無精子症(むせいししょく)について
国際的な診療ガイドラインに基づく
概要
無精子症とは、精液の中に精子がまったく見つからない状態のことです。精子が作られない場合と、作られても通り道がふさがっている場合があります。
重要な事実
- 無精子症は男性不妊の約10〜15%を占めます。
- 原因は「精子が作られないタイプ」と「精子の通り道がふさがるタイプ」に大きく分かれます。
- 多くの場合、自覚症状がなく、不妊の検査で見つかります。
- 診断には、精液検査を2回以上行うことが一般的です。
- 治療法は原因によって異なり、専門医の相談が必要です。
決して珍しいものではありません。男性不妊で医療機関を受診する人のおよそ1割から1割5分に見られます。
主に成人男性に影響します。特に子どもを希望するカップルで問題になることが多く、思春期前の男児ではほとんど見つかりません。
症状
- 突然の激しい精巣の痛み
- 精巣の急な腫れや赤み
- 吐き気や嘔吐を伴う激しい痛み
- ⚠精巣に持続する痛みや腫れがある
- ⚠排尿時の強い痛みや発熱がある
- ⚠精巣にしこりを見つけた
一般的な症状
- 無精子症そのものには自覚症状がほとんどありません。
- 不妊の検査で見つかることが最も多いです。
- ホルモン異常や精索静脈瘤などが原因の場合は、性欲の低下、勃起しにくい、精巣の痛みや腫れなどが出ることがあります。
子供の症状
- 思春期前では明確な症状はありません。
- 停留精巣やホルモンの異常がある場合は、成長や第二次性徴の発達に影響が出ることがあります。
高齢者の症状
- 加齢により精子の量や質は低下しますが、無精子症そのものに特有の年齢別の症状はありません。
原因
主な原因
- 精巣で精子が作られない非閉塞性無精子症:染色体異常(クラインフェルター症候群など)、ホルモン分泌の異常、感染症、放射線治療、薬剤の影響、原因不明など
- 精子の通り道がふさがる閉塞性無精子症:精管の欠損、感染症による精巣上体の閉塞、精管切除手術の後など
- 下垂体や視床下部などのホルモン異常
- 精索静脈瘤(陰嚢内の静脈が拡張する状態)により、精巣の機能が低下する場合
リスク要因
- 停留精巣(精巣が陰嚢に下りていない)の既往
- 性感染症(クラミジアなど)の感染歴
- 鼠径ヘルニアなど陰部周辺の手術歴
- 抗がん剤治療や放射線治療の既往
- ステロイド薬や一部の薬剤の使用
- 過度の飲酒、喫煙、肥満
- 加齢(精子の量や質の低下)
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 精巣に急な激しい痛みや腫れがある場合は、すぐに医療機関を受診してください。痛みがひどい場合は救急車(119番)を呼んでください。
定期受診を予約すべき場合:
- 避妊せずに1年間、定期的な性交を行っても妊娠しない場合
- 不妊のリスク因子がある場合(精巣の手術歴、停留精巣の既往など)
- 性欲の低下や勃起に問題がある場合
- 妊娠を考えていて、自分の精子の状態を確認したい場合
診断
まず精液検査を行い、精子がいるかどうかを調べます。通常は2回以上検査して確定します。さらに問診、身体診察、血液検査、必要に応じて遺伝子検査や精巣生検などを行い、原因を探ります。
行われる可能性のある検査
- 精液検査(2回以上)
- 身体診察(精巣の大きさ・硬さ、精索静脈の状態などを確認)
- 血液検査(ホルモン値、染色体検査など)
- 精巣生検(精巣の組織を採取して、精子が作られているか調べる検査)
診察で予想されること
検査は泌尿器科や不妊専門のクリニックで行われます。精液検査は簡単ですが、結果が出るまでに数日かかります。精巣生検は局所麻酔で行うため、痛みは軽くて済みます。診断が確定するまでに数週間かかることもあります。
治療
治療は原因によって異なります。目的は「原因となる病気を治すこと」と「精子を得て、体外受精などの生殖補助医療につなげること」の2つに分かれます。
自宅でのセルフケア
- 禁煙する
- 飲酒は控えめにする
- 長風呂やサウナを避ける(高温は精子を作る機能に影響します)
- 適度な運動を続ける
- ストレスをためないようにする
医療治療
ホルモン異常がある場合は、ホルモン補充療法などでホルモンバランスを整えます。閉塞性の場合は、顕微鏡を用いて精管や精巣上体を通り道を再建する手術が行われることがあります。非閉塞性の場合は、精巣から直接精子を採取する方法(顕微鏡下精巣精子採取術など)が行われることがあります。これらの治療は専門的な設備を持つ医療機関で行われます。
手術が検討される場合
閉塞性無精子症では、精管と精巣上体をつなぐ顕微鏡下手術(精管吻合術など)が行われることがあります。非閉塞性では、精子を採取するための手術が行われることがあります。
この病気と共に生きる
無精子症と診断されても、日常生活に大きな制限はありません。治療を続けながら、パートナーとよく話し合い、お互いを支え合うことが大切です。
生活習慣のアドバイス
- 禁煙する
- アルコールは適量に抑える
- バランスの良い食事をとる
- 十分な睡眠を確保する
- 適度な運動をする
- ストレスをためないようにする
食事と運動
偏りのない食事、特に野菜、果物、魚をしっかりとり、早歩きなどの適度な運動を毎日続けましょう。極端なダイエットや過度なトレーニングは避けてください。
精神的健康と心の健康
不妊の悩みは大きな精神的ストレスになります。「自分を責めてしまう」「パートナーに申し訳ない」と感じるかもしれませんが、それはあなたのせいではありません。気持ちを一人で抱え込まず、パートナーや専門家に話すことが大切です。
予防
原因によっては予防できません。ただし、性感染症を予防すること(コンドームの使用など)、有害な薬剤や放射線への過剰曝露を避けること、健康的な生活習慣を心がけることで、リスクを下げられる可能性があります。
合併症
治療しない場合
- 原因となる病気(ホルモン異常や精巣腫瘍など)が放置されると、進行する可能性があります。
- 不妊の原因が解決されず、子どもを授かる可能性が低いままになります。
- 心理的ストレスやパートナーとの関係に影響を及ぼすことがあります。
長期的な見通し
近年の医療の進歩により、無精子症でも精子を採取できる場合が増えています。希望を持って、専門医と一緒に治療の道を探ることができます。
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必ず医師に確認してください
健康ガイドラインは国や地域によって異なります。この記事の情報は国際的な臨床ガイドラインに基づいていますが、お住まいの国の具体的なガイドライン、薬、または診療慣行を反映していない場合があります。健康上の懸念は常にご自身の医師または医療提供者と相談し、利用可能な場合は地域の国家ガイドラインを参照してください。
重要なお知らせ この情報は教育目的にのみ提供されています。専門的な医療アドバイス、診断、治療に代わるものではありません。ご自身の状況については、常に資格を持つ医療専門家にご相談ください。医療上の緊急事態が発生した場合は、直ちに最寄りの救急医療サービスに連絡してください。
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情報源とガイダンス
この記事は教育目的で、利用可能な場合は認知された健康情報および臨床ガイダンスの情報源を参照して作成されています。具体的な情報源リンクはトピックによって異なる場合があります。
最終更新: 2026年7月31日
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