高カルシウム血症
国際的な診療ガイドラインに基づく
概要
血液の中のカルシウム(カルシウムは骨や歯、筋肉や神経の働きに欠かせないミネラルです)が、通常より多くなっている状態を「高カルシウム血症」といいます。これは特定の病気の名前というよりも、体のどこかでカルシウムの調整が乱れていることを示すサインです。放置すると全身にさまざまな症状を引き起こすことがありますが、原因を調べて適切に対処すれば改善することが多いです。
重要な事実
- 高カルシウム血症は、血液中のカルシウムが基準値より多くなった状態です。
- 原因は副甲状腺の病気やがん、薬剤、脱水などさまざまです。
- 軽度の場合は症状がないこともあり、健康診断の血液検査で見つかることがあります。
- 重症になると意識障害や不整脈など命に関わるため、早めの受診が大切です。
高カルシウム血症は決してまれな状態ではなく、特に血液検査をよく行う病院や外来ではときに見つかります。軽度のものは自覚症状がなく、気づかないまま経過することも多いため、実際にどのくらいの頻度で起こるかは正確には分かっていません。
高齢者や女性に多く、特に50歳以上の女性で頻度が高くなります。また、副甲状腺の病気、がん、腎臓病のある人、カルシウムに影響する薬を使用している人、長期間寝たきりの人などにも起こりやすくなります。
症状
- 意識がもうろうとして、呼びかけに反応しない
- けいれんを起こしている
- 強い胸の痛みや、動悸が続く
- 息が苦しい、呼吸が浅い
- ⚠強い吐き気や嘔吐が続いて、水分も取れない
- ⚠尿が極端に少ない
- ⚠ひどい脱力感で、立ったり歩いたりできない
- ⚠混乱して、言動がおかしい
一般的な症状
- 口の渇きがひどく、のどがよく渇く
- 尿の量が増える、トイレが近い
- 疲れやすく、体がだるい
- 食欲がなくなる、吐き気がする
- 便秘が続く
- 骨が痛む、筋力が落ちる
- 気分が沈む、集中できない
原因
主な原因
- 副甲状腺機能亢進症(副甲状腺という小さな器官が、カルシウムを調節するホルモンを過剰に出すことで起こります)
- がん(悪性腫瘍)による高カルシウム血症(骨に広がったがんなどが原因でカルシウムが血液中に溶け出します)
- ビタミンDの過剰摂取(サプリメントなど)
- サルコイドーシスや結核など、肉芽腫という炎症を起こす病気
- 薬剤の影響(血液中のカルシウムを上げる働きを持つ薬があります)
- 重度の脱水や、長期の寝たきり(動かないこと)
リスク要因
- 50歳以上の女性(特に閉経後)
- 副甲状腺の病気やがんの既往がある
- 腎臓病や甲状腺の病気がある
- カルシウムやビタミンDのサプリメントを過剰に摂取している
- 脱水を起こしやすい環境(高齢者、寝たきり、暑い時期)
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 激しい嘔吐が続く
- 水分がほとんど取れない
- 意識がぼんやりしてきた
- 自分で動くのがつらいほどの脱力感がある
定期受診を予約すべき場合:
- 健康診断の血液検査で「カルシウムが高い」と指摘された
- 口の渇きや疲れやすさ、便秘などの症状が2週間以上続いている
- 骨粗鬆症の治療中や、がん・腎臓病の治療中で気になる症状がある
診断
高カルシウム血症は、採血による血液検査で診断されます。血液中のカルシウムはアルブミン(血液中のたんぱく質)の影響を受けるため、正確に評価するためにアルブミンと一緒に測定します。さらに、カルシウムを調節している副甲状腺ホルモン(PTH)やビタミンDの値、腎機能などを調べて、原因を突き止めていきます。
行われる可能性のある検査
- 血液検査(血清カルシウム、アルブミン、副甲状腺ホルモン、ビタミンD、腎機能など)
- 尿検査(尿中カルシウム排泄量)
- 心電図検査(心臓のリズムへの影響を確認)
- 画像検査(胸部レントゲン、骨のエックス線、副甲状腺のエコーなど)
診察で予想されること
診察では、症状、飲んでいる薬、食事やサプリメントの内容、家族歴などを詳しく聞かれます。採血と尿検査の結果をもとに、医師から「軽度か中等度か、緊急性があるか」という説明があります。必要に応じて、専門科(内分泌内科や腎臓内科など)への紹介も行われます。
治療
治療の目的は、血液中のカルシウムを安全な範囲まで下げることと、その原因を治療することの2つです。原因となる薬があれば、医師と相談して薬を変更・中止します。軽度の場合は、経過観察と十分な水分補給だけで改善することもあります。中等度以上では、入院して点滴などによる治療が必要になることもあります。
自宅でのセルフケア
- 医師の指示に従い、毎日こまめに水分をとる
- からだが動かせる範囲で、日常の活動を続ける(寝たきりの時間を減らす)
- カルシウムやビタミンDのサプリメントは、医師に確認してから使用する
- 脱水を避けるために、暑い日や体調の悪い日は特に注意する
医療治療
中等度以上の高カルシウム血症では、入院の上で生理食塩水の点滴(水分を補いつつ尿へのカルシウム排泄を促します)、骨からカルシウムが溶け出すのを抑える薬(骨吸収抑制薬)、副腎皮質ホルモン薬(ステロイド)の使用などを、症状や原因に応じて医師が選択します。また、原因が副甲状腺の病気であれば、炎症を抑える薬や手術治療が検討されます。具体的な治療薬は、医師があなたの状態に合わせて説明の上で処方します。必ず医師の指示に従ってください。
手術が検討される場合
副甲状腺に良性の腫瘍ができて副甲状腺ホルモンが過剰に分泌されている場合や、症状が重く薬でのコントロールが難しい場合は、手術で腫瘍を切除することがあります。手術を受けるかどうかは、年齢や全身の状態、合併症を考慮して専門医と話し合って決めます。
この病気と共に生きる
高カルシウム血症の原因がはっきりしている場合は、その病気の治療を続けることが大切です。血液検査でカルシウム値を定期的にチェックし、症状や体調の変化を記録しておくと、医師との相談がスムーズになります。再発の可能性もあるため、指示された通院は続けましょう。
生活習慣のアドバイス
- 毎日水分を十分に飲む(コップ1杯程度の水やお茶をこまめに)
- 適度な運動を生活に取り入れる(散歩やストレッチなど)
- お酒はほどほどにし、脱水になりやすい運動は水を補いながら行う
- 長時間同じ姿勢で寝たきりにならないよう、日中はなるべく体を起こす
食事と運動
食事でカルシウムを多くとりすぎることは、通常の食事ではあまり心配いりません。重要なのは、サプリメントや栄養補助食品から過剰にカルシウムを摂取しないことです。骨の健康のためには、バランスのよい食事と適度な運動が役立ちます。医師や管理栄養士のアドバイスがあれば、それに従ってください。
精神的健康と心の健康
高カルシウム血症の症状として気分の落ち込みや不安、不眠を感じることがあります。また「原因が分からない」という不安は心に重くのしかかることもありますが、治療でカルシウム値が改善すると、多くの場合こうした精神的な症状も和らぎます。つらい気持ちは一人で抱え込まず、医師や看護師、家族に相談しましょう。
予防
高カルシウム血症の多くは、ある原因があって起こるため、「完全に予防する」ことは難しい場合があります。ただし、水分不足(脱水)を避けること、サプリメントの過剰摂取をしないこと、基礎疾患の治療をきちんと続けることは、発生や悪化を防ぐうえで大切です。
ワクチン
高カルシウム血症を直接予防するワクチンはありません。
検診プログラム
健康診断の血液検査にカルシウムが含まれていれば、異常が見つかることがあります。また、副甲状腺や腎臓の病気で定期的に通院している方は、血液検査でカルシウム値を確認してもらうことが勧められます。
合併症
治療しない場合
- 腎臓の結石、腎機能の低下
- 骨密度が低下して、骨がもろくなる・骨折しやすくなる
- 胃潰瘍や膵炎などの消化器の病気
- 心臓の不整脈(重い場合は心停止)
- 意識障害や昏睡(こんすい)
長期的な見通し
高カルシウム血症は、原因を特定して治療すれば、多くの場合で症状が改善します。軽度であれば経過観察や水分補給で安定することもあり、中等度以上でも適切な治療で血中カルシウムを安全な範囲に戻すことができます。不安になるかもしれませんが、早めに相談し、治療を続けることが何より大切です。
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健康ガイドラインは国や地域によって異なります。この記事の情報は国際的な臨床ガイドラインに基づいていますが、お住まいの国の具体的なガイドライン、薬、または診療慣行を反映していない場合があります。健康上の懸念は常にご自身の医師または医療提供者と相談し、利用可能な場合は地域の国家ガイドラインを参照してください。
重要なお知らせ この情報は教育目的にのみ提供されています。専門的な医療アドバイス、診断、治療に代わるものではありません。ご自身の状況については、常に資格を持つ医療専門家にご相談ください。医療上の緊急事態が発生した場合は、直ちに最寄りの救急医療サービスに連絡してください。
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情報源とガイダンス
この記事は教育目的で、利用可能な場合は認知された健康情報および臨床ガイダンスの情報源を参照して作成されています。具体的な情報源リンクはトピックによって異なる場合があります。
最終更新: 2026年7月31日
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