副甲状腺腺腫(ふくこうじょうせんせんしゅ)とは
国際的な診療ガイドラインに基づく
概要
副甲状腺腺腫は、のどにある副甲状腺という小さな臓器にできる、良性(悪性ではない)の腫瘍です。副甲状腺は血液中のカルシウムの量を調節するホルモン(PTH)を作っています。腺腫ができると、このホルモンが過剰に分泌され、血液中のカルシウムが高くなりすぎることがあります。この状態を「原発性副甲状腺機能亢進症」と呼びます。
重要な事実
- 副甲状腺腺腫はほとんどが良性で、がんになることはまれです。
- 血液中のカルシウムが高くなることで、骨や腎臓に影響が出ることがあります。
- 治療の中心は手術ですが、経過観察でよい場合もあります。
比較的多い病気で、特に50歳以上の女性に多く見られます。実際には症状がはっきりしないまま、健康診断などで偶然見つかることも少なくありません。
成人、特に閉経後の女性に多く見られます。30歳以下の発症はまれです。
症状
- 意識がもうろうとする、反応が鈍い
- けいれん発作
- ひどい脱力で動けない
- 激しい不整脈を感じる(動悸が止まらない)
- ⚠ひどい吐き気や嘔吐が続く
- ⚠腰やわき腹に激しい痛みがある(腎結石の可能性)
- ⚠尿の量が極端に減る
- ⚠高カルシウム血症の症状(強い口の渇き、頻尿、混乱)
一般的な症状
- 特に症状がないことも多い(無症状)
- 疲れやすさ、だるさ(倦怠感)
- 気分が落ち込む、集中できない
- のどが渇く、おしっこの回数が多い
- 骨や関節の痛み
- 腎臓結石(腰やわき腹の激しい痛み)
- 吐き気、便秘
子供の症状
- 成長の遅れ
- 骨の変形
- 食欲不振
- 理由のはっきりしない吐き気や嘔吐
高齢者の症状
- 混乱や物忘れ(脳の症状に似る)
- うつ状態
- 筋力低下による転倒
- 骨折しやすくなる
原因
主な原因
- 副甲状腺腺腫自体の原因ははっきりとは分かっていません。多くの場合、遺伝子の変化が関与すると考えられています。
- まれに、複数の副甲状腺が腫れる「過形成」という別の病気が原因の場合もあります。
- まれに、副甲状腺がん(悪性)が原因の場合もありますが、非常にまれです。
リスク要因
- 放射線の被ばく歴(特に首への照射)
- 多発性内分泌腫瘍症(MEN)など、一部の遺伝性の病気
- 長期間のリチウム製剤の使用(医師が処方する場合に限る)
- 閉経後の女性
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 意識の変化や強い倦怠感がある
- 激しい腰やわき腹の痛みがある
- 吐き気や嘔吐が続いて水分が取れない
定期受診を予約すべき場合:
- 健康診断で血液中のカルシウム値が高いと言われた
- 疲れやすさや気分の落ち込みが続く
- 骨がもろくなってきて骨折しやすくなった
診断
血液検査でカルシウム値と副甲状腺ホルモン(PTH)の値が高い場合に疑われます。さらに、画像検査で腺腫の場所を確認します。
行われる可能性のある検査
- 血液検査(カルシウム、PTH、ビタミンD、腎機能など)
- 尿検査(尿中カルシウム排出量の測定)
- 骨密度検査(骨粗しょう症の有無)
- 頸部エコー(超音波)検査
- シンチグラフィ(アイソトープを使った副甲状腺の画像検査)
診察で予想されること
診断には数日から数週間かかることがあります。まずは血液検査と尿検査が中心で、必要に応じて画像検査が行われます。検査自体に痛みはほとんどなく、外来で受けられるものがほとんどです。
治療
治療法は、症状やカルシウム値の高さ、年齢、骨や腎臓への影響によって決まります。手術で腺腫を摘出することが根本的な治療ですが、症状が軽い場合や高齢の場合は経過観察を選ぶこともあります。
自宅でのセルフケア
- 脱水を防ぐために、1日2リットル程度の水分をこまめにとる
- 食事はバランスよく、極端にカルシウムを制限しない(医師の指示に従う)
- 長期間の安静や寝たきりを避け、できる範囲で体を動かす
- 市販薬を自己判断で使わない(特に利尿薬やビタミンDなど)
医療治療
手術が難しい場合や症状がない場合には、薬を使わずに定期的な血液検査で経過を観察する方法があります。高カルシウム血症が強い場合には、医師の処方による点滴や内服薬でカルシウム値を下げる治療が行われることがあります。具体的な薬の名前や用量は医師が判断します。
手術が検討される場合
若い方、血液中のカルシウム値がかなり高い方、腎結石や骨粗しょう症など合併症がある方、症状が強い方には、副甲状腺腺腫を摘出する手術がすすめられることが多いです。手術は専門の外科医によって行われ、多くの場合、首の小さな切開で済みます。
この病気と共に生きる
経過観察の場合は、定期的に血液検査を受けてカルシウム値と腎機能をチェックします。のどの渇きや疲れ、気分の変化などの症状があれば、我慢せずに医師に伝えましょう。
生活習慣のアドバイス
- 禁煙する(喫煙は骨密度を低下させる)
- お酒は控えめに
- 規則正しい生活と十分な睡眠
- 転倒に注意し、室内の安全を整える
食事と運動
骨を丈夫にするために、無理のない範囲で歩行や体操などの負荷のかかる運動を取り入れましょう。食事については、極端なカルシウム制限はすすめられません。医師や管理栄養士のアドバイスを受けながら、バランスのよい食事を心がけてください。ビタミンDが不足している場合は、医師と相談してください。
精神的健康と心の健康
だるさや気分の落ち込み、集中力の低下などは、カルシウム値の異常が関係していることがあります。また、治療の選択に不安を感じることもあるでしょう。症状は自分自身の問題ではなく、病気の影響として理解し、周囲や医療者に相談することが大切です。
予防
副甲状腺腺腫そのものを予防する方法は、現在のところ分かっていません。早期発見と適切な治療によって、合併症を防ぐことができます。
ワクチン
省略
検診プログラム
症状がなくても、健康診断の血液検査でカルシウム値の異常が指摘されることがあります。気になる場合は、定期健診を受けましょう。
合併症
治療しない場合
- 骨粗しょう症が進み、骨折しやすくなる
- 腎臓結石が繰り返し起こる
- 腎機能の低下
- 消化性潰瘍のリスク
- 重度の高カルシウム血症による意識障害(まれ)
長期的な見通し
副甲状腺腺腫は良性の病気で、手術で治る可能性が高いです。手術後は血液中のカルシウム値が正常になり、骨密度も改善することが期待できます。経過観察の場合でも、定期的なチェックと生活習慣の工夫で合併症を予防しながら、安心して暮らすことができます。
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情報源とガイダンス
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最終更新: 2026年7月31日
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