前立腺炎(せんりつせんえん)
国際的な診療ガイドラインに基づく
概要
前立腺炎とは、男性の体にある前立腺(膀胱の下にあって尿道を取り囲む、くるみ大の臓器)に炎症が起こる病気です。炎症とは、細菌感染やそのほかの原因で、その部分が赤くはれたり、痛みを感じたりする状態をいいます。前立腺炎には、急に症状が出る急性のものと、長く続く慢性のものがあり、原因も細菌によるものと、はっきりしないものがあります。
重要な事実
- 前立腺炎は、男性なら誰でもかかる可能性があるありふれた病気です。
- 急に起こる急性前立腺炎は、細菌感染が原因となることが多く、きちんと治療すれば良くなります。
- 慢性前立腺炎は症状が長く続くことがありますが、多くの場合、適切な対処で症状を和らげられます。
はい。前立腺炎は、泌尿器科を受診する男性によくみられる病気の一つです。特に30代から50代の男性に多いとされていますが、若い人や高齢者でも起こることがあります。
主に男性に起こります。前立腺は男性だけにある臓器のためです。特に、性的に活動的な年齢層や、尿路感染症を起こしやすい人に多くみられます。
症状
- まったく尿が出ない(尿閉)、または激しい痛みを伴う
- 高熱(38度以上)と悪寒が続く
- めまいや意識がもうろうとするなど、全身の状態が悪い
- ⚠尿に血が混ざっている
- ⚠排尿時の痛みがひどく、日常生活に支障がある
- ⚠発熱があるが、救急車を呼ぶほどではない
一般的な症状
- 陰部や下腹部、腰、おしりの痛みや違和感
- 尿がしょっちゅう出る、または尿が急にしたくなる
- 排尿時の痛みや灼熱感
- 尿の勢いが弱い、または尿が出にくい
- 発熱や悪寒、体のだるさ
- 精液に血が混じる(まれ)
原因
主な原因
- 細菌感染:大腸菌などが尿道から前立腺に入り込んで炎症を起こす。
- 非細菌性:細菌が見つからないのに炎症や症状が起こる。神経や筋肉の緊張、ストレス、免疫の反応などが関わると考えられている。
リスク要因
- 尿路感染症を起こしたことがある
- 尿道カテーテル(尿を出すための細い管)を入れたことがある
- 前立腺の生検(組織を取って調べること)を受けた
- 脱水状態や疲労、ストレスがたまっている
- 頻繁な長時間の自転車運転や座位(座りっぱなし)
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 尿がまったく出ない、またはほとんど出ない
- 39度以上の高熱や悪寒がある
- 痛みが急に強くなり、がまんできない
定期受診を予約すべき場合:
- 排尿時の違和感や痛みが数日続く
- 頻尿や夜中に何度もトイレに起きる
- 下腹部や腰、おしりの周りになんとなく痛みがある
診断
医師が問診(症状や経過を聞くこと)を行い、直腸診(肛門から指を入れて前立腺の大きさや痛みを調べる検査)や尿検査、血液検査などを通じて診断します。原因が細菌かどうかを確かめるために、尿や前立腺液の培養検査を行うこともあります。
行われる可能性のある検査
- 尿検査:細菌や白血球の有無を調べる
- 直腸診:前立腺の状態を直接確認する
- 血液検査:炎症の程度や前立腺の状態を調べる
- 超音波検査:前立腺の大きさや形を画像で確認する(必要に応じて)
診察で予想されること
診断のための直腸診は、一瞬不快な感じがありますが、数秒で終わります。痛みが強い場合は医師に伝えてください。検査結果が出るまでに数日かかることがありますが、診察のときに大体の見通しを説明してもらえます。
治療
治療は、前立腺炎の種類(急性か慢性か、細菌性か非細菌性か)によって異なります。細菌が原因の場合は抗菌薬を使いますが、それ以外の場合は症状を和らげることに焦点を当てます。医師の指示に従って、根気よく治療を続けることが大切です。
自宅でのセルフケア
- 水分を十分にこまめにとる(ただし、アルコールやカフェインの多い飲み物は控える)
- お風呂で温めてリラックスする
- 長時間座りっぱなしを避け、適度に歩く
- ストレスをためないように工夫する
- 症状が続く間は激しい運動や長時間の自転車運転を控える
医療治療
治療には、細菌感染に対して抗菌薬が使われることがあります。また、排尿の症状を和らげる薬や、痛みや炎症を抑える薬が処方されることもあります。具体的な薬の名前や用量は、医師があなたの状態に合わせて決めます。自己判断で治療を中断せず、医師の指示を守ってください。
手術が検討される場合
前立腺炎の治療で手術が必要になることはほとんどありません。ただし、尿がまったく出ない場合や、前立腺の中に膿がたまった場合など、まれに手術や処置が必要になることがあります。
この病気と共に生きる
前立腺炎は、特に慢性の場合、症状がよくなったり悪くなったりを繰り返すことがあります。焦らず、自分のペースで日常生活を続けましょう。症状がひどい日は無理をせず、休むことも大切です。
生活習慣のアドバイス
- 規則正しい睡眠とバランスのよい食事を心がける
- 喫煙や過度の飲酒は避ける
- 適度な運動を習慣にし、骨盤まわりの血流を良くする
- 症状が出やすいときは、刺激の強い食べ物(辛いものなど)を控えてみる
食事と運動
特別な食事療法はありませんが、炎症を抑える効果が期待できる野菜や果物を多く取り入れ、水分を十分に飲むことをおすすめします。ウォーキングなどの軽い運動は血行を良くし、症状の改善に役立つことがあります。長時間座りっぱなしは避けて、1時間に一度は立ち上がって体を動かしましょう。
精神的健康と心の健康
痛みや排尿の症状が続くと、不安やイライラ、気分の落ち込みを感じることがあります。それも病気の一部だと理解し、ひとりで抱え込まないでください。症状が心の負担になっていると感じたら、遠慮なく医師に相談しましょう。
予防
すべての前立腺炎を予防することはできませんが、リスクを減らすことはできます。水分を十分にとり、尿を我慢しない、感染症を早期に治療する、不必要な尿道カテーテルを避けるなどが大切です。
ワクチン
前立腺炎を直接予防するワクチンはありません。
検診プログラム
前立腺炎のための特定のスクリーニング検査はありません。気になる症状があれば、早めに泌尿器科を受診しましょう。
合併症
治療しない場合
- 慢性化して、痛みが長期間続く
- 尿閉(尿がまったく出なくなる状態)
- 膀胱炎や腎盂腎炎(腎臓にまで炎症が広がること)
- まれに、敗血症(細菌が血液に入り全身に広がる重い感染症)
長期的な見通し
前立腺炎は、適切な治療を受ければ多くの場合、症状は改善します。急性のものは抗菌薬で治ることがほとんどです。慢性の場合も、根気よく治療や生活の工夫を続ければ、症状をコントロールして普段の生活に戻ることができます。焦らずに医療機関と力を合わせてください。
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情報源とガイダンス
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最終更新: 2026年7月31日
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