血小板減少症(けっしょうばんげんしょうしょう)について
国際的な診療ガイドラインに基づく
概要
血小板は血液の中にあって、怪我をしたときに血を止める働きをする小さな粒です。血小板減少症は、この血小板が正常よりも少なくなる病気です。血小板が少ないと、止血しにくくなり、あざができやすくなったり、出血が止まりにくくなったりします。
重要な事実
- 血小板は、出血を止める大切な役割をしています。
- 血小板が減ると、あざや点状の出血(紫斑)が現れやすくなります。
- 軽い場合は自覚症状がなく、健康診断の血液検査で見つかります。
- 原因によって治療や経過が異なります。
- 多くの場合、適切な診察と治療で管理できます。
血小板減少症は、それほどめずらしい病気ではありません。特に子どもや高齢者、特定の病気や薬の影響を受けている人で見られることがあります。
どなたでも発症する可能性があります。子どもではウイルス感染後に一過性に起こることがあり、大人では自己免疫の異常や他の病気、薬の影響で起こることが多いです。高齢者では血液の病気に伴って起こることもあります。
症状
- 頭を打った後に、激しい頭痛や意識がもうろうとする、吐くなどの症状がある
- 突然の激しい頭痛が続く
- 吐血する、あるいは黒いタールのような便が出る
- 血を何度も吐く、または血が混じった尿・便を何度も見る
- 出血が止まらず、めまいや立ちくらみが続く
- ⚠おさまらない鼻血や歯ぐきの出血がある
- ⚠新しいあざや点状出血が急に全身に広がる
- ⚠血が混じった尿・便を一度でも見た
- ⚠原因がわからない発熱や強い倦怠感がある
一般的な症状
- 皮膚にあざができやすい(特に原因がないのにできる)
- 皮膚に小さな赤紫の点々(点状出血)が出る
- 歯ぐきや鼻から出血しやすい
- 傷口の出血が止まりにくい
- 月経の出血量が多い
- 血が混じった尿や便が出る(まれ)
子供の症状
- 多くはウイルス感染の1~2週間後に発症します
- 急にあざや点状出血が現れることがあります
- 多くは数か月以内に自然に良くなります
- 重い出血はまれですが、頭をぶつけた時などは注意が必要です
高齢者の症状
- 原因となる病気や薬の影響で起こることが多いです
- 全身のあざや出血の症状に気づきにくいことがあります
- ふらつきや転倒による出血リスクに注意が必要です
原因
主な原因
- 骨髄で血小板が作られにくい(再生不良性貧血、白血病、骨髄異形成症候群など)
- 免疫の異常で血小板が壊されやすい(免疫性血小板減少症(ITP)など)
- 脾臓という臓器で血小板が多く壊される(脾腫など)
- 薬の副作用(抗がん剤、抗てんかん薬、抗菌薬など)
- ウイルス感染(風疹、水痘、E-Bウイルス、HIV、新型コロナウイルスなど)
- ビタミンB12や葉酸の不足
- 妊娠に伴う血小板の減少
- アルコールの過剰摂取
リスク要因
- 自己免疫疾患(全身性エリテマトーデスなど)
- 造血器の病気(白血病、リンパ腫など)
- 血小板減少を引き起こす薬を使用している
- 妊娠中・産後
- ウイルス感染症
- 大量のアルコール摂取
- 遺伝性の血小板減少症(まれ)
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 出血が止まりにくい、または出血が何度も起こる
- 黒い便や血便、血尿がある
- 頭をぶつけた後や激しい頭痛がある
- 意識がもうろうとする、ひどい倦怠感がある
- 発熱や感染症の兆候がある(免疫が弱っている可能性)
定期受診を予約すべき場合:
- 原因がわからないあざや点状出血が気になる
- 健康診断で血小板減少を指摘された
- 月経量が多く、貧血の症状がある
- 新しい薬を開始する予定がある、または血小板減少の症状が出ている
診断
血小板減少症の診断は、まず血液検査で血小板の数を調べることから始まります。血小板が少ないことが確認されたら、原因を調べるために、症状や服薬歴、過去の病気などを詳しくお聞きし、追加の検査を行います。
行われる可能性のある検査
- 血算(CBC)――赤血球、白血球、血小板の数を調べる基本の検査
- 末梢血塗抹検査――血液を顕微鏡で観察し、血小板の形やほかの血球の異常を確認する
- 骨髄検査――骨髄で血小板が作られているかを調べる(必要に応じて)
- 自己免疫疾患の検査(抗核抗体など)
- ウイルス感染の検査
- 脾臓の大きさを調べる超音波(エコー)検査
診察で予想されること
血液検査の結果は数時間から数日でわかることが多いです。追加の検査が必要な場合は、専門の血液内科を紹介されることもあります。検査中は炭酸飲料や喫煙を控えていただくことがありますが、普段の生活は多くの場合保てます。
治療
治療は血小板減少の原因と程度によって異なります。軽い場合は経過観察だけでよいこともあります。原因となる病気があれば、その治療を行います。薬の影響であれば、薬の変更や中止を医師と相談します。
自宅でのセルフケア
- 転倒やぶつけないように注意し、安全な環境を整える
- やわらかい歯ブラシを使い、強い歯磨きを避ける
- レスキュー用品や髭剃りは電動式を使うなど、ケガをしにくい方法を選ぶ
- 出血を促す市販薬(いわゆる「血をサラサラにする」作用のある薬など)を自己判断で使わない
- 飲酒を控える(大量飲酒は血小板を減らすことがあります)
- けがをした時は、清潔なガーゼなどで圧迫して止血し、早めに受診する
医療治療
血小板が非常に少ない場合や出血症状が強い場合は、輸血用血小板の補充、炎症や免疫の反応を抑える薬(副腎皮質ステロイド薬など)、免疫グロブリン療法、脾臓(ひぞう)を摘出する手術などが検討されます。ふだんの治療では、血小板の産生を促す薬や免疫調整薬などが使われることもあります。治療法は原因や重症度、患者さんの状態に合わせて、血液専門医が総合的に判断します。自己判断で市販薬を併用するのは避けてください。
手術が検討される場合
大きな手術が必要な場合は、事前に血小板を補充するなどの準備を行います。出血のリスクを下げるため、外科医と血液専門医が連携して周術期の管理を行います。
この病気と共に生きる
血小板減少症のある人も、多くの場合は普段の生活をほぼ変えずに過ごせます。ただし、血小板の数がかなり少ない時は、無理な運動や激しいコンタクトスポーツを避け、日常の動作にも注意しましょう。毎朝、皮膚にあざや点状出血がないかチェックすると、変化に気づきやすくなります。定期的な血液検査を忘れずに受けましょう。
生活習慣のアドバイス
- コンタクトスポーツ(ラグビーやボクシングなど)は避ける
- ヘルメットやプロテクターを使う(自転車、スキーなど)
- 転倒しやすい場所(濡れた床、段差など)に注意する
- 爪を短く切り、ひっかき傷を防ぐ
- 日々の状態を記録し、受診時に医師へ伝える
食事と運動
特別な食事制限はありませんが、バランスの良い食事を心がけ、貧血予防のため鉄分を含む食品(赤身の肉、魚、大豆製品、緑黄色野菜)を適量食べましょう。運動は、ウォーキングや散歩など、ぶつかるリスクが少ないものなら行ってかまいません。ただし、血小板の数が特に少ない時期は、運動前に主治医に相談してください。アルコールは血小板の機能に影響することがあるため、節酒しましょう。
精神的健康と心の健康
検査値の変動や出血の心配は、不安やストレスにつながることがあります。これらの感情は自然なものです。一人で抱え込まず、家族や友人、医療者に気持ちを話すことが大切です。
予防
多くの血小板減少症は、予防することはできません。しかし、転倒やケガを防ぐ工夫や、薬の使用に注意することで、出血リスクを減らすことはできます。また、原因となる感染症(ウイルス性肝炎など)の対策を行うことも大切です。
ワクチン
血小板減少症そのものを予防するワクチンはありませんが、感染症が引き金になることがあるため、インフルエンザや肺炎球菌などの予防接種を医師と相談のうえ受けることを検討してください。
検診プログラム
特定の健康診断として血小板減少症の早期発見を目的とした検査は一般的ではありませんが、定期健康診断の血液検査で見つかることが多い病気です。気になる症状があれば、早めに血液専門医を受診しましょう。
合併症
治療しない場合
- 脳出血や消化管出血などの重い内出血が起こるリスクがある
- 大量出血により、貧血やショックを引き起こす可能性がある
- 転倒やけがの時に止血が難しく、失血が多くなる可能性がある
- 基礎疾患がある場合、その病気の進行につながることがある
長期的な見通し
血小板減少症の経過や予後は原因によって大きく異なります。子どもの多くは自然に回復します。大人の免疫性血小板減少症でも、治療により多くの人が出血リスクを大きく下げることができます。重い基礎疾患がない場合は、通常の生活を維持できる方も多いです。医師と定期的に相談しながら、自分の状態に合った付き合い方を見つけることが大切です。
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健康ガイドラインは国や地域によって異なります。この記事の情報は国際的な臨床ガイドラインに基づいていますが、お住まいの国の具体的なガイドライン、薬、または診療慣行を反映していない場合があります。健康上の懸念は常にご自身の医師または医療提供者と相談し、利用可能な場合は地域の国家ガイドラインを参照してください。
重要なお知らせ この情報は教育目的にのみ提供されています。専門的な医療アドバイス、診断、治療に代わるものではありません。ご自身の状況については、常に資格を持つ医療専門家にご相談ください。医療上の緊急事態が発生した場合は、直ちに最寄りの救急医療サービスに連絡してください。
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情報源とガイダンス
この記事は教育目的で、利用可能な場合は認知された健康情報および臨床ガイダンスの情報源を参照して作成されています。具体的な情報源リンクはトピックによって異なる場合があります。
最終更新: 2026年7月31日
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