尿閉(にょうへい)—尿が出ない・出しにくいときの理解と対処
国際的な診療ガイドラインに基づく
概要
尿閉とは、膀胱(ぼうこう)に尿が十分にたまっているのに、尿を出すことができない、またはほとんど出せない状態です。急に起こる急性尿閉と、ゆっくり進む慢性尿閉があります。
重要な事実
- 尿閉は、尿がまったく出ない場合と、少ししか出ない場合があります。
- 原因には前立腺の病気、神経の障害、薬の影響、手術後などがあります。
- 適切に治療しないと、膀胱や腎臓に負担がかかることがあります。
尿閉は、とくに60歳以上の男性に多く見られますが、女性や子どもでも起こることがあります。入院中や手術後にも比較的よく見られる症状です。
男性に多いですが、前立腺肥大のある中高年男性、神経や脊髄の病気を持つ人、手術後や特定の薬を使っている人に多く見られます。女性では骨盤臓器脱や神経の病気が原因で起こることもあります。
症状
- 突然、尿が一滴も出ず、下腹部の強い痛みがある
- 意識がもうろうとする、呼びかけに反応が弱い
- 吐き気や嘔吐、冷や汗を伴う
- ⚠尿がほとんど出ないが、少しずつ漏れる程度
- ⚠下腹部の張りが強く、痛みが続く
- ⚠発熱(38度以上)や腰の痛み、背中の痛みを伴う
- ⚠血尿が出ている
一般的な症状
- 尿がまったく出ない
- 尿が少ししか出ない、途中で止まる
- 強い尿意があるのにトイレで出ない
- 下腹部の張りや痛み
- 尿の勢いが弱い、残尿感がある
子供の症状
- 尿漏れ(おもらし)が増える
- そわそわして落ち着かない
- おなか(下腹部)が張っている
- 排尿のときに痛がる、泣く
- おしっこの回数が極端に少ない
高齢者の症状
- 尿漏れや頻尿だけが見られることもある
- ぼんやりする、意識がもうろうとする(せん妄)
- 転びやすくなる、動作が遅くなる
- 食欲がなくなる、元気がない
- 下腹部の不快感や痛みをうまく伝えられない
原因
主な原因
- 前立腺肥大症(男性の場合)
- 尿道の狭窄(狭くなる)や弁の異常
- 神経の障害(脊髄損傷、脳卒中、糖尿病など)
- 薬の副作用(風邪薬、抗アレルギー薬、排尿に関する薬など)
- 手術後の麻酔や痛みの影響
- 強い便秘(直腸が膀胱を圧迫する)
リスク要因
- 高齢であること
- 男性であること(前立腺の病気)
- 前立腺がんや膀胱がんの治療歴
- 脊髄や神経の病気
- 手術や入院、長期間の安静
- 特定の薬を服用している
- 慢性的な便秘
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 突然尿が出なくなったとき
- 下腹部の強い痛みや張りがあるとき
- 発熱や背中の痛み、血尿があるとき
定期受診を予約すべき場合:
- 尿の出が弱くなった、時間がかかる
- 残尿感が続く
- 頻尿や夜間のトイレが増えた
- 尿漏れがある
診断
医師は、あなたの症状や病歴を聞き、おなかを触って膀胱の張りを確認します。超音波検査などで尿量や残尿を調べることもあります。
行われる可能性のある検査
- 問診(症状、服薬歴、既往歴など)
- 腹部の触診(おなかを押して膀胱の状態を確認)
- 尿検査(感染や血尿の有無)
- 血液検査(腎機能の評価)
- 超音波検査(残尿量や膀胱・腎臓の状態)
- 尿流量検査(尿の勢いと量を測る)
- 残尿測定(排尿後に膀胱に残った尿の量を測る)
診察で予想されること
まずは問診と簡単な検査で、おおまかな原因を調べます。必要に応じて、泌尿器科(ひにょうきか)などの専門医を紹介されます。診断までの流れを不安に感じる必要はありません。医師が丁寧に説明してくれます。
治療
治療は原因によって異なります。急性尿閉の場合は、まずカテーテル(細い管)を尿道から入れてたまった尿を出すことで、痛みや張りをすぐに和らげます。その後、原因に合わせた治療を行います。
自宅でのセルフケア
- 水分をこまめにとる(ただし心臓や腎臓の病気がある場合は医師の指示に従う)
- トイレを我慢せず、尿意を感じたら早めに行く
- アルコールやカフェインを控えめにする
- 便秘を予防する(食物繊維をとる、適度に動く)
- 入浴などでリラックスし、排尿時の緊張を和らげる
医療治療
原因や症状に応じて、前立腺や膀胱の筋肉に作用する薬による治療が行われることがあります。また、カテーテルを留置して尿を流す方法や、尿道を広げる処置などが検討されることもあります。具体的な薬剤名や用量は、医師があなたの状態に合わせて決めます。
手術が検討される場合
前立腺肥大や尿道の狭窄(狭くなっている)が原因で、薬では効果が不十分な場合に、手術が検討されることがあります。手術の方法やタイミングについては、泌尿器科医とよく相談した上で決めることが大切です。
この病気と共に生きる
尿をためすぎないようにすることが大切です。外出時にはトイレの場所を確認しておくと安心です。また、尿の出にくさや残尿感を記録しておくと、受診時の参考になります。
食事と運動
バランスの良い食事を心がけ、食物繊維を多く含む野菜や果物、全粒穀物をとりましょう。便秘は尿閉の悪化につながるため、予防が大切です。適度な運動(歩く、軽い体操など)は血行を良くし、排尿機能の維持に役立ちます。水分は1日1.5リットルを目安に、一度に大量ではなく分けてとりましょう。
精神的健康と心の健康
尿の問題は、恥ずかしさや不安、外出へのためらいを生むことがあります。しかし、尿閉は適切に治療できることが多く、あなただけが感じている症状ではありません。気持ちを抱え込まず、医師や看護師に相談してください。
予防
すべての尿閉を予防することは難しいですが、排尿の違和感を放置せず早期に受診すること、便秘を防ぐこと、薬の副作用を医師と確認することなどで、リスクを減らすことができます。
ワクチン
尿閉を直接予防するワクチンはありませんが、尿路感染症の予防のために、かかりつけ医が推奨する予防接種(例:インフルエンザ、肺炎球菌)を受けておくことは、健康維持に役立つことがあります。
検診プログラム
特定の検診として尿閉のスクリーニングは一般的ではありませんが、健康診断の尿検査や前立腺の検査で異常を指摘された場合は、医療機関での精密検査を受けましょう。
合併症
治療しない場合
- 膀胱の機能低下(膀胱が伸びきって収縮しなくなる)
- 尿路感染症(膀胱炎や腎盂炎)
- 腎臓の障害や腎不全
- 慢性腎臓病の進行
- せん妄や転倒など、高齢者での全身状態の悪化
長期的な見通し
尿閉は、原因を特定し適切な治療を受ければ、多くの場合、症状は改善し、快適に日常生活を送ることができます。一時的な原因であれば、治療後に排尿が元に戻ることも多いです。たとえ慢性の原因があっても、薬や手術、排尿管理の工夫によって、多くの人が活動的な生活を続けています。あきらめずに医療者と一緒に道を探しましょう。
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健康ガイドラインは国や地域によって異なります。この記事の情報は国際的な臨床ガイドラインに基づいていますが、お住まいの国の具体的なガイドライン、薬、または診療慣行を反映していない場合があります。健康上の懸念は常にご自身の医師または医療提供者と相談し、利用可能な場合は地域の国家ガイドラインを参照してください。
重要なお知らせ この情報は教育目的にのみ提供されています。専門的な医療アドバイス、診断、治療に代わるものではありません。ご自身の状況については、常に資格を持つ医療専門家にご相談ください。医療上の緊急事態が発生した場合は、直ちに最寄りの救急医療サービスに連絡してください。
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情報源とガイダンス
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最終更新: 2026年7月31日
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