C.ディフィシル感染症
国際的な診療ガイドラインに基づく
概要
C.ディフィシル(クロストリジオイデス・ディフィシル)という細菌が腸の中で増え、毒素を出すことで起こる感染症です。抗生物質を使った後に腸内の良い細菌が減ってしまうと、この菌が増えやすくなります。
重要な事実
- 抗生物質を使った後に起こりやすい
- 主な症状は下痢と腹痛
- 感染予防には石けんと流水による手洗いが大切
医療機関や介護施設で院内感染として発生することがありますが、一般的な風邪のように頻繁に見られるものではありません。高齢者や免疫力が低下した人に比較的多く見られます。
主に抗生物質を使用した人、高齢者、入院中または最近退院した人、免疫力が弱っている人に多く見られます。
症状
- 血を伴う下痢
- 耐えられない激しい腹痛
- 意識がもうろうとしている
- 体の冷えを伴う高熱
- ⚠1日8回以上の水のような下痢
- ⚠めまいや立ちくらみが強い
- ⚠尿がほとんど出ない
- ⚠高齢者や免疫力が低下している人で、下痢が1日3回以上続く
- ⚠前日から急に体調が悪化した
一般的な症状
- 水のような下痢(1日3回以上)
- 腹痛や腹部のけいれん
- 吐き気や食欲不振
- 脱水症状(口の渇き、尿が少ない、めまい)
原因
主な原因
- C.ディフィシル菌は、環境や人の腸内、医療施設の表面などに存在します。感染者の便に触れた物を介して口に入ることで感染します。
- 抗生物質を使用すると、腸内の善玉菌が減り、C.ディフィシル菌が増殖して毒素を出します。この毒素が腸の粘膜を傷つけ、下痢や炎症を引き起こします。
リスク要因
- 抗生物質の使用(特に長期または複数種類の使用)
- 65歳以上の高齢
- 入院中または介護施設に入所中
- 胃酸を抑える薬の使用
- 手術を受けた、または免疫力が低下する病気や治療を受けている
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 水のような下痢が1日3回以上あり、血便や激しい腹痛、高熱(38度以上)がある場合
- 高齢者や免疫力が低下している人で、下痢が続き、脱水症状が疑われる場合
- 意識の乱れが見られる場合
定期受診を予約すべき場合:
- 下痢が2日以上続く場合
- 最近抗生物質を使用した後に下痢が始まった場合
- 以前C.ディフィシル感染症にかかったことがあり、再発が心配な場合
診断
症状や最近の抗生物質使用の有無を確認した上で、便の中にC.ディフィシル菌や毒素がないか調べる検査を行います。
行われる可能性のある検査
- 便検査(C.ディフィシル毒素を検出する)
- 血液検査(炎症や脱水の程度を確認する)
- 内視鏡検査(重症の場合に腸の状態を確認する)
診察で予想されること
検査は簡単で、便を少量採取するだけのことが多いです。結果が出るまで数日かかる場合があります。その間、必要に応じて点滴で水分を補いながら経過を見ます。
治療
治療の基本は、原因となっている抗生物質を可能な限り見直し・中止することと、水分をしっかり補うことです。症状が続く場合には、C.ディフィシル菌に効果のある抗生物質による治療を行います。
自宅でのセルフケア
- 十分な水分を摂る(経口補水液や薄めの味噌汁など)
- 刺激の少ない食事を少しずつ食べる
- 石けんと流水による手洗いを徹底する
- 排便後はトイレを清潔に保つ
- 医師の指示があれば、乳酸菌や整腸剤などを併用する
医療治療
医師の判断で、C.ディフィシル菌に対する抗菌薬を使用します。薬の種類や飲む期間は、症状の重さや再発のリスクに応じて医師が個別に決めます。ひどい脱水の場合は点滴による水分補給も行います。さらに、重症例や再発を繰り返す場合には、健康な人の便を処理して腸に移植する「便微生物移植」という治療法が検討されることもあります。
手術が検討される場合
ごくまれに、重症で腸の働きが止まったり、腸に穴が開いたりする場合は、手術が必要になることがあります。
この病気と共に生きる
感染中は安静を心がけ、十分な休息と水分補給をしてください。下痢が続く間は周囲への感染力があるため、トイレや入浴の際は特に注意し、手洗いを徹底しましょう。
生活習慣のアドバイス
- 石けんと流水で頻繁に手を洗う
- トイレやドアノブ、ベッドの手すりなどを家庭用消毒剤で消毒する
- 下痢が治まるまで、料理を作るのを控えるなど、無理をしない
- 医師の指示をしっかり守る
食事と運動
消化の良い食べ物(お粥、うどん、バナナ、ヨーグルトなど)を少量ずつ食べましょう。脂っぽい食品や乳製品は症状を悪化させることがあるため、様子を見ながら摂ってください。運動は、体力に合わせて軽い散歩程度にとどめましょう。
精神的健康と心の健康
長引く下痢や再発への不安は、精神的な負担になることもあります。眠れない、気分が落ち込む、不安が強いと感じるときは、一人で抱え込まず、医師や看護師、薬剤師などの医療スタッフに相談してください。
予防
完全に防ぐことはできませんが、手洗いの徹底、医療機関での感染対策、抗生物質の不適切な使用を避けることで、リスクを大きく減らせます。
ワクチン
C.ディフィシル感染症を予防するワクチンは、現在のところ日本では承認されていませんが、研究開発が進められています。
検診プログラム
入院患者などで下痢が続く場合には、院内感染対策の一環として便検査が行われることがあります。
合併症
治療しない場合
- 脱水症状と電解質の乱れ
- 偽膜性大腸炎(腸の内側に膜ができる炎症)
- 中毒性巨大結腸(腸が異常に拡張する危険な状態)
- 腸穿孔(腸に穴が開くこと)
- 重症の場合、敗血症(全身の感染)
長期的な見通し
適切な治療を受ければ、多くの方は回復します。ただし、再発することもあり、特に高齢者では10〜20%程度と報告されています。再発しても繰り返し治療する方法がありますので、希望を持って治療に取り組んでください。医師とよく相談しながら、根気よく治療を続けることが大切です。
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情報源とガイダンス
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最終更新: 2026年7月31日
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