おたふく風邪(流行性耳下腺炎)
国際的な診療ガイドラインに基づく
概要
おたふく風邪は、ウイルスが原因で起こる感染力の強い病気です。耳の下にある「耳下腺」という唾液を作る器官が腫れて、痛みを伴います。多くの場合は自然に良くなりますが、まれに重い合併症を起こすことがあります。
重要な事実
- おたふく風邪は、せきやくしゃみ、話したときの飛まつ、または感染した人の唾液に触れることでうつります。
- 感染してから症状が出るまでに約2〜3週間かかることがあります。
- 予防にはワクチン接種が最も効果的です。
- 一度かかると、多くの場合、生涯にわたって免疫ができます。
日本では、ワクチン接種が広がる前は子どもを中心に毎年多くの人がかかっていました。現在でも、ワクチンを接種していない人や、一度もかかったことがない人の間で集団発生がみられることがあります。
主に子どもがかかりますが、ワクチン未接種の大人や免疫が不十分な人もかかることがあります。大人の方が症状が重くなることがあります。
症状
- 強い頭痛や吐き気、首が硬くなる症状(髄膜炎の可能性)
- けいれん
- 意識がもうろうとする
- 呼吸が苦しそう
- 激しい腹痛(膵炎の可能性)
- 男の子で片方の精巣が急に強く腫れて痛む
- ⚠高熱が続く
- ⚠腫れが引かず、痛みが強くなる
- ⚠耳が遠くなった、聞こえにくい
- ⚠胸の痛みや動悸がある
- ⚠いつもと違う強いだるさが続く
一般的な症状
- 耳の下(片側または両側)が腫れて痛む
- 発熱(38℃前後のことが多い)
- あごや耳の痛み
- 飲み込むときの痛み
- 食欲がない
子供の症状
- 耳の下が腫れて痛がる
- 熱が出る
- 食べ物を噛んだり飲み込んだりすると痛がる
- 元気がなくなる
高齢者の症状
- 耳の下の腫れが強く、痛みが強いことがある
- 高熱が出ることがある
- 精巣(睾丸)や卵巣、乳房(乳腺)が腫れて痛むことがある
- 合併症を起こしやすい
原因
主な原因
- ムンプスウイルスというウイルスの感染によって起こります。
- 感染した人のせきやくしゃみ、会話のときに飛ぶ細かなしぶき(飛まつ)を吸い込むことでうつります。
- 感染した人の唾液がついたコップや食器、手を介してうつることもあります。
リスク要因
- おたふく風邪のワクチンを接種していない
- おたふく風邪にかかったことがない
- おたふく風邪が流行している地域に住んでいる
- 学校や保育施設など人が集まる場所に通っている
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 強い頭痛、吐き気、首が硬い
- けいれんが起きた
- 高熱が続く
- 耳の下の腫れが強く、痛みがひどい
- 耳が聞こえにくい
- 男の子で精巣が腫れて痛む
定期受診を予約すべき場合:
- 耳の下が腫れている(前日の夜、または朝起きたときから)
- 熱がある
- おたふく風邪にかかった人と接触した
- 家族に同じ症状の人がいる
診断
医師が症状(特に耳の下の腫れ)や、おたふく風邪にかかった人との接触の有無を確認して診断します。はっきりしない場合は、血液検査や唾液の検査でウイルスや抗体を調べることがあります。
行われる可能性のある検査
- 血液検査(ウイルスに対する抗体を調べる)
- 唾液検査(ウイルスを直接検出する)
- 髄液検査(強い頭痛や髄膜炎が疑われる場合)
診察で予想されること
診察では、腫れている場所をやさしく触って確認し、熱や全身の状態を調べます。「かかった人と会ったか」「予防接種を受けたか」なども聞かれます。必要に応じて検査が行われますが、多くの場合は症状と診察で診断できます。
治療
おたふく風邪に対する特別な治療薬はありません。ウイルスそのものを直接やっつける薬はなく、症状をやわらげながら、体の免疫力で自然に治るのを待つことが治療の中心になります。
自宅でのセルフケア
- 十分に休息をとる
- 水分をこまめに取る(ジュースやスープなど)
- 痛みがあるときは、温めたり冷やしたりして様子をみる
- やわらかい食べ物を選ぶ(酸っぱいもの、辛いものは避ける)
- 腫れや痛みが続く間は、無理に動かず安静にする
- 他の人にうつさないように、症状がある間は人との接触を控える
医療治療
症状に応じて、痛みや熱をやわらげるお薬が処方されることがあります。市販の痛み止めを使いたい場合は、薬剤師や医師に相談してください。まれに合併症が起きた場合は、入院して治療が行われることがあります。
手術が検討される場合
おたふく風邪そのものに対して手術が必要になることはありません。
この病気と共に生きる
自宅で安静にしながら、症状が和らぐのを待ちます。腫れが引いてからも、ウイルスを排出している期間があるため、医師の指示に従って登校・出勤の再開時期を決めましょう。
生活習慣のアドバイス
- 外出を控え、人混みを避ける
- 手洗いをこまめにする
- せきやくしゃみをするときは、ティッシュや袖で口を覆う(咳エチケット)
- 使ったタオルやコップを家族と共有しない
- 部屋の換気をこまめに行う
食事と運動
噛むと痛いことが多いため、刺激の少ないやわらかい食事(おかゆ、うどん、スープ、豆腐など)を取ると良いでしょう。酸っぱい食べ物や辛い食べ物は唾液の分泌を促して痛みが強くなるため、避けてください。水分は十分に取りましょう。運動は、症状が治まり医師の許可が出るまで控えてください。
精神的健康と心の健康
腫れや痛みで食事や会話がしづらくなることは、特に子どもにとってつらい体験になります。家族はゆっくり話を聞き、安心させてあげてください。大人の場合も、仕事や家事ができず不安になることがあります。周囲の理解と支えが大切です。
予防
はい、ワクチン接種がおたふく風邪の予防に最も効果的です。規則正しい生活や手洗い、咳エチケットも感染予防に役立ちます。
ワクチン
日本では、おたふくかぜを含む「麻疹・おたふくかぜ・風疹混合ワクチン(MMRワクチン)」が任意接種として受けられます。通常、1歳を過ぎてから2回接種することがすすめられています。接種の時期や回数は、かかりつけ医に相談してください。
検診プログラム
おたふく風邪の定期健診や検診は特にありません。ただし、ワクチン接種歴がはっきりしない場合は、医療機関で抗体検査を行うことができます。
合併症
治療しない場合
- 髄膜炎(のどや腰のあたりの痛み、強い頭痛を伴うことがある)
- 精巣炎(男性の精巣が腫れて痛む。まれに不妊の原因となることがある)
- 卵巣炎(女性の卵巣が腫れて痛むことがある)
- 膵炎(激しい腹痛や吐き気を伴う)
- 難聴(片方の耳が聞こえにくくなることがある。まれに永続的な難聴になることもある)
長期的な見通し
おたふく風邪は、多くの場合、数週間で完全に治ります。合併症があっても、適切な治療を受ければ回復する可能性が高いです。ワクチンで予防できる病気ですので、もしものときは早めに医療機関を受診し、医師と相談しながら経過を見守ってください。
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情報源とガイダンス
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最終更新: 2026年7月31日
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