慢性腎臓病(CKD)について
国際的な診療ガイドラインに基づく
概要
慢性腎臓病(CKD)は、腎臓のはたらきが長い時間をかけてゆっくりと低下していく病気です。腎臓は血液をろ過して老廃物を尿として体の外に出し、体内の水分や塩分のバランスを保つ役目をしています。このはたらきが低下すると、体に余分な水分や老廃物がたまり、さまざまな健康問題を引き起こします。初期の段階ではほとんど症状がなく、気づかないうちに進行していることもあります。
重要な事実
- 初期の慢性腎臓病では自覚症状がほとんどありません。
- 主な原因は糖尿病、高血圧、慢性糸球体腎炎などです。
- 早期に発見して生活習慣や病気を管理することで進行を遅らせることができます。
日本では成人の約8人に1人が慢性腎臓病(CKD)とされています。かなり身近な病気です。
慢性腎臓病は主に中高年に多く、特に65歳以上の方で発症しやすいです。また、糖尿病や高血圧のある方、肥満の方、家族に腎臓病の人がいる方もリスクが高くなります。
症状
- 呼吸がとても苦しい
- 胸の痛みがある
- けいれんを起こしている
- 意識がもうろうとする
- まったく尿が出ない
- ⚠むくみが急にひどくなった
- ⚠血尿が続く
- ⚠高熱があり、ぐったりする
- ⚠激しい腰痛や脇腹の痛み
- ⚠吐き気や嘔吐が続いて水分がとれない
一般的な症状
- 初期は自覚症状がほとんどない
- 足やまぶたのむくみ
- 体がだるい、疲れやすい
- 息切れがする
- 尿に泡が立つ、または血が混じる
- トイレの回数や尿の量の変化
- 食欲がない、吐き気がする
- 皮膚のかゆみ
子供の症状
- 成長が遅い、身長が伸びない
- 食欲不振、吐き気
- むくみ(顔や足)
- 夜尿(おねしょ)が続く
- 疲れやすい、元気がない
高齢者の症状
- ぼんやりする、意欲が低下する
- 食欲低下や体重減少
- 足のむくみ、息切れ
- よく転ぶ、歩くのが遅くなる
- かゆみや皮膚の乾燥が目立つ
原因
主な原因
- 糖尿病(高血糖が腎臓の血管を傷つける)
- 高血圧(腎臓への血流が悪くなる)
- 慢性糸球体腎炎(腎臓にある糸球体というろ過装置の炎症)
- 腎硬化症(腎臓の細い血管が硬くなって狭くなる)
- 多発性嚢胞腎などの遺伝性の病気
リスク要因
- 高齢である
- 家族に腎臓病の人がいる
- 糖尿病または高血圧と診断されている
- 肥満(体格指数が高い)
- 塩分のとりすぎ
- 長期間にわたって痛み止めなどの薬を自己判断で使い続けている(特に、いわゆる市販の痛み止め)
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 呼吸が苦しく、横になれない
- 意識がぼんやりして呼びかけに応じない
- けいれんを起こした
- 尿がまったく出ない
- これらは命に関わることがあります。すぐに119番に電話して救急車を呼んでください。
定期受診を予約すべき場合:
- 健康診断で尿たんぱくや血液検査の値(クレアチニン・eGFR)を指摘された
- 糖尿病や高血圧と言われているが、腎臓の検査をしたことがない
- 足やまぶたのむくみが続く
- 疲れやすさや息切れが気になる
- これらの場合は、かかりつけ医または腎臓内科を受診してください。
診断
慢性腎臓病は、血液検査と尿検査を組み合わせて診断します。血液検査で腎臓のろ過機能を示すeGFR(推算糸球体濾過量)を計算し、尿検査でたんぱく尿の有無を確認します。必要に応じて、腎臓の形や状態を調べる超音波検査やCT検査が行われることもあります。
行われる可能性のある検査
- 血液検査(血清クレアチニン値からeGFRを計算する)
- 尿検査(尿たんぱく、尿潜血、尿沈渣)
- 超音波検査(腎臓の大きさや形、腫瘍や水のたまりをチェック)
- 必要に応じてCT検査やMRI検査
- 腎生検(腎臓の組織を極細い針で少しだけ採取して顕微鏡で調べる検査)
診察で予想されること
診断は外来で簡単に行えます。血液と尿を採取するだけで、痛みはほとんどありません。結果は通常、数日から1週間ほどでわかります。医師からは、病期(ステージ)と今後の治療方針について説明があります説明は患者さんに合わせてやさしく行われます。
治療
慢性腎臓病の治療の中心は、原因となる病気の管理と、腎臓への負担を減らす生活習慣の改善です。食事療法、運動、血圧や血糖のコントロールを続けることで、病気の進行をできる限り遅らせます。病状が進んだ場合には、透析や腎移植についての説明を受けることもあります。
自宅でのセルフケア
- 医師から指示された食事管理(特に塩分やたんぱく質の量)を守る
- 禁煙する
- 飲酒は控えめにする
- 適度な運動を続ける
- 体重を適正に保つ
- 市販薬やサプリメントを自己判断で使わない
- 定期的に受診し、指示された検査を受ける
医療治療
薬物療法では、血圧や血糖、コレステロール値をコントロールする薬が処方されることがあります。また、腎臓の負担を減らす薬や、貧血・骨の病気を防ぐ薬が使われることもあります。どの薬が適しているかは、腎機能や併存疾患によって医師が慎重に判断します。市販の痛み止めやかぜ薬などでも腎臓に影響が出ることがあるため、薬を買うときや処方を受けるときは「腎臓の病気がある」と必ず伝えてください。
手術が検討される場合
腎機能が極端に低下し、命に関わるようになると、透析治療(血液透析や腹膜透析)を始めるための手術や、腎移植が検討されます。これらの治療は専門の医療機関で行われ、患者さんの生活スタイルや希望に合わせて選択されます。
この病気と共に生きる
慢性腎臓病と診断されても、多くの方が生活の質を保ったまま過ごせます。体調の変化に耳を傾け、一度に完璧をめざさず、毎日コツコツと管理することが大切です。仕事や家事、趣味も、工夫しながら続けていくことができます。
生活習慣のアドバイス
- 毎日の飲み薬・食事をチェックリストで見える化する
- 血圧測定や体重測定を日課にする
- 十分な睡眠と休養をとる
- ストレスをため込まず、気分転換の時間をつくる
- 旅行や外出のときは、かかりつけ医に相談して緊急時の連絡先を確認しておく
食事と運動
食事は、塩分を控えめに(1日6グラム未満が目標ですが、個人差があります)、たんぱく質はとりすぎに注意し、栄養バランスを考えます。果物や野菜に含まれるカリウムや、乳製品に多いリンを制限する必要がある場合もありますので、医師や管理栄養士の指示に従いましょう。運動は、ウォーキングなどの有酸素運動を無理のない範囲で週に数回行うことがすすめられます。激しい運動は脱水や血圧の変動を起こすことがあるため、必ず主治医に相談してください。
精神的健康と心の健康
慢性腎臓病は長く付き合う病気なので、不安や落ち込みを感じることがあるかもしれません。そのような感情は自然なものです。一人で抱え込まず、家族や友人に話す、患者同士の集まりに参加する、医師や看護師に相談するなど、気持ちを整理する方法を見つけましょう。必要に応じて心理的なサポートを受けることもできます。
予防
完全に防ぐことは難しい場合もありますが、健康的な生活習慣を送り、高血圧や糖尿病を早期に治療することで、発症したり進行したりするリスクを大きく減らすことができます。特に、塩分を控え、禁煙し、適度な運動を続けることが大切です。
ワクチン
感染症は腎臓に負担をかけることがあります。特に、インフルエンザや肺炎球菌による肺炎は重症化しやすいため、慢性腎臓病の方は予防接種を検討しましょう。予防接種を受ける前に、必ず主治医に相談してください。
検診プログラム
健康診断の尿検査と血液検査が、慢性腎臓病の早期発見にとても重要です。40歳以上の方は、少なくとも年に1回は検査を受けることをおすすめします。糖尿病や高血圧のある方は、医師の指示に従って定期検査を欠かさず行いましょう。
合併症
治療しない場合
- 末期腎不全に進行し、透析や腎移植が必要になる
- 心筋梗塞や脳卒中などの心血管病の発症リスクが高まる
- 貧血が進み、疲れやすくなる
- 骨が弱くなり、骨折しやすくなる
- 血液中のカリウムが増えすぎて不整脈を起こす
- 免疫機能が低下し、感染症にかかりやすくなる
長期的な見通し
慢性腎臓病の進行は、きちんと治療と生活管理を続ければ遅らせることができます。最近の医学の進歩により、治療の選択肢も増えています。たとえ進行しても、透析や腎移植など、その人に合った方法で自分の人生を続けている方はたくさんいます。希望を持って、医療者とともに一歩ずつ歩んでいきましょう。
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必ず医師に確認してください
健康ガイドラインは国や地域によって異なります。この記事の情報は国際的な臨床ガイドラインに基づいていますが、お住まいの国の具体的なガイドライン、薬、または診療慣行を反映していない場合があります。健康上の懸念は常にご自身の医師または医療提供者と相談し、利用可能な場合は地域の国家ガイドラインを参照してください。
重要なお知らせ この情報は教育目的にのみ提供されています。専門的な医療アドバイス、診断、治療に代わるものではありません。ご自身の状況については、常に資格を持つ医療専門家にご相談ください。医療上の緊急事態が発生した場合は、直ちに最寄りの救急医療サービスに連絡してください。
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情報源とガイダンス
この記事は教育目的で、利用可能な場合は認知された健康情報および臨床ガイダンスの情報源を参照して作成されています。具体的な情報源リンクはトピックによって異なる場合があります。
最終更新: 2026年7月31日
教育上の注記: この情報は教育目的のみであり、診断ではありません。
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