急性散在性脳脊髄炎(ADEM)について
国際的な診療ガイドラインに基づく
概要
急性散在性脳脊髄炎(ADEM)は、体を守る免疫システムが誤って脳や脊髄を攻撃してしまい、炎症が起こるまれな病気です。多くはウイルス感染などの後に起こりますが、原因がはっきりしないこともあります。
重要な事実
- まれな病気で、年間10万人に数人の割合で発症します。
- 感染症や予防接種の後に起こることが多いですが、原因がわからないこともあります。
- 適切な治療を受ければ、多くの人が回復します。
まれな病気です。正確な頻度はよくわかっていませんが、日本では10万人あたり年間数人程度と考えられています。
子ども(特に5〜14歳)に多く見られますが、大人や高齢者にも発症することがあります。男性にやや多いという報告もあります。
症状
- 突然、意識を失った
- けいれん発作が止まらない
- 片方の手足がまったく動かない
- 呼吸が苦しい
- 激しい頭痛とともに嘔吐している
- ⚠発熱とともに強い頭痛がある
- ⚠視力が急に低下した、物が二重に見える
- ⚠手足の力が入りにくい、またはしびれがある
- ⚠歩き方がおかしい、ふらつく
- ⚠ぼんやりする、返事が遅い
一般的な症状
- 吐き気や嘔吐
- 意識がぼんやりする、反応が鈍い
- 手足の力が入らない、しびれる
- 視力の低下や物が二重に見える
- 歩き方がふらつく
- けいれん発作
子供の症状
- 機嫌が悪い、いつまでもぐずる
- いつもより眠い、元気がない
- 食欲がない
- 首を動かすと痛がる
- 発熱や頭痛をうまく言葉にできない
高齢者の症状
- 意識の混乱や記憶の障害が目立つ
- ふらついて転びやすい
- 突然、片側の手足が動かなくなる
- 認知症と間違われることがある
原因
主な原因
- 免疫システムの異常反応による脳と脊髄の炎症
- ウイルス感染(風邪、インフルエンザ、水ぼうそうなど)の後
- 細菌感染の後
- ごくまれに予防接種の後
リスク要因
- 子どもや若い成人
- 最近の感染症(特にウイルス性)
- 性別では男性にやや多いという報告がある
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 手足の力が入らない、しびれがある
- 視力の異常や物が二重に見える
- 歩き方がふらつく、バランスが悪い
- ぼんやりする、反応が鈍い
- 発熱と強い頭痛がある
診断
医師による診察と、MRIなどの画像検査、髄液検査、血液検査などを組み合わせて診断します。まずは感染症や腫瘍など、ほかの病気を除外することが大切です。
行われる可能性のある検査
- 神経学的診察(反射、バランス、感覚、視力など)
- MRI(脳と脊髄の画像検査)
- 腰椎穿刺(髄液検査)
- 血液検査
- 脳波検査(けいれんがある場合)
診察で予想されること
通常は入院して、神経内科や小児科の医師が診断を進めます。症状や検査結果によっては、診断が確定するまで数日かかることもあります。
治療
ADEMの治療は入院して行われます。炎症を抑える治療を中心に、症状を和らげるための支持療法を行います。多くの人は数週間で改善しますが、後遺症が残ることもあり、長期的な経過観察が必要です。
自宅でのセルフケア
- 安静にして十分に休む
- 水分をしっかり摂る
- 医師や理学療法士の指導のもとでリハビリテーションを行う
- 規則正しい生活を心がけ、体力の回復を助ける
医療治療
治療の中心は、炎症を抑える副腎皮質ステロイド薬(ステロイド)です。また、免疫グロブリン療法や血漿交換療法が行われることもあります。治療法は患者さんの状態に合わせて医師が選択します。必ず医師の指示に従ってください。
手術が検討される場合
ADEMに対して手術が必要になることは通常ありません。
この病気と共に生きる
回復には時間がかかることがあります。焦らず、自分のペースで日常生活に戻りましょう。リハビリテーションを継続することがとても大切です。
生活習慣のアドバイス
- リハビリテーション(理学療法、作業療法、言語療法など)を継続する
- 疲れたら休み、無理をしない
- 定期的に医師のフォローアップを受ける
- 必要な場合は認知機能の訓練を専門家と一緒に行う
食事と運動
バランスの良い食事を心がけ、医師に許可された範囲で軽い運動(散歩やストレッチなど)を取り入れましょう。食事制限が必要な場合は、医師の指示に従ってください。
精神的健康と心の健康
ADEMという病気を経験することは、不安や恐怖をともなうことがあります。また、後遺症によるストレスや気分の落ち込みを感じることもあります。そうした感情は自然なことです。気になる場合は、医師や心理の専門家、家族に相談してください。
予防
ADEMを完全に予防する方法はありません。ただし、感染症を予防することで、引き金になるリスクを減らせる可能性があります。
ワクチン
予防接種は感染症の予防に役立ちます。ごくまれにワクチン後にADEMが報告されることがありますが、その頻度は非常に低く、ワクチンによる予防効果のほうがはるかに大きいと考えられています。予防接種については、かかりつけ医と相談してください。
検診プログラム
ADEMに対する特別な検診方法はありません。感染症の後に神経の症状が現れたら、早めに医療機関を受診することが重要です。
合併症
治療しない場合
- 運動障害や視力障害などの神経学的後遺症が残ることがある
- けいれんやてんかんを発症することがある
- 意識障害が長引くことがある
- 認知機能や記憶の障害が残ることがある
長期的な見通し
ADEMは適切な治療を行うことで、多くの人が大きく回復します。回復の速度や程度には個人差がありますが、後遺症があってもリハビリテーションによって改善が期待できることもあります。希望を持って、医療チームと一緒に治療や回復に取り組んでいきましょう。
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健康ガイドラインは国や地域によって異なります。この記事の情報は国際的な臨床ガイドラインに基づいていますが、お住まいの国の具体的なガイドライン、薬、または診療慣行を反映していない場合があります。健康上の懸念は常にご自身の医師または医療提供者と相談し、利用可能な場合は地域の国家ガイドラインを参照してください。
重要なお知らせ この情報は教育目的にのみ提供されています。専門的な医療アドバイス、診断、治療に代わるものではありません。ご自身の状況については、常に資格を持つ医療専門家にご相談ください。医療上の緊急事態が発生した場合は、直ちに最寄りの救急医療サービスに連絡してください。
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情報源とガイダンス
この記事は教育目的で、利用可能な場合は認知された健康情報および臨床ガイダンスの情報源を参照して作成されています。具体的な情報源リンクはトピックによって異なる場合があります。
最終更新: 2026年7月31日
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