髄膜炎(ずいまくえん)
国際的な診療ガイドラインに基づく
概要
髄膜炎は、脳と脊髄を包んでいる薄い膜(髄膜)に炎症が起きる病気です。多くはウイルスや細菌の感染によって起こり、発熱や頭痛、首のこりなどの症状が現れます。
重要な事実
- 細菌による髄膜炎は、早急な治療が必要な緊急の病気です。
- ウイルスによる髄膜炎は、細菌性よりも一般的で、多くの場合軽症で治ります。
- 予防接種で予防できる種類の髄膜炎があります。
髄膜炎はまれな病気です。日本では年間に人口10万人あたり数人程度の発症とされており、そのうち細菌性はさらに少ないとされています。
乳幼児や小児、思春期・若年層、高齢者、免疫力が低下している方に多くみられます。ただし、健康な方でもかかることがあります。
症状
- 激しい頭痛に発熱と首のこりがあり、急に具合が悪くなった
- 意識がもうろうとしたり、呼びかけに反応しない
- けいれんが止まらない
- 皮膚に紫色の点状の出血(発疹)が広がる
- 息が苦しい・呼吸が速い
- ⚠高熱が続き、強い頭痛やおう吐がある
- ⚠首を前に曲げると痛む
- ⚠光がまぶしくて目を開けられない
- ⚠いつもと様子が違う、反応が鈍い
一般的な症状
- 強い頭痛
- 首のこり・首を前に曲げると痛い
- 吐き気・おう吐
- 光がまぶしい
- 意識がぼんやりする・混乱しやすい
子供の症状
- 高い発熱
- ぐずりがひどい
- ミルクや母乳を飲まない
- いつもと違う高い声で泣く
- 体がピンと張る・けいれんする
- 赤ちゃんの場合は大泉門(頭のてっぺんのへこみ)が膨らむ
高齢者の症状
- 発熱や頭痛がはっきりしないことがある
- 意識がぼんやりする・反応が遅い
- 元気がない・体がだるい
- 首のこりを感じにくいこともある
原因
主な原因
- ウイルス感染(エンテロウイルス、単純ヘルペスウイルスなど)
- 細菌感染(肺炎球菌、髄膜炎菌、ヒブなど)
- まれに真菌(カビ)や結核菌
- 薬剤や自己免疫疾患などによる非感染性の炎症
リスク要因
- 乳幼児・高齢者
- 保育園や大学などの集団生活
- 予防接種が未接種
- 免疫力の低下(治療、病気など)
- 頭部のけがや手術
- 耳や副鼻腔の感染症
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 髄膜炎の疑いがある症状は救急です。ためらわずに救急車(119番)を呼んでください。
- 夜間や休日でも、緊急性が高いと感じたら、救急外来を受診してください。
定期受診を予約すべき場合:
- 髄膜炎の予防接種について相談したい
- 頭痛や発熱が続いているが、首のこりや意識の変化はない
診断
医師が症状と身体診察を行い、必要に応じて腰椎穿刺(背中から髄液を採る検査)や画像検査を組み合わせて診断します。
行われる可能性のある検査
- 腰椎穿刺(ようついせんし)による脳脊髄液の検査
- 血液検査
- CT・MRIなどの画像検査
診察で予想されること
診察では、これまでの症状や病気の経過を詳しく聞かれます。腰椎穿刺は背中に細い針を刺して、脳と脊髄のまわりを流れる液体を少量採取するもので、通常は数分で終わります。痛みを抑えるため、局所麻酔が使われます。
治療
治療は原因によって異なります。細菌性の髄膜炎は命に関わるため、原因の特定を待たずに入院して抗生物質の点滴などの治療が始まります。ウイルス性の髄膜炎は、多くの場合、安静と水分補給で自然に回復していきます。
自宅でのセルフケア
- 医師の指示に従い、十分に安静にする
- 脱水を防ぐため、少しずつ水分を取る
- 頭痛や発熱があるときは、かかりつけ医や薬剤師に相談する
医療治療
細菌性髄膜炎では、入院して抗生物質の点滴治療をすぐに始めます。原因がウイルスの場合は、抗ウイルス薬が使われることもあります。真菌(カビ)による髄膜炎には抗真菌薬による治療を行います。症状を緩和するための治療と並行して、経過を観察します。
手術が検討される場合
通常、髄膜炎自体に対する手術は行われません。ただし、合併症として脳の周りに膿がたまる脳膿瘍(のうのうよう)などを起こした場合に、手術が必要になることがあります。
この病気と共に生きる
退院後も、難聴や発達の遅れなどの後遺症がないか確認するため、定期的に通院することが大切です。
生活習慣のアドバイス
- 規則正しい生活を心がける
- 睡眠と休養を十分に取る
- 手洗いやうがいなど感染予防を徹底する
食事と運動
特別な食事制限はありません。バランスのよい食事と、体調をみながらの軽い運動が回復を支えます。
精神的健康と心の健康
髄膜炎やその治療はつらい体験で、不安や眠れないなどの症状が続くことがあります。気分が沈む、不安が強いときは、医師や看護師に相談してください。
予防
すべての髄膜炎を予防できるわけではありませんが、予防接種と感染予防対策によって、主な細菌性髄膜炎の多くを防ぐことができます。
ワクチン
日本では、ヒブ(Hib)、肺炎球菌、髄膜炎菌などのワクチンが定期接種または任意接種として受けられます。厚生労働省の予防接種の考え方に基づき、医師にご相談ください。
検診プログラム
健康診断などで髄膜炎を調べることはありません。症状がない場合の検査は行われません。
合併症
治療しない場合
- 敗血症(全身に細菌が広がる重い感染症)
- 脳の障害・けいれん
- 知能や発達への影響
- まれに四肢の切断が必要になることもある
長期的な見通し
細菌性髄膜炎でも、治療開始が早ければ回復する可能性は大きく高まります。ウイルス性髄膜炎は、多くの人が数週間から数か月で社会復帰できます。治療後も定期的に経過を確認しながら、元の生活へ一歩ずつ戻っていくことができます。
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必ず医師に確認してください
健康ガイドラインは国や地域によって異なります。この記事の情報は国際的な臨床ガイドラインに基づいていますが、お住まいの国の具体的なガイドライン、薬、または診療慣行を反映していない場合があります。健康上の懸念は常にご自身の医師または医療提供者と相談し、利用可能な場合は地域の国家ガイドラインを参照してください。
重要なお知らせ この情報は教育目的にのみ提供されています。専門的な医療アドバイス、診断、治療に代わるものではありません。ご自身の状況については、常に資格を持つ医療専門家にご相談ください。医療上の緊急事態が発生した場合は、直ちに最寄りの救急医療サービスに連絡してください。
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情報源とガイダンス
この記事は教育目的で、利用可能な場合は認知された健康情報および臨床ガイダンスの情報源を参照して作成されています。具体的な情報源リンクはトピックによって異なる場合があります。
最終更新: 2026年7月31日
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