カンピロバクター感染症
国際的な診療ガイドラインに基づく
概要
カンピロバクターという細菌が、食べ物や水から体に入ることで起こる感染症です。主に下痢、腹痛、発熱などの症状が出ます。多くの場合は数日でよくなりますが、重症化することもあるため、注意が必要です。
重要な事実
- 主に鶏肉を十分に加熱しないで食べることで感染することが多いです。
- 感染してから症状が出るまで1~7日かかることがあります。
- 多くの人は特別な治療をしなくても1週間以内に回復します。
- 下痢が長く続く場合や便に血が混じる場合は、医療機関を受診しましょう。
- まれに、神経や関節に影響が出ることがあります。
日本では細菌性の食中毒の原因として最も多いものの一つです。特に、鶏肉を生や半生で食べたときに発生することが多く、夏から秋にかけて増加する傾向があります。
子どもから大人まで幅広い年齢層で発症します。特に、鶏肉や生肉を扱う人、海外旅行に行く人、免疫力が低下している人(高齢者、乳幼児、持病がある人など)は注意が必要です。
症状
- 意識がもうろうとする、または呼びかけに反応しない
- 便に大量の血が混じる
- 激しい腹痛でじっとしていられない
- 40度以上の高熱とともにぐったりしている
- 4時間以上尿が出ない(重症の脱水)
- ⚠下痢が3日以上続くが、水分が十分に取れない
- ⚠少しでも便に血が混じる
- ⚠妊娠中、または高齢者や乳幼児である
- ⚠持病(糖尿病、がん治療中など)があり、症状が出ている
- ⚠仕事や学校で周囲に感染を広げる可能性が高い
一般的な症状
- 水のような下痢(ときに血が混じることがあります)
- 吐き気・嘔吐
- 頭痛・筋肉痛
原因
主な原因
- カンピロバクターという細菌に汚染された食べ物や水を食べたり飲んだりすることで感染します。
- 特に、鶏肉(鶏レバーやささみなど)を生や半生で食べたり、十分に加熱しなかった肉を食べたりすることで起こります。
- 十分に加熱された食品でも、肉を切った包丁やまな板を清潔にしないと、他の食品に細菌が移って感染することがあります。
- 感染した人やペットのふんに触れた後に手を洗わないでいると、そこから口に入ることもあります。
リスク要因
- 生の鶏肉や加熱不足の肉を食べる機会が多い
- 野外で調理した肉を食べる、冷蔵設備が不十分な環境での食事
- 海外旅行(特に衛生状態が十分でない地域)
- 乳幼児や高齢者、免疫機能が低下している人(基礎疾患がある人、妊娠中の人など)
- 猫や犬などのペットとの接触(動物のふんに触れる可能性)
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 下痢が続き、水分が取れない、尿が出にくいなどの脱水のサインがある
- 強い腹痛がある、便に血が混じる
- 40度を超える発熱がある
- 乳幼児や高齢者、妊婦、持病がある人で症状が出ている
定期受診を予約すべき場合:
- 下痢が3日以上続く、または症状が長引いて仕事や学校を休む必要がある
- 軽い症状だが、周囲の人にうつす可能性があるため、受診して相談したい
- 下痢が治った後に、手足のしびれや力が入りにくいなどの症状が出た
診断
医療機関では、症状の経過や飲食の内容について質問し、必要に応じて便の検査を行います。便から原因の細菌を見つけることで診断されます。
行われる可能性のある検査
- 便の検査(細菌培養)
- 血液検査(炎症反応や脱水の状態を確認する必要がある場合)
診察で予想されること
検査結果が出るまでに数日かかることがあります。症状が軽い場合は、検査なしで経過を観察することもあります。症状が重い場合や重症化のリスクが高い場合は、便の検査がすすめられます。
治療
治療の中心は、水分と電解質(塩分など)を補うことです。多くの方は数日の安静と水分補給で自然に回復します。症状が重い場合は、医師の判断で抗菌薬が使われることもあります。下痢止めは、自己判断では使わないでください。
自宅でのセルフケア
- こまめに水分を取る(水、お茶、経口補水液など)
- 消化の良い食事を少しずつ取る(おかゆ、うどん、野菜スープなど)
- 体を温かくして安静にする
- 下痢のあとは石けんでよく手を洗う
- 周囲にうつさないよう、下痢の間は食事の準備を避け、トイレの後はしっかり手を洗う
医療治療
症状が重い場合や、免疫力が低下している人、妊婦、高齢者などでは、医師の判断で細菌の増殖を抑える薬(抗菌薬)が使われることがあります。どの薬を使うかは、症状や菌の種類に合わせて医師が決めます。また、脱水がひどいときは、病院で水分や電解質を点滴することもあります。下痢止めの薬は、症状を長引かせたり菌を体内にとどめるリスクがあるため、自己判断では使わないでください。
この病気と共に生きる
感染したら、人にうつさないために、こまめに手を洗い、下痢の間は仕事や学校を休み、食事の準備は避けましょう。トイレは使用後きれいに掃除し、タオルを共用しないことも大切です。症状が治まっても、菌は便の中に数週間排出されることがあるため、トイレの後や食事前の手洗いを続けてください。
生活習慣のアドバイス
- 手をよく洗う(特にトイレの後、食事前、動物を触った後)
- タオルや食器を家族と分ける(またはよく洗う)
- 下痢の間は生ものを避け、しっかり加熱したものを食べる
- 十分な睡眠と休息をとる
- 症状が治まった後も、周囲の人にうつさないよう注意する
食事と運動
下痢のときは、水分補給を第一にし、脂っこいものや辛いもの、乳製品は避けてください。回復してきたら、消化の良い食べ物から始めて、体がいつもの状態にもどるまで無理な運動は控えましょう。
精神的健康と心の健康
下痢や腹痛が続くと、外出できず、気分が落ち込んだり不安になることもあります。自分を責めず、ゆっくり休むことが大切です。症状が長引く場合は、医療機関に相談しましょう。また、心配なことやつらい気持ちがあるときは、家族や友人、専門家に話すことも助けになります。
予防
はい、予防できます。原因となる細菌は熱に弱いため、肉は中心部まで十分に加熱することが最も重要です。また、生肉を扱った後の手洗いや調理器具の洗浄・消毒を徹底することで予防できます。
ワクチン
現在、カンピロバクター感染症を予防するワクチンはありません。日頃の食品衛生対策(加熱、手洗い、調理器具の管理)が予防の基本です。
検診プログラム
症状がない人を対象にした定期的な検診はありません。食中毒を防ぐための一般的な衛生管理がすすめられます。
合併症
治療しない場合
- 脱水症状(特に子どもや高齢者で起こりやすい)
- 腸管からの出血や炎症の悪化
- ギラン・バレー症候群(感染後に手足のしびれや筋力低下が出るまれな神経の病気)
- 反応性関節炎(感染後に膝や足首などの関節が腫れて痛む)
- まれに血液中に細菌が入り全身に感染する菌血症
長期的な見通し
多くの人は特別な治療をしなくても1週間以内に回復します。適切な水分補給と休養を続ければ、健康な人では後遺症が残ることはほとんどありません。まれな合併症が起こることもありますが、医療機関で早めに相談することで適切な対応が可能です。明るい見通しをもって、無理せず回復を待ちましょう。
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情報源とガイダンス
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最終更新: 2026年7月31日
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