水腎症(すいじんしょう)とは?
国際的な診療ガイドラインに基づく
概要
水腎症は、腎臓に尿がたまって腎臓がむくんだ状態です。腎臓は、血液をろ過しておしっこを作る臓器です。そのおしっこの流れ道が何かでふさがったり、逆流したりすると、尿が腎臓にたまって膨らんでしまいます。
重要な事実
- 水腎症は、尿の流れが悪くなって腎臓に尿がたまる状態です。
- 小さい子どもでも大人でも、おなかの中の赤ちゃんでも見つかることがあります。
- 一時的なものから外科的な治療が必要なものまで、原因や程度はさまざまです。
- 早期に見つけて治療すれば、腎臓の働きを守れることが多いです。
- 治療は原因によって異なるため、医師の診断が大切です。
水腎症は、あまり珍しい病気ではありません。特に胎児の超音波検査で偶然見つかることもあり、子どもでは1,000人に1人程度とされています。男性では前立腺の病気が原因で起こることも多いため、年代によって見られる頻度は変わります。
水腎症はどの年齢でも起こりますが、子ども(特に胎児や乳幼児)、妊娠中の女性、前立腺の病気がある高齢の男性に多く見られます。
症状
- 突然の強い腰やあばらの痛み(呼吸や動きでさらに痛む)
- 高熱(38度以上)が続く、または悪寒がする
- まったく尿が出ない、または急に尿量が減った
- 顔色が青白く、冷や汗が出てぐったりしている
- ⚠痛みとともに吐き気や嘔吐がある
- ⚠血尿が続く、または排尿痛がある
- ⚠発熱と、腰から背中にかけての痛みがある
- ⚠尿のにおいが強い、またはにごっている
一般的な症状
- 痛みがないことが多く、健康診断などの検査で偶然見つかることもあります。
- 腰やわき腹が重くだるい、または鈍く痛む。
- 排尿の回数が減る、尿が出にくい。
- 血が混じった尿や、にごった尿が出る。
- 吐き気や嘔吐を感じることがあります。
子供の症状
- 乳幼児では、おなかが張って見えることがあります。
- 発熱を繰り返すこともあります。
- 授乳やミルクの飲みが悪い、元気がないなどのサインが見られることがあります。
- おむつが濡れる量が少ない、または頻尿なことに気づくことがあります。
高齢者の症状
- 排尿しにくい、尿の勢いが弱い、残尿感があるといった症状がでることがあります。
- 膀胱炎や腎盂炎などの尿路感染症を起こしやすくなります。
- 高齢の方では、せんもう(意識がぼんやりする)や転倒などの症状が出ることもあります。
原因
主な原因
- 尿の通り道(尿管)が結石(石)や腫瘍でふさがれる。
- 尿管が狭くなる、または先天的な形の異常がある。
- 膀胱から腎臓へ尿が逆流する(膀胱尿管逆流症)。
- 前立腺が肥大しておしっこの出口を圧迫する。
- 妊娠によって子宮が尿管を圧迫する。
- 神経の障害や脊椎の損傷で排尿のコントロールがうまくいかない。
リスク要因
- 腎臓結石や尿管結石の既往がある。
- 前立腺肥大症や前立腺がんの治療歴がある。
- 脊髄損傷や神経の病気がある。
- 家族に水腎症や逆流症がある。
- 妊婦さんは生理的に尿管が圧迫されやすい。
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 腰やわき腹の激しい痛みが突然始まった。
- 発熱とともに尿の異常(血尿・排尿痛など)がある。
- 吐き気や嘔吐が続く。
- 尿量が極端に減ったり、完全に出なくなったりした。
定期受診を予約すべき場合:
- 腰や背中の痛みが数日続く。
- 尿の出が悪い、または残尿感がある。
- 健康診断などで腎臓の水がたまると指摘された。
- 子どもに頻尿やおねしょが続く。
診断
水腎症は、通常の診察と画像検査で診断されます。腹部の触診や背中の叩打痛を確認したあと、腹部超音波検査で腎臓の腫れを確認するのが一般的な流れです。原因を特定するために、追加の検査を行うこともあります。
行われる可能性のある検査
- 腹部超音波検査(エコー):腎臓の大きさや尿のたまり具合を見ます。
- 尿検査:血液やたんぱく、感染の有無を調べます。
- 血液検査:腎臓の働き(クレアチニンなど)を調べます。
- CT検査:結石や腫瘍などの原因を詳しく調べます。
- 排尿時膀胱尿道造影:排尿時の逆流の有無を調べます。
- 腎シンチグラフィ:腎臓のろ過や排泄の機能を評価します。
診察で予想されること
診察ではまず、これまでの症状や尿の様子を聞かれます。検査中に痛みはほとんどありません。エコーはゼリーを塗っておなかの上で機器を滑らせるだけなので、体に負担が少ない検査です。検査結果を待つ間、不安かもしれませんが、すぐに生活を大きく制限する必要はありません。医師の指示に沿って追加の予約や説明を受けてください。
治療
治療は、水腎症の原因・程度・腎機能への影響によって変わります。原因を取り除くことで腎臓の負担を軽くし、感染症を防ぎながら、腎臓の機能を守ることをめざします。自然に治るものもあるため、まずは経過観察になることも多いです。
自宅でのセルフケア
- 水分を十分に取る(医師に指示がある場合はその指示に従う)。
- 尿を我慢せず、トイレに行きたいときは行く。
- 腰や背中の痛みが出たときは、無理をせず安静にする。
- 感染予防のために、まずはかかりつけ医に相談する。
- おなかや背中をぶつけないように注意する。
医療治療
水腎症を引き起こしている感染症や痛みに対して、医師が経口的なお薬や点滴などの治療をおこなうことがあります。尿の流れを確保するために、細い管を入れて腎臓から尿を外に出す「腎ろう造設」や、尿管の中に管を入れる「ステント留置」などの処置が行われることもあります。どの方法を選ぶかは、原因や状態に応じて医師が判断します。
手術が検討される場合
結石が自然に排出されない場合や、尿管の狭さ・形態異常が原因の場合、また逆流症が重症で腎臓にダメージを与える可能性が高い場合は、手術や内視鏡的治療が検討されます。手術が必要かどうかは、時間をかけて検査データをもとに医師が判断します。
この病気と共に生きる
水腎症のほとんどは、ごく軽度で自覚症状がありません。見つかった場合でも、医師の指示に従って定期的に検査や通院を受けることがいちばん大切です。痛みや発熱などの症状が現れたら、早めに医療機関へ相談してください。
生活習慣のアドバイス
- 規則正しい生活を心がけ、体の抵抗力を保つ。
- のどの渇きを感じたらこまめに水分を補給する。
- 尿意を感じたら、がまんせずトイレに行く。
- 便秘にならないよう食物繊維を意識して取る。
- 喫煙や飲み過ぎは尿路の感染リスクを高めるため、控えめにする。
食事と運動
特に水腎症専用の食事はありませんが、腎臓に負担をかけすぎないようバランスの良い食事をとり、塩分の取りすぎに注意しましょう。運動は軽いウォーキングなどで十分です。感染や痛みがあるときは激しい運動は避けてください。
精神的健康と心の健康
水腎症のような腎臓の病気は、将来の腎機能への不安や、子どもに病気がある親御さんの心配など、心理的な負担が大きくなることがあります。不安な気持ちをひとりで抱え込まず、医師や看護師に質問したり、家族や友人に話したりすることが大切です。
予防
水腎症自体を完全に予防することはできません。しかし、原因となる尿路結石や尿路感染症を予防することで、水腎症のリスクを減らせる可能性があります。十分な水分補給や、膀胱炎を放置しないことなどが大切です。
ワクチン
水腎症そのものを予防するワクチンはありませんが、腎臓の感染を引き起こしやすいインフルエンザや肺炎球菌などの予防接種は、感染症を防ぐ意味で役立ちます。接種についてはかかりつけ医に相談してください。
検診プログラム
特別な集団検診は一般的ではありませんが、妊娠中の腹部超音波検査で胎児の水腎症が発見されることがあります。生まれた後も腎臓の病気を心配する場合は、小児科で超音波検査を受けることができます。
合併症
治療しない場合
- 腎臓の機能が低下し、慢性腎不全に進むことがある。
- 水腎症の腎臓に細菌が感染すると、重症の腎盂腎炎(腎臓の炎症)を起こすことがある。
- 尿が長期間たまることで腎臓の圧力が高まり、腎臓が萎縮する(腎萎縮)。
- 高血圧の原因になることがある。
- 結石が原因の場合、尿管が完全にふさがると強い痛みや吐き気を起こすことがある。
長期的な見通し
水腎症は、原因をきちんと調べて適切な治療を受ければ、多くは良好な経過をたどります。特に子どもの場合は自然に軽快することも多く、高齢者でも尿管の詰まりを解消すれば腎機能が改善することがあります。定期的な通院と、症状の変化を見逃さないことが何より大切です。
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健康ガイドラインは国や地域によって異なります。この記事の情報は国際的な臨床ガイドラインに基づいていますが、お住まいの国の具体的なガイドライン、薬、または診療慣行を反映していない場合があります。健康上の懸念は常にご自身の医師または医療提供者と相談し、利用可能な場合は地域の国家ガイドラインを参照してください。
重要なお知らせ この情報は教育目的にのみ提供されています。専門的な医療アドバイス、診断、治療に代わるものではありません。ご自身の状況については、常に資格を持つ医療専門家にご相談ください。医療上の緊急事態が発生した場合は、直ちに最寄りの救急医療サービスに連絡してください。
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情報源とガイダンス
この記事は教育目的で、利用可能な場合は認知された健康情報および臨床ガイダンスの情報源を参照して作成されています。具体的な情報源リンクはトピックによって異なる場合があります。
最終更新: 2026年7月31日
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