のど(中咽頭)のHPV感染について
国際的な診療ガイドラインに基づく
概要
HPV(ヒトパピローマウイルス)は、とてもありふれたウイルスの一種で、のどの奥や扁桃(へんとう)、舌の付け根など中咽頭とよばれる部分に感染することがあります。多くは無症状のまま自然に消えますが、一部の高リスク型(がんになりやすいタイプ)が長く続くと、のどのがんの原因になることがあります。
重要な事実
- HPVは性行為でうつることが多い、ありふれたウイルスです。
- のどに感染しても、多くの場合は症状がなく、自然に消えます。
- 一部の高リスク型が長く続くと、将来のどのがんのリスクが高まります。
ありふれています。成人の多くが人生のどこかでHPVに感染するとされています。のどへの感染も珍しくありません。
性行為(オーラルセックスを含む)を経験した人なら誰でもかかる可能性があります。男性にも女性にもみられます。
症状
- 急に息が苦しい
- のどがふさがる感じがある
- 血を吐く
- 食べ物や水がまったく飲み込めない
- ⚠のどの痛みが強く、食事や水分がとれない
- ⚠のどがはれて息が少し苦しい
- ⚠のどのしこりやはれが急に大きくなる
一般的な症状
- 多くの場合、症状はありません。
- のどが痛い、声がかれやすい
- のどに異物感や違和感がある
- 飲み込みにくい
- 首のしこり
- 片側だけの耳の痛みが続く
子供の症状
- HPVは一般的に性行為でうつるウイルスですが、ごくまれに母子感染や接触で子どもののどにイボ(乳頭腫)ができることがあります。
- 声がかれやすい、のどがゼロゼロする、息をしにくいなどの症状が出ることがあります。
高齢者の症状
- 高齢者では、のどの違和感や飲み込みにくさが続く場合は、HPVに関係するがんの可能性も考えられるため、早めの受診がすすめられます。
- 声のかれが長引く、首のしこりに気づくといった変化にも注意が必要です。
原因
主な原因
- オーラルセックスなどによるHPV感染
- 性器や口の周りの直接の接触
- 性行為以外の接触による感染(まれ)
リスク要因
- 性交渉やオーラルセックスの相手が多いこと
- お酒の多飲
- 免疫力が弱っている状態
- 男性であること(中咽頭がんのリスクが高い)
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- のどの痛みや違和感が3週間以上続く
- 声のかれが長く治らない
- のどにしこりを感じる
- 片側だけの耳の痛みが続く
定期受診を予約すべき場合:
- 健康診断や歯科検診のついでに、のどの違和感を相談する
- HPVワクチンの接種について相談したい場合
診断
まずは問診と耳鼻咽喉科(のどを専門にする診療科)での診察です。のどの奥を鏡やカメラで観察します。HPV感染そのものを調べる一般的な検査はありませんが、異常があるときは組織を少し取って調べます。
行われる可能性のある検査
- 問診・診察
- のどを観察する内視鏡(カメラ)検査
- 組織検査(生検)
- 病変がある場合に行うHPV関連の検査
診察で予想されること
診察では口を大きく開けてもらい、のどの奥や扁桃を観察します。必要に応じてカメラ検査を行いますが、のどに麻酔のスプレーを使い、数分で終わります。組織検査が必要な場合は、局所麻酔で行われます。
治療
ほとんどのHPV感染は、治療をしなくても体の免疫によって自然に消えます。問題になるのは、感染が長く続いて異常な細胞変化(前がん病変)やがんができた場合で、そのときは病変に応じた治療が行われます。
自宅でのセルフケア
- 禁煙する
- お酒は控えめにする
- のどを刺激する辛いものや熱いものを避ける
- 十分な睡眠とバランスのよい食事で免疫力を保つ
- 経過観察中は耳鼻咽喉科の指示を守る
医療治療
のどにイボ(乳頭腫)やがんになる前の変化が見つかった場合は、手術で取り除く方法が基本です。高リスク型HPVによるがんの場合、がんの進行度に応じて放射線治療や抗がん剤治療、手術などが組み合わされます。治療法は医師が患者さんの状態に合わせて説明します。
手術が検討される場合
イボやがんのごく初期の病変は、のどの中のカメラを使った手術やレーザーで取り除くことがあります。眠っている間に安全に行える日帰りの手術も増えています。
この病気と共に生きる
のどのがんの治療後は、食べることや話すことに影響が出ることがあります。リハビリや栄養のサポートをうけながら、ご自身のペースで日常生活に戻ることが大切です。
生活習慣のアドバイス
- こまめな水分補給
- 刺激の少ない食事を選ぶ
- 禁煙・節酒を続ける
- 定期受診を欠かさない
食事と運動
治療中や治療後は、たんぱく質をしっかりとり、のどを通しやすいやわらかい食事(おかゆ、スープ、ゼリーなど)を工夫します。体調がよければ、軽い散歩など無理のない運動を続けると体力維持に役立ちます。
精神的健康と心の健康
「性感染症」「がん」という言葉にショックを受ける方も多いですが、多くは自然に消える感染症です。不安が強いときは、ひとりで抱えずに家族や医療機関に相談してください。
予防
HPVワクチンと、コンドームを正しく使うことで、ある程度予防できます。オーラルセックスでも感染するため、コンドームやデンタルダムを使うことが勧められます。
ワクチン
日本では、小学生から高校生の年齢を対象にHPVワクチン(子宮頸がん予防ワクチン)が接種できます。このワクチンは、のどを含むHPV関連がんの予防にも効果が期待できます。対象年齢の方は厚生労働省の情報を確認し、かかりつけ医や自治体に相談してください。
検診プログラム
のどのがんに特化した集団検診は一般的ではありませんが、のどの違和感や声のかれが続く場合は耳鼻咽喉科の診察をすすめます。口腔がん検診や歯科検診の際にのどの観察を行っていることもあります。
合併症
治療しない場合
- 高リスク型HPVの感染が長く続くと、中咽頭がんのリスクが高くなる
- のどにイボ(乳頭腫)ができると、声のかれや息苦しさがあらわれることがある
- まれに、のどのがんが進行して周りの組織やリンパ節に広がることがある
長期的な見通し
HPV感染のほとんどは自然に消え、実際にがんになる人はごく一部です。中咽頭がんは早期にみつかれば治療で治る可能性が高い病気です。心配な症状があれば早めに受診し、定期的に経過を見ることが一番の予防につながります。
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必ず医師に確認してください
健康ガイドラインは国や地域によって異なります。この記事の情報は国際的な臨床ガイドラインに基づいていますが、お住まいの国の具体的なガイドライン、薬、または診療慣行を反映していない場合があります。健康上の懸念は常にご自身の医師または医療提供者と相談し、利用可能な場合は地域の国家ガイドラインを参照してください。
重要なお知らせ この情報は教育目的にのみ提供されています。専門的な医療アドバイス、診断、治療に代わるものではありません。ご自身の状況については、常に資格を持つ医療専門家にご相談ください。医療上の緊急事態が発生した場合は、直ちに最寄りの救急医療サービスに連絡してください。
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情報源とガイダンス
この記事は教育目的で、利用可能な場合は認知された健康情報および臨床ガイダンスの情報源を参照して作成されています。具体的な情報源リンクはトピックによって異なる場合があります。
最終更新: 2026年7月31日
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