口腔灼熱症候群(バーニングマウス症候群)
国際的な診療ガイドラインに基づく
概要
口腔灼熱症候群は、口の中にやけどをしたような熱さや痛みを感じるのに、口の中を見ても赤くなっていたり腫れていたりするような異常がはっきりしない病気です。痛みは舌や唇、歯茎、口の中の粘膜などに現れ、数か月から何年も続くことがあります。「気のせい」ではなく、実際に感じる症状です。原因がわからない場合も、対応方法があります。
重要な事実
- 口の中にやけどしたような痛みや熱さを感じるが、見た目には異常が見つからないことが多い
- 50歳以上の女性、特に閉経後の女性に多く見られる
- ストレスや疲れ、口の中の環境などが症状に影響することがある
あまり一般的な病気ではありませんが、口の中の痛みで歯科や内科を受診する人の中には、この病気の人が一定数います。正確な人数はわかっていませんが、まれな病気ではありません。
主に40歳から60歳以上の女性に多く、中でも閉経後の女性に多く見られます。男性にも起こりますが、女性の方が約3~7倍多いとされています。ストレスが強い人や、口の中が乾燥する人にも起こりやすくなります。
症状
- 口の中の痛みや腫れに加えて、息苦しさ、呼吸のしにくさがある
- のどや口の中が激しく腫れて、飲み込めない、声を出せない
- 高熱とともに、首が硬くなる、意識がもうろうとする、体に赤い発疹や水ぶくれが広がる
- これらは重いアレルギー反応や感染症の可能性があります。すぐに119番に電話してください。
- ⚠口の中の痛みが強く、水分をとるのもつらい
- ⚠痛みとともに、熱や体のだるさ、リンパ節の腫れがある
- ⚠痛みに加えて、目の症状や皮膚の発疹がある
- ⚠痛みが3日以上続き、食事や会話がしにくい
- ⚠まずは近くの歯科、または内科・耳鼻咽喉科に、当日受診ができるか電話で相談しましょう
一般的な症状
- 口の中が焼けるように熱い、ヒリヒリする、ズキズキする
- 舌や唇、ほおの内側など、痛みの場所が広い、または移動する
- しびれや乾燥、ザラザラした感じ、味がわかりにくい
- 朝は軽く、午後から夜にかけて強くなることが多い
- 食事のときに症状が強くなったり、逆に和らいだりすることがある
原因
主な原因
- 原因となる病気が見つからない「原発性」が多く、神経の過敏さや、口の中の感覚を伝える神経の働きの変化が関係していると考えられています
- 別の病気が原因となって現れる「続発性」もあります。例えば、鉄欠乏性貧血、糖尿病、甲状腺機能低下症、逆流性食道炎、口内乾燥症(シェーグレン症候群など)、口の中のカンジダ感染、アレルギー性接触口内炎などです
- また、抗生物質や血圧の薬など、薬の副作用で起こることもあります
リスク要因
- 50歳以上であること
- 女性で、特に閉経後であること
- 強いストレスや不安、うつ状態があること
- 口の中の乾燥を感じていること
- タバコを吸う、お酒を多く飲む習慣があること
- 歯ぎしりや食いしばり、舌を噛むといった口の中の癖があること
- 入れ歯や歯の治療が合っていないこと
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 息苦しさ、飲み込めない、意識がもうろうとするなどの緊急のサインがある場合は、ためらわず119番に電話してください
- 痛みが非常に強く、水を飲むのもつらい場合は、すぐに医療機関へ相談してください
定期受診を予約すべき場合:
- 口の中のやけど感や痛みが2週間以上続く
- 食事や会話のときに不快感が強くなってきた
- 体重が減ってきた、食欲が落ちてきた
- 市販の口腔用ジェルやうがい薬を使ってもよくならない
診断
診断は、まずあなたの症状を詳しく聞くことから始まります。いつから始まったか、どの場所にどんな痛みがあるか、どんなときに強くなるかなどをメモして伝えましょう。その後、口の中を診察し、原因となる病気を調べるために血液検査などを行います。はっきりした原因が特定できない場合に、バーニングマウス症候群と診断されます。(他の病気の可能性をしっかり除外することが大切です。)
行われる可能性のある検査
- 血液検査(貧血や血糖値、ビタミンB12不足、甲状腺ホルモンの異常などを調べる)
- 口の中の観察(口内炎やカンジダ感染、入れ歯の状態、舌苔の有無など)
- 唾液検査や口の乾燥度の検査
- アレルギー検査(金属や歯科材料への反応を調べる場合がある)
- 必要に応じて、胃カメラや画像検査など(逆流性食道炎などが疑われる場合)
診察で予想されること
最初に歯科を受診し、必要があれば内科や耳鼻咽喉科、口腔内科、ペインクリニックなどの専門医を紹介されることがあります。検査は一度に全部行われるわけではなく、症状に合わせて少しずつ進められます。すべての検査で異常が見つからないこともありますが、それでも症状は現実にあります。安心して相談してください。
治療
治療は、原因が特定できる場合はその病気を治療することから始めます。原因が特定できない場合は、症状をやわらげるために、口の中の保護や保湿、生活習慣の見直し、薬物療法、心理的なサポートなどを組み合わせて行います。目標は「つきあい方を見つける」ことです。
自宅でのセルフケア
- 辛い物、熱い物、酸性の強い食べ物(柑橘類や酢の物)などを避け、やわらかい味の薄い食事を選ぶ
- 口の中を清潔に保つ。刺激の少ない歯みがき粉や、アルコールの入っていないうがい薬を選ぶ(薬剤師に相談しましょう)
- こまめに水分をとり、口の乾燥を防ぐ。乾燥が気になるときは、唇や口の中に保湿用のジェルやワセリンを塗る
- タバコやお酒は控えめにする(アルコールは一時的にごまかすだけで、後に症状を強めることがあります)
- 歯を強くみがきすぎない。やさしく、時間をかけてみがく
- ストレスをため込まない。深呼吸や軽い運動、好きなことをする時間を作る
医療治療
医療機関では、口内炎やカンジダ感染があれば、それぞれに合った塗り薬やうがい薬が使われます。原因が見つからない場合は、口の中の粘膜を保護する薬、人工唾液のような潤いを与える薬、ビタミン剤などの栄養補助食品、漢方薬が使われることがあります。また、痛みや感覚の異常を調整するために、うつ病やてんかんに使う薬(抗うつ薬、抗てんかん薬)を低用量で処方されることもありますが、これは医師が慎重に判断して服用量を調整しながら使うものです。自己判断で使うのではなく、必ず医師の指示に従ってください。
手術が検討される場合
バーニングマウス症候群そのものに対して手術を行うことはありません。ただし、合わない入れ歯や、とがった歯の治療痕が刺激になっている場合は、歯科で調整してもらうことが治療になります。
この病気と共に生きる
症状には波があることが多く、朝は軽くても午後から夜にかけて強くなる人が大勢います。食べるときに症状が強くなる人もいれば、逆に食事中は気にならなくなる人もいます。自分なりのパターンを知り、それに合わせて生活を調整すると楽になります。「気のせい」ではなく、ちゃんとした症状です。周囲に理解してもらえないこともありますが、医療者に相談し続けることが大切です。
生活習慣のアドバイス
- 規則正しい生活と十分な睡眠を心がける
- お酒やカフェインのとりすぎに注意する
- ストレスを減らすため、ゆっくり入浴する、散歩する、音楽を聴くなど、リラックスできる工夫をする
- 口の中の乾燥が気になるときは、室内に加湿器を使うのもよい
- 月に一度は、歯科で口の中のチェックを受ける
食事と運動
食事は、刺激の少ないものを選び、よく噛んでゆっくり食べましょう。辛い物、塩辛い物、酢の物、炭酸飲料は症状を強めることがあります。また、果物の酸味が強いもの(レモン、グレープフルーツなど)は控えめに。運動は、ウォーキングやストレッチなど軽いもので十分です。血行が良くなり、ストレス解消にもつながります。
精神的健康と心の健康
口の中の痛みが続くと、食事や会話が楽しめなくなり、気分が落ち込んだり、人に会うのが億劫になったりすることがあります。これは「気持ちの問題」ではなく、実際の症状が生活の質に影響しているためです。つらい気持ちを家族や友人に話す、医療者に伝えることも大切です。必要に応じて、心理的なサポートや認知行動療法が助けになることもあります。また、気分の落ち込みが強く続くときは、かかりつけ医や保健センターの相談窓口を利用しましょう。
予防
バーニングマウス症候群を完全に予防する方法は確立されていません。ただし、口の中を健康に保つこと、バランスのよい食事、ストレスをためないこと、タバコを吸わないこと、お酒はほどほどにすることなどで、症状のきっかけを減らせる可能性があります。また、薬の副作用が心配な場合は、医師に相談しましょう。
合併症
治療しない場合
- 食べる・飲み込むことがつらくなり、食事の量が減って栄養不足になったり体重が減ったりする
- 会話や外出を避けるようになり、孤独感やうつ状態が強くなることがある
- 夜間も痛みが続くと、不眠や疲労がたまる
- 原因の病気(貧血や糖尿病など)がある場合、その診断や治療が遅れる
長期的な見通し
バーニングマウス症候群は、長く続くことがありますが、決して治らないわけではありません。原因を調べ、生活の工夫や医療的なサポートを受けることで、多くの人が「症状と上手に付き合いながら生活する」力を身につけています。希望を持って、一歩ずつ対策を続けていきましょう。
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健康ガイドラインは国や地域によって異なります。この記事の情報は国際的な臨床ガイドラインに基づいていますが、お住まいの国の具体的なガイドライン、薬、または診療慣行を反映していない場合があります。健康上の懸念は常にご自身の医師または医療提供者と相談し、利用可能な場合は地域の国家ガイドラインを参照してください。
重要なお知らせ この情報は教育目的にのみ提供されています。専門的な医療アドバイス、診断、治療に代わるものではありません。ご自身の状況については、常に資格を持つ医療専門家にご相談ください。医療上の緊急事態が発生した場合は、直ちに最寄りの救急医療サービスに連絡してください。
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情報源とガイダンス
この記事は教育目的で、利用可能な場合は認知された健康情報および臨床ガイダンスの情報源を参照して作成されています。具体的な情報源リンクはトピックによって異なる場合があります。
最終更新: 2026年7月31日
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