
- 体重をかけたときの股関節や膝の痛み
- 階段の上り下りがつらくなる
- 関節がこわばったり、動きが悪くなったりする
原因
主な原因
- 骨の骨折や関節の脱臼などのケガによって、骨への血流が傷つく
- ステロイド薬(副腎皮質ホルモン)の長期使用
- 大量のアルコールを長期間続ける
- 血液が固まりやすい病気や、血流を悪くする病気(例:血友病や鎌状赤血球症など)
- 放射線治療の影響
リスク要因
- ステロイド薬を高用量または長期間使用している
- アルコール依存症または大量飲酒
- 股関節のケガ、骨折、脱臼の既往
- 血液を固まりにくくする病気、血栓や脂肪の栓
- 透析治療を受けている、または内臓移植後
- 喫煙、肥満などの生活習慣
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 股関節や膝の痛みが数週間以上続く
- 痛みのせいで、日常生活の動作(歩く、座る、しゃがむ)が困難
- ステロイド薬を使っている人や、お酒を多く飲む人で、原因不明の関節痛が続く
定期受診を予約すべき場合:
- 痛みが軽くても、気になる症状が出てきたら早めに受診すると安心
- 持病があり、定期的な診察を受けている人は、その主治医に相談する
- 健康診断や骨粗しょう症検診で、関節のレントゲンを指摘されたことがある人
診断
まず、医師があなたの症状やケガの歴史、飲酒の習慣、使っている薬について詳しく聞きます。その後、関節の動きを確認する身体診察を行い、画像検査で骨の状態を調べます。
行われる可能性のある検査
- レントゲン検査(初期では異常が見えないこともあります)
- MRI検査(血液の流れや骨の変化を詳しく見るのに最も役立ちます)
- CT検査(骨のつぶれの程度を詳しく調べる)
- 骨シンチグラフィ(血流の状態を調べる放射性物質を使う検査)
診察で予想されること
診察は通常は外来で行われ、痛みの強さや関節の動き、歩き方を確認されます。MRI検査を受ける人もいます。結果が出るまでに数日かかることがありますが、特に体に負担のかかる検査ではありません。もし心配なことは、診察のときに遠慮なく医師に聞いてください。
治療
無血管性骨壊死の治療は、骨がつぶれるのを防ぎ、関節の機能を保ち、痛みを和らげることを目指します。治療は病気の進行の度合いや、年齢、日常生活の活動レベルによって異なります。
自宅でのセルフケア
- 痛みがあるときは、その関節にあまり体重をかけずに休む
- 松葉杖やステッキなどの歩行補助具を使うと、関節への負担を減らせる
- 医師の指示があるまでは、激しい運動やジャンプ、長距離の歩行を控える
- お酒を控える、禁煙することを心がける
- 体重管理を行い、関節への負担を減らす
医療治療
治療には、薬を使って痛みを和らげたり、骨の代謝を助けたりする方法があります。また、外科的な治療として、骨に針を開けて血流を改善する「髄心減圧術」や、骨の切り方などを調整する「骨切り術」、骨を移植する方法などが行われることがあります。具体的な治療法や、薬の種類や使い方については、必ず主治医とよく相談してください。
手術が検討される場合
骨がすでに大きくつぶれている場合や、薬や保存療法では痛みが改善しない場合は、人工関節(人工の関節に置き換える手術)が検討されることがあります。手術がどの程度必要かは、年齢や生活への希望も含めて、専門医と話し合って決めることが大切です。
この病気と共に生きる
痛みの程度に合わせて、日常生活の動作を無理のない範囲で調整しましょう。たとえば、床に座るときは足を組みかけるのを避け、椅子に座る時間を増やすなどの工夫ができます。必要に応じて、作業療法士から動作のアドバイスを受けると安心です。
生活習慣のアドバイス
- お酒は、医師に相談の上、できるだけ控える
- 喫煙は血流を悪くするため、禁煙を目指す
- 体重を適正に保つことで関節の負担をへらす
- ストレスをためないように、自分に合ったリラックス方法を見つける
- 使っている薬について、定期的に医師と話し合う(特にステロイド薬)
食事と運動
骨の健康のために、カルシウムやビタミンDを十分に摂る食事を心がけましょう。ただし、サプリメントを使う前に医師や薬剤師に相談してください。運動は、ウォーキングや水泳などの関節に負担の少ないものを中心に行い、痛みが強くない範囲で続けましょう。激しい運動は医師に相談してからにしてください。
精神的健康と心の健康
慢性的な痛みや動きの制限は、気分が落ち込んだり、不安になったりすることがあります。そんなときは無理をせず、一度その気持ちを家族や友達、医療スタッフに話してみてください。必要に応じて、心理的なサポートを受けることも選択肢の一つです。
予防
すべての無血管性骨壊死を予防することはできませんが、リスクを減らすことはできます。大量のお酒を避ける、長期間にわたるステロイド薬の使用をできるだけ避ける(ただし、自己判断で中止しない)、ケガを防ぐための転倒対策をすることが大切です。また、ステロイド薬をどうしても使う必要がある場合は、医師に骨への影響のことを相談し、定期的に検査を受けるとよいでしょう。
合併症
治療しない場合
- 骨が少しずつつぶれて、関節の形が変わる(関節の変形)
- 関節の軟骨がすり減って、変形性関節症になる
- 慢性的な強い痛みや、足を引きずるなどの歩行障害が残る
- 日常生活の動作が難しくなり、仕事や家事に支障が出る
長期的な見通し
無血管性骨壊死は、早期に見つけて適切な治療を受ければ、関節のつぶれを防いで、長く良い状態を保つことができます。進行してしまった場合でも、現在はさまざまな治療法があり、痛みを和らげて日常生活の質を高めることが可能です。あきらめずに、担当医と治療方針を一緒に考えていくことが大切です。
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必ず医師に確認してください
健康ガイドラインは国や地域によって異なります。この記事の情報は国際的な臨床ガイドラインに基づいていますが、お住まいの国の具体的なガイドライン、薬、または診療慣行を反映していない場合があります。健康上の懸念は常にご自身の医師または医療提供者と相談し、利用可能な場合は地域の国家ガイドラインを参照してください。
重要なお知らせ この情報は教育目的にのみ提供されています。専門的な医療アドバイス、診断、治療に代わるものではありません。ご自身の状況については、常に資格を持つ医療専門家にご相談ください。医療上の緊急事態が発生した場合は、直ちに最寄りの救急医療サービスに連絡してください。
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情報源とガイダンス
この記事は教育目的で、利用可能な場合は認知された健康情報および臨床ガイダンスの情報源を参照して作成されています。具体的な情報源リンクはトピックによって異なる場合があります。
最終更新: 2026年7月31日
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