膀胱がん(ぼうこうがん):症状・検査・治療・生活について
国際的な診療ガイドラインに基づく
概要
膀胱がんとは、尿をためておく袋である膀胱の内側の粘膜から発生するがんです。初期は膀胱の表面だけにできるものが多く、早期に見つかれば治りやすいがんのひとつです。
重要な事実
- 膀胱がんでもっとも多いサインは、尿に血が混じる「血尿」です。
- 喫煙は膀胱がんのリスクを高める大きな要因です。
- 早期膀胱がんの多くは、膀胱を残す治療が可能です。
- 治療後も定期的な検査で経過を見ることがとても大切です。
膀胱がんは日本では決して珍しいがんではありません。男性に多く見られるがんで、毎年多くの方が診断されています。
膀胱がんは男性に多く、女性にも見られます。多くは60歳以上の中高年で診断されますが、若い人でもかかることはあります。
症状
- 血のかたまりのために尿がまったく出ない
- 急に強い腰痛や下腹部の痛みがある
- 大量の血尿に加えて、めまいや冷や汗、顔色が悪い
- このような症状がある場合は、ためらわずに119番へ電話してください。
- ⚠肉眼で分かる血尿がある
- ⚠尿がほとんど出ない
- ⚠排尿時の痛みに加えて発熱がある
一般的な症状
- 血尿(尿が赤い、ピンク色、コーラ色などに見える)
- 排尿時の痛みや違和感
- 頻尿(トイレが近い)
- 残尿感(尿を出し切った感じがしない)
- 尿がにごる
子供の症状
- 膀胱がんは子どもでは非常にまれです。子どもに血尿や排尿時の痛みなどの症状があっても、膀胱がん以外の病気の可能性がほとんどです。気になる症状があれば、小児科で相談してください。
高齢者の症状
- 高齢の方では、血尿や排尿の変化があっても、膀胱炎や前立腺の病気などと区別がつきにくいことがあります。症状を軽く見ずに、早めに泌尿器科を受診しましょう。
原因
主な原因
- 膀胱の内側の細胞が傷つき、異常な細胞が増えることで発生します。
- 喫煙が最も大きな原因のひとつとされています。
- 特定の化学物質(染料、ゴム、塗料などに使われるもの)に長期間さらされることと関連することがあります。
- 長く続く膀胱炎や膀胱結石などの慢性的な刺激が関連する場合もあります。
リスク要因
- 男性であること
- 50歳以上であること
- 化学物質を扱う職業に長く従事していたこと
- 慢性膀胱炎や膀胱結石を繰り返していること
- 血縁者に膀胱がんの人がいること
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 尿に血が混じっている(血尿)
- 排尿時の痛みや頻尿が続く
- 尿の色やにごりが気になる
定期受診を予約すべき場合:
- 健康診断や尿検査で「潜血」を指摘された
- 排尿の違和感が続くが、痛みはない
- 家族に膀胱がんの人がいて、心配になった
診断
診断は、尿検査や超音波(エコー)検査から始まります。必要に応じて、膀胱の内側をカメラで見る膀胱鏡検査や、CT・MRIなどの画像検査でがんの広がりを詳しく調べます。
行われる可能性のある検査
- 尿検査:尿に血が混じっていないか、炎症がないかを調べます。
- 尿細胞診:尿の中に異常な細胞(がん細胞)が出ていないかを調べます。
- 超音波(エコー)検査:おなかの上から膀胱の中や壁の状態を調べます。
- 膀胱鏡検査:尿道から細いカメラを入れ、膀胱の壁を直接観察します。
- CT検査・MRI検査:がんの深さや、周りの臓器への広がりを調べます。
診察で予想されること
検査は外来で行えるものが多く、膀胱鏡検査は痛みや違和感がありますが、通常は数分から数十分で終わります。結果が出るまでに日数がかかることがありますが、分からないことや不安なことは遠慮せず医師や看護師に質問してください。
治療
治療は、がんの深さや広がり、悪性度、年齢や体力などをもとに、担当医と相談して決めます。早期の膀胱がんでは膀胱を温存する治療が中心ですが、進行している場合は膀胱を摘出する手術や薬物療法、放射線療法などを組み合わせて治療します。
自宅でのセルフケア
- 喫煙している場合は禁煙に取り組みましょう。
- 水分を十分にとりましょう(心臓や腎臓の状態に合わせて医師の指示に従ってください)。
- 治療中は無理をせず、休養をしっかりとりましょう。
- 不安やつらい気持ちは一人で抱えず、医療者に伝えましょう。
医療治療
主な治療法には、尿道からカメラと器具を入れて腫瘍を切除する手術、膀胱を摘出する手術、抗がん薬による薬物療法、放射線療法、免疫の力を利用した治療などがあります。また、膀胱の中に直接薬を入れて再発を防ぐ方法もあります。具体的な治療法や使う薬・用量は、必ず担当医から説明を受け、納得したうえで決めることが大切です。
手術が検討される場合
がんが膀胱の壁の浅い部分だけにとどまっている場合は、膀胱を残して腫瘍だけを切除する手術が一般的です。一方、がんが筋肉の層まで深く入り込んでいる場合は、膀胱を全部摘出する手術が必要になることがあります。
この病気と共に生きる
治療後は、排尿の変化やストーマ(尿の出口を腹部に造る場合)のケアなど、新しい生活に慣れていく必要があります。膀胱を摘出した場合も、病院のスタッフや認定看護師と一緒に生活の工夫を学べるので、一人で悩まないでください。
生活習慣のアドバイス
- 禁煙を続ける
- 水分を適切にとる
- 規則正しい生活を送る
- 定期検査や経過観察を欠かさない
- 排尿の変化や気になる症状を医療者に伝える
食事と運動
特別な食べ物だけでがんを治すことはできません。野菜や果物、魚、大豆製品などを使ったバランスの良い食事を心がけましょう。食欲がないときは管理栄養士に相談することもできます。運動は、体力に合わせて軽い散歩などから始めるとよいでしょう。
精神的健康と心の健康
がんと診断されたときの不安や落ち込みは自然な反応です。とくに膀胱がんは治療後に排尿や体の見た目が変わることがあるため、心理的な負担を感じる人が少なくありません。つらい気持ちが続く場合は、早めに医療者や相談機関に話してください。
予防
膀胱がんのすべてを予防することはできませんが、禁煙や化学物質への曝露を避けること、バランスの良い食事と十分な水分摂取は、リスクを下げる可能性があります。また、血尿などのサインを放置せず早めに受診することが大切です。
検診プログラム
日本では、膀胱がんを対象にした集団検診(対策型検診)は現在行われていません。健康診断の尿検査で潜血を指摘された場合や気になる症状がある場合は、泌尿器科を受診しましょう。
合併症
治療しない場合
- がんが膀胱の壁の深い部分へ広がり、進行する
- 尿管や腎臓に影響し、腎機能が低下する
- リンパ節や肺、骨、肝臓など他臓器に転移する
- 血尿や排尿障害が悪化し、日常生活に大きな支障が出る
長期的な見通し
膀胱がんは早く見つかれば治る可能性が高いがんです。進行した場合でも、薬物療法や放射線療法などの進歩により、長く安定した状態を保てる人も増えています。治療後は再発を防ぐための定期検査が大切です。希望を持って、医療者と一緒に治療を進めていきましょう。
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情報源とガイダンス
この記事は教育目的で、利用可能な場合は認知された健康情報および臨床ガイダンスの情報源を参照して作成されています。具体的な情報源リンクはトピックによって異なる場合があります。
最終更新: 2026年7月31日
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