百日咳(ひゃくにちぜき)
国際的な診療ガイドラインに基づく
概要
百日咳は、百日咳菌という細菌によって起こる、咳が長く続く感染症です。激しい咳の発作が続き、特徴的な「ヒューッ」という吸い込み音が出ることがあります。特に赤ちゃんや小さな子どもでは重症化することがあるため、注意が必要です。
重要な事実
- 感染力がとても強く、咳やくしゃみでうつります。
- ワクチンで予防できる病気です。
- 生後間もない赤ちゃんは重症化しやすいため、周囲の大人が予防をすることが大切です。
日本では定期接種の効果で患者数は大きく減りましたが、現在でも一定数の感染者が報告されています。特に、ワクチンの効果が弱まった学童期以降の子どもや大人の間で流行することがあります。
どの年齢でもかかる可能性がありますが、特に生後6か月未満の赤ちゃん、ワクチンを接種していない人、高齢者は重症化しやすいといわれています。
症状
- 呼吸が止まっている、または呼吸がとても苦しそう
- 顔色が青紫色になっている
- けいれんを起こしている
- 呼びかけに反応しない
- このような症状がある場合は、すぐに119番に電話して助けを求めてください
- ⚠長く続く咳のせいで眠れない、疲れがひどい
- ⚠咳で水分や食事がとれない
- ⚠顔色が悪い、ぐったりしている
- ⚠生後6か月未満の赤ちゃんに咳や無呼吸がみられる
- ⚠家族に妊婦さんや小さな赤ちゃんがいる
一般的な症状
- 風邪に似た症状(鼻水、くしゃみ、軽い咳)から始まります
- 1〜2週間後から、激しい咳の発作が現れます
- 咳をした後に「ヒューッ」という吸い込み音が出ることがあります
- 咳の強いときに吐いてしまうことがあります
- 咳が長く続き、特に夜間に悪化することがあります
子供の症状
- 赤ちゃんでは、咳の発作が出るよりも、呼吸が止まる(無呼吸)ことがあります
- 顔色が青紫色になる、けいれんするなどの症状が出ることがあります
- 幼児では、咳の連続で顔を赤くして苦しみ、最後に「ヒューッ」と息を吸うことがあります
高齢者の症状
- 高齢者では特徴的な「ヒューッ」という音が出ないこともあります
- 咳が長引き、食事や水分がとりにくくなることがあります
- 体力が低下し、転倒や誤嚥(ごえん)のリスクが高まることがあります
原因
主な原因
- 百日咳菌(ボルデテラ・パーツシス)という細菌に感染することで発症します
- 感染者の咳やくしゃみのしぶきを吸い込むことでうつります(飛沫感染)
- ワクチンの効果は数年で弱まるため、大人でも再び感染することがあります
リスク要因
- ワクチン接種を受けていない、または接種から長期間が経過している
- 生後6か月未満の赤ちゃん
- 高齢者や慢性の呼吸器疾患がある人
- 学校や職場など、人が多く集まる場所にいる
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 咳が2週間以上続く
- 咳の発作で吐いたり、息苦しくなったりする
- 家族に妊婦さんや赤ちゃんがいる場合、早めに受診する
- 生後6か月未満の赤ちゃんは、咳が軽くても早めに受診する
定期受診を予約すべき場合:
- 予防接種が未接種の人で、咳が出始めたとき
- 咳が続くが、元気な場合でも一度は受診する
診断
医師が症状の経過を詳しく聞き、診察を行います。百日咳が疑われる場合には、鼻の奥の粘液や血液を調べる検査が行われます。
行われる可能性のある検査
- 鼻の奥の粘液を採取するPCR検査
- 血液中の抗体を調べる血液検査
- 胸部のX線検査(肺炎などの合併症がないか確認するため)
診察で予想されること
診察では、咳の特徴(夜に悪くなる、吐くことがあるなど)や予防接種歴を詳しく尋ねられます。検査結果が出るまでに数日かかることがあります。また、ほかの感染症との見分け方や、家庭内での注意点についても説明がありますので、疑問があれば遠慮なく質問しましょう。
治療
治療の中心は、抗菌薬(抗生物質)の使用と、咳の症状をやわらげるケアです。ただし、薬を使っても咳がすぐに止まるわけではなく、咳の症状は数週間にわたって続くことがあります。
自宅でのセルフケア
- 十分な休息をとり、無理をしない
- こまめに水分を補給する
- 部屋の空気を清潔に保ち、加湿する
- タバコの煙や強い香りなどの刺激を避ける
- 咳の発作が出たときは、体を前かがみにしてゆっくり呼吸する
医療治療
医師は、症状や重症度に応じて抗菌薬(抗生物質)を処方することがあります。特に発症から2週間以内に治療を始めると、感染力が早くなくなります。乳児や重症の場合は入院して治療することもあります。医師の指示に従って、薬は最後まで飲み切ることが大切です。
この病気と共に生きる
咳が続く間は、学校や仕事を休む必要があります。医師から「感染力がなくなった」と言われるまでは、ほかの人への感染を防ぐため、マスクの着用や咳エチケット(咳をするときは腕で口を覆うなど)を心がけましょう。
生活習慣のアドバイス
- 咳で疲れやすいので、睡眠と休息を十分にとる
- 栄養バランスのよい食事を心がけ、体力を維持する
- 部屋を換気し、清潔な環境を保つ
食事と運動
咳が強い間は激しい運動は避け、息が切れない程度の軽い運動(散歩など)にしましょう。水分をこまめに摂り、食事は一度にたくさん食べるのではなく、少量を何回かに分けて摂ると楽に食べられます。
精神的健康と心の健康
夜中に咳が続いて眠れないと、不安や疲れがたまることがあります。特に子どもの咳が続くと親も心配になります。つらい気持ちが続く場合は、無理をせず、家族や友人、医師、保健師に相談しましょう。もし、自分や家族を傷つけたくなるほどつらい場合は、すぐに医療機関や地域のこころの健康相談窓口に連絡してください。一人で抱え込まないことが大切です。
予防
はい、ワクチン接種と日頃の感染対策によって予防することができます。特に、乳児の周囲にいる大人や妊娠中の人は、抗体を持っておくことが大切です。
ワクチン
日本では、百日咳のワクチンはDPT(ジフテリア・百日咳・破傷風)の混合ワクチンとして定期接種が行われています。乳児期の定期接種に加えて、妊婦への接種や成人への追加接種についても検討されています。詳しくは、医師や自治体の予防接種担当窓口に相談してください。
合併症
治療しない場合
- 乳児では、重症の肺炎や無呼吸発作が起こることがあります
- けいれんや脳症(脳の炎症など)を起こすリスクがあります
- 咳が長引くことで、疲労や体重減少、嘔吐、肋骨骨折などの合併症が起こることがあります
長期的な見通し
適切な治療とケアを受ければ、多くの人は数週間から数か月のうちに回復します。百日咳の咳は長引くことがありますが、焦らず、医師の指示に従って治療を続けましょう。また、ワクチンで予防できる病気です。今後のかかりつけ医や保健所との相談を通じて、家族で予防策を考えることが大切です。
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情報源とガイダンス
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最終更新: 2026年7月31日
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