非特異性間質性肺炎(NSIP)について
国際的な診療ガイドラインに基づく
概要
肺の中には、空気の通り道や酸素を血液に取り込む肺胞(はいほう)と、それを支える「間質」と呼ばれる組織があります。非特異性間質性肺炎(NSIP)は、この間質という組織に炎症が起こり、時間とともに硬く厚くなってしまう病気です。この病気は感染症ではなく、うつることはありません。
重要な事実
- 肺の間質という組織に炎症が起こり、線維化(硬くなること)が進む病気です。
- 感染することはなく、人にうつる病気ではありません。
- 早く見つけて適切な治療をすれば、症状の進行を遅らせることができます。
まれな病気です。間質性肺炎のなかのひとつの型で、正確な患者数は国内ではよくわかっていませんが、一般的な病気と比べると多くないとされています。
中年から高年齢の方に多く、女性にやや多い傾向があります。また、自分自身の免疫がからだを攻撃してしまう病気(自己免疫疾患)を持つ方に起こることもあります。
症状
- 急に息ができなくなり、苦しそう
- 唇や爪が青白くなる
- 意識がもうろうとする、または意識を失う
- 胸を強く押されるような痛みがある
- ⚠息切れが数日でどんどん悪化する
- ⚠せきに血が混じる
- ⚠38度以上の熱が続く
- ⚠夜も眠れないほどのせきが続く
一般的な症状
- から咳(たんをともなわないせき)が続く
- 動いたときに息切れする
- 全身のだるさや疲れやすさを感じる
- 胸に軽い違和感があることがある
原因
主な原因
- 原因がはっきりしない場合(特発性)が最も多い
- 自己免疫疾患(自分自身の免疫がからだを攻撃してしまう病気)に伴って起こることがある
- ほこりや化学物質、カビなどを長年吸い込む環境にいた場合に起こることがある
- ごくまれに、ある種の薬が関係する場合がある
リスク要因
- 中年以降の年齢
- 女性であること
- 自己免疫疾患(特に膠原病と呼ばれるグループ)を持っていること
- たばこを吸う習慣
- ほこりや化学物質を扱う職場で働いていること
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 息切れやせきが急に悪化した
- たんに血が混じる
- 発熱や寒気があり、呼吸の症状が強くなっている
定期受診を予約すべき場合:
- からせきや息切れが2〜3週間以上続く
- 階段や坂道で以前より息切れする
- 検診や他の病気の検査で、肺の影(かげ)を指摘された
診断
診断の流れは、まず問診と聴診(ちょうしん)を行い、胸部レントゲンや呼吸機能検査、胸部CTなどの画像検査で肺の状態を詳しく調べます。原因となりうる病気がないかを血液検査で調べることもあります。確定診断のために、気管支鏡を使った肺生検(肺の組織の一部を採取して顕微鏡で調べる検査)が必要になることがあります。
行われる可能性のある検査
- 胸部レントゲン検査
- 胸部CT検査(高分解能CT)
- 肺機能検査(息の吸う・吐く力を測る)
- 血液検査(自己免疫疾患などの有無を調べる)
- 肺生検(気管支鏡で肺の組織の一部を採取して顕微鏡で調べる)
診察で予想されること
検査の多くは痛みの少ない方法で行われます。肺生検は麻酔を使って行われるため、検査中に強い痛みを感じることはほとんどありません。結果がそろえば、呼吸器の専門医から説明を受け、治療方針が決まります。
治療
NSIPの治療は、肺の炎症をしずめて病気の進行をできるだけ遅らせ、症状を軽くすることを目指します。症状の強さや進み方に応じて、薬物療法に加えて、酸素療法や呼吸リハビリテーションを組み合わせることがあります。
自宅でのセルフケア
- 禁煙する(たばこを吸っている場合)
- たばこの煙、ほこり、カビなど刺激になるものを避ける
- 無理をせず、疲れたら休み、自分のペースを大切にする
- のどや気道を守るため、うがいや手洗いを習慣にする
医療治療
炎症を抑える薬(抗炎症薬)や免疫力の働きを調整する薬(免疫調節薬)が、症状や重症度に合わせて使われます。薬の種類や使い方は人によって異なり、医師の処方・指示に従うことが大切です。進行が進んだ例では、酸素療法や肺移植などの専門的な治療が検討されることもあります。
手術が検討される場合
通常、NSIPそのものに対して手術は行いません。病気が進行して肺の機能が大きく低下した場合に、肺移植が検討されることがあります。
この病気と共に生きる
生活のリズムを安定させ、呼吸が楽になるように家の中での動線を工夫するなど、少しの準備で日常が暮らしやすくなります。息切れの程度に合わせて、動く量を無理なく調整しましょう。
生活習慣のアドバイス
- 十分な睡眠と休息をとる
- ストレスをためない工夫をする(趣味、散歩、話し相手など)
- 呼吸を整えながら動く習慣をつける
- 室内の換気をして、空気がこもらないようにする
食事と運動
しっかり食べて栄養をとることは、免疫力を保つために大切です。むせやすい場合は無理に食べず、食事のペースをゆっくりにしましょう。運動は、医師や理学療法士のあんないのもとで、無理のない呼吸リハビリテーションを行うのがよいでしょう。
精神的健康と心の健康
長くつきあう病気なので、不安や気分の落ち込みを感じることがあっても自然なことです。ひとりで抱え込まず、家族や友人、医師や看護師に話して気持ちを分かち合うようにしましょう。
予防
自己免疫疾患に伴うNSIPは完全には予防できません。しかし、喫煙を避け、有害なほこりや化学物質を吸い込まないようにすることで、発症のリスクを減らせる可能性があります。
ワクチン
呼吸器の感染症にかかると症状が悪化することがあります。インフルエンザや肺炎球菌のワクチン接種について、医師と相談してみましょう。
検診プログラム
特におすすめの検診はありません。ただし、自己免疫疾患を持っている方は、定期的に肺の状態を診てもらうことが大切です。
合併症
治療しない場合
- 肺の線維化が進み、息切れが悪化する
- 血液中の酸素が不足して、体がだるくなる
- 肺の血管の圧力が高くなる「肺高血圧症」を合併することがある
- 呼吸不全(呼吸が苦しくて十分な酸素をとりこめない状態)に至ることがある
長期的な見通し
NSIPは間質性肺炎のなかでも、治療への反応が比較的よいことがあります。早期に診断し治療を始めることで、症状を安定させ、進行を遅らせることができます。経過は人それぞれですが、希望をもって治療を続けましょう。
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健康ガイドラインは国や地域によって異なります。この記事の情報は国際的な臨床ガイドラインに基づいていますが、お住まいの国の具体的なガイドライン、薬、または診療慣行を反映していない場合があります。健康上の懸念は常にご自身の医師または医療提供者と相談し、利用可能な場合は地域の国家ガイドラインを参照してください。
重要なお知らせ この情報は教育目的にのみ提供されています。専門的な医療アドバイス、診断、治療に代わるものではありません。ご自身の状況については、常に資格を持つ医療専門家にご相談ください。医療上の緊急事態が発生した場合は、直ちに最寄りの救急医療サービスに連絡してください。
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情報源とガイダンス
この記事は教育目的で、利用可能な場合は認知された健康情報および臨床ガイダンスの情報源を参照して作成されています。具体的な情報源リンクはトピックによって異なる場合があります。
最終更新: 2026年7月31日
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