多毛症(体毛が濃くなること)について知っておきたいこと
国際的な診療ガイドラインに基づく
概要
多毛症とは、女性が男性のように、顔や体に濃い毛が生えてくる状態のことです。特に、あごの上、上唇、胸、おなかなど、男性によく見られる場所に毛が生えます。これはホルモンのバランスが関係していることが多く、からだに何らかのサインが出ている場合もあります。
重要な事実
- 多毛症は「男性ホルモン(アンドロゲン)」の影響で毛が濃くなることです。
- 多くの場合、卵巣や副腎(ふくじん)という臓器の働きと関係しています。
- 日本人女性では、心配になるほど濃い毛が生えることは珍しくありませんが、相談できる医療機関があります。
- 治療やケアによって、見た目の悩みを和らげ、原因となる病気を見つけることもできます。
女性の多毛症は、それほど珍しいものではありません。軽いものを含めると、100人に5人から10人くらいの女性が経験すると言われています。
思春期以降の女性に多くみられます。特に、月経が不順な方や、体重が増えやすい方は、注意が必要な場合があります。
症状
- 急に激しい腹痛が起こり、じっとしていられない(卵巣の病気の可能性)
- 急に声が低くなったり、筋肉が増えたりするほどの変化がある(副腎や卵巣の重い病気の可能性)
- ⚠体毛が数週間で急に濃くなった
- ⚠月経が3か月以上止まっている
- ⚠性器から異常な出血がある
- ⚠頭痛や視野の異常がある
一般的な症状
- あご・上唇・もみあげなど、顔に濃くて太い毛が生える
- 胸のまわりやおなかの中心に男性のような毛が生える
- 背中や腰、太ももの内側などに毛が濃くなる
- 月経のリズムが乱れやすい
- にきびが増える、皮脂がべたつく
- 髪の毛が抜けやすくなる(頭頂部が薄くなる)
子供の症状
- 子ども(特に女の子)で体毛が濃くなる場合は、思春期早発症やホルモンの異常の可能性があります。
- 成長に伴って正常な範囲で体毛が増えることもありますが、急に濃くなる場合は医療機関で相談しましょう。
高齢者の症状
- 閉経後の女性では、ホルモンバランスの変化で毛が濃くなることがあります。
- 高齢になってから急に多毛が現れた場合は、卵巣や副腎の病気が隠れていることもあるため、医師の診察を受けることが大切です。
原因
主な原因
- 多嚢胞性卵巣症候群(たのうほうせいらんそうしょうこうぐん)という、卵巣の働きに異常がある病気
- 副腎(ふくじん)から男性ホルモンが多く出る副腎性器症候群
- 卵巣や副腎に腫瘍(しゅよう)ができること(まれですが重大な原因)
- 特定の薬の影響(ステロイド薬や一部のホルモン薬など)
- 原因がはっきりしない体質的なもの(特発性多毛症)
リスク要因
- 家族に同じように多毛の人がいる
- 月経不順や卵巣のう胞がある
- 体重が増えやすい、肥満傾向がある
- 糖尿病や高血圧の家系である
- インスリンが効きにくい状態(インスリン抵抗性)がある
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 体毛が短期間で急に増えた、濃くなった
- 月経がずっと来ない、または不順が続く
- 声が低くなる、抜け毛が増えるなど男性化の症状がある
- 腹部や腰にしこりを感じる
定期受診を予約すべき場合:
- 生えた毛が気になって毎日の生活に支障がある
- 脱毛や処理をしてもすぐに生えてくる
- にきびがひどく、市販のケアで改善しない
- 体重が増えやすく、自分でコントロールできない
診断
医師が問診で体毛の状態や月経の様子、家族歴などを詳しく伺います。その上で、血液検査や画像検査を行い、原因となる病気を調べます。
行われる可能性のある検査
- 血液検査:男性ホルモン(テストステロン)やそのほかのホルモンの値を調べます
- 血糖値やインスリン値の検査:糖尿病やインスリン抵抗性の有無を確認します
- 超音波(エコー)検査:卵巣の状態を確認します
- CTやMRI:副腎や卵巣の腫瘍が疑われる場合に行います
診察で予想されること
問診と血液検査を受けることが一般的です。専門医(婦人科、皮膚科、内分泌内科)を紹介されることもあります。検査結果によって、治療方針が決まりますので、焦らずに医師の説明を聞きましょう。
治療
多毛症の治療は、まず原因となる病気を見つけて、それを治療することが基本です。見た目の毛の悩みに対しては、脱毛などのケアと、ホルモンバランスを整える薬物療法を組み合わせて行います。治療は時間がかかることがありますが、根気よく続けることで改善が期待できます。
自宅でのセルフケア
- 自己処理は刺激の少ない方法を選び、肌を傷つけないようにしましょう
- ワックスや脱毛クリームは説明をよく読んで使用してください
- レーザー脱毛は皮膚科で相談できます。自己流の強い処理は避けましょう
- 肌の炎症やかぶれがある場合は、無理に処理せず医療機関に相談しましょう
医療治療
医師の指導のもと、ホルモンのバランスを整える薬(女性ホルモンや抗アンドロゲン薬など)を使うことがあります。また、インスリンの効きを改善する薬が用いられることもあります。これらはすべて医師の処方と管理のもとで行うもので、自己判断では使用しないでください。
手術が検討される場合
卵巣や副腎に腫瘍(できもの)が見つかり、それが男性ホルモンを多く出している場合は、手術で取り除くことがあります。良性の場合がほとんどですが、悪性の可能性も考慮し、専門医が判断します。
この病気と共に生きる
毎日の毛の処理に時間を取られることがありますが、皮膚を傷めないように優しくケアしましょう。見た目が気になる場合は、メイクやファッションで工夫することも可能です。医師と相談しながら、長い目で治療を続けることが大切です。
生活習慣のアドバイス
- 規則正しい睡眠を心がけ、ホルモンバランスを整えましょう
- ストレスをため込まず、自分なりのリラックス方法を見つけましょう
- 適度な運動で体重をコントロールすると、ホルモンの改善につながることがあります
食事と運動
バランスのよい食事と適度な運動は、体重管理に役立ちます。特に、血糖値を急に上げないような食事(野菜や果物、全粒穀物、良質なタンパク質を中心にしたもの)が、インスリン抵抗性の改善に良いとされています。無理なダイエットは逆効果なので、ゆっくりと続けましょう。
精神的健康と心の健康
多毛症は見た目の悩みから、自信を失ったり、人と会うのがつらくなったりすることがあります。つらい気持ちは決してあなたのせいではありません。必要に応じて、心のケア(カウンセリングなど)も受けられます。
予防
多毛症そのものを完全に予防することはできませんが、体重の増加を防ぎ、規則正しい生活を送ることで、症状の悪化を抑えられる可能性があります。また、原因となる病気を早期に見つけることが大切です。
合併症
治療しない場合
- 月経不順や無月経が続き、妊娠しにくくなることがあります
- 糖尿病や高血圧を合併するリスクが高くなります
- 男性ホルモンが高い状態が続くと、声が低くなるなど男性化が進むことがあります
- 見た目の悩みからうつ状態や不安が強くなることがあります
長期的な見通し
多毛症は、原因を特定し、適切な治療を続ければ、症状をうまくコントロールできることが多いです。完治とまではいかなくても、毛の量や濃さは目立ちにくくなり、毎日の生活の質を大きく改善できます。医師と一緒に、あなたに合った方法を根気よく見つけていくことが大切です。
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健康ガイドラインは国や地域によって異なります。この記事の情報は国際的な臨床ガイドラインに基づいていますが、お住まいの国の具体的なガイドライン、薬、または診療慣行を反映していない場合があります。健康上の懸念は常にご自身の医師または医療提供者と相談し、利用可能な場合は地域の国家ガイドラインを参照してください。
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情報源とガイダンス
この記事は教育目的で、利用可能な場合は認知された健康情報および臨床ガイダンスの情報源を参照して作成されています。具体的な情報源リンクはトピックによって異なる場合があります。
最終更新: 2026年7月31日
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