非ホジキンリンパ腫について
国際的な診療ガイドラインに基づく
概要
非ホジキンリンパ腫は、血液がんの一種です。リンパ球という、体を病気から守る免疫の働きをする細胞が、がん化して異常に増えてしまいます。リンパ節の腫れや、発熱、夜の汗、体重減少などの症状が出ることがあります。非ホジキンリンパ腫にはさまざまな種類があり、進行の速さや治療方法が異なります。
重要な事実
- 非ホジキンリンパ腫は、リンパ系という体の免疫ネットワークに発生するがんです。
- 進行がゆっくりなタイプと、進行が速いタイプがあります。どちらも治療で良くなる可能性があります。
- 治療法は、がんの種類や進行度に合わせて、医師と相談しながら決めます。
非ホジキンリンパ腫は、日本では血液がんの中では比較的多く見られます。年々増加傾向があるともいわれていますが、決して珍しい病気というわけではありません。
主に成人に多く、特に60歳以上の方に多く見られます。男性の方が女性よりやや多いとされています。子どもにもごくまれに発生することがあります。
症状
- 突然息が苦しくなり、じっとしていられない
- 急に意識がもうろうとしたり、呼びかけに反応しない
- 背中や腰の激しい痛み、足のしびれや力が入らない(脊髄の中の腫瘍が圧迫している可能性)
- 大量の出血や、止まらない出血
- ⚠高熱が続く、または悪寒をともなう発熱
- ⚠急にリンパ節やしこりが大きくなる
- ⚠呼吸がしにくい、胸の痛みがある
- ⚠激しい腹痛やお腹の張りがある
- ⚠顔や手足に急なむくみがある
一般的な症状
- 首、わきの下、足の付け根など、体の浅い部分のリンパ節が腫れる
- 原因がはっきりしない発熱や、強い寝汗
- 体重の急な減少
- だるさや疲れが続く
- 皮膚のかゆみ
- お腹の張りや違和感
- 胸の圧迫感やせき、息苦しさ
子供の症状
- お腹のしこりや張り
- 顔や首の腫れ、ぜいぜいする呼吸
- なかなか下がらない熱や、夜の汗
- 原因不明の体重減少や、元気のなさ
高齢者の症状
- 強いだるさや疲れがなかなか取れない
- 食欲が落ちて体重が減る
- 原因がはっきりしない微熱が続く
- 首やわきの下などに、痛みのないしこりが触れる
原因
主な原因
- はっきりした原因は不明ですが、リンパ球の遺伝子(DNA)に傷がつくことでがん化すると考えられています。
- 免疫の働きが弱くなっていると、リンパ球が異常増殖しやすくなることがあります。
- 特定のウイルスや感染症(例:ヘルペスウイルスの一種、HIVなど)との関連が指摘されていますが、これらが原因となるのはごく一部です。
リスク要因
- 年齢(高齢になるほどリスクが上がります)
- 免疫力が低下している(臓器移植後の免疫抑制薬使用、HIV感染など)
- 自己免疫疾患(関節リウマチなどの慢性炎症をともなう病気)
- 特定の化学物質(農薬や溶剤など)への長期間の曝露
- 非ホジキンリンパ腫になった家族がいる場合、ごくわずかにリスクが上がるという報告がありますが、多くの患者さんに家族歴はありません。
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 首やわきの下などのしこりが急速に大きくなる
- 原因不明の熱や夜の汗が続き、体重が大きく減る
- 息苦しさ、胸の痛み、激烈な腹痛がある
定期受診を予約すべき場合:
- 痛みのないリンパ節の腫れが数週間以上続く
- だるさ・疲れが日常生活に支障をきたすほど続く
- 全身のかゆみや発疹が続く
診断
非ホジキンリンパ腫を確定するには、リンパ節や腫瘍の一部を採取して顕微鏡で調べる「生検」という検査が欠かせません。この検査で、がんの種類や進行度(グレード)が判定されます。
行われる可能性のある検査
- 生検(リンパ節の一部または全部を摘出して調べます)
- 血液検査(血算、LDH、可溶性IL-2受容体などの値を確認します)
- 画像検査(CT、PET-CT、MRIなどで、病変の広がりを調べます)
- 骨髄検査(骨の中にある骨髄という血液を作る場所にがん細胞がないかを調べます)
診察で予想されること
診断がつくまでには、数週間かかることがあります。病院では、血液内科や腫瘍内科の医師が詳しい検査と治療計画を担当します。検査の目的や手順をしっかり説明してもらい、疑問があればその場で質問することが大切です。
治療
治療は、非ホジキンリンパ腫のタイプ(進行が速いか遅いか)、病期(進行度)、年齢や体力などを総合的に判断して決めます。治療の中心は薬物療法ですが、放射線治療や造血幹細胞移植を組み合わせることもあります。
自宅でのセルフケア
- 治療中は十分な休息と睡眠をとる
- バランスの良い食事を心がけ、水分をしっかり摂る
- 感染症にかからないよう、手洗いやうがいを習慣にする
- 体調や気になる症状を治療チームにこまめに伝える
医療治療
薬物療法では、抗がん剤(細胞を攻撃する薬)や免疫療法(免疫の力を利用してがんを攻撃する治療)などを用います。最近では、分子標的薬(特別に設計された薬)や抗体薬などを使用することもあります。治療は数週間から数か月にわたって何回か行い、その間は医師の指示に従いながら通院または入院します。進行が速いタイプは、診断後すぐに治療を始めることが多いですが、進行がゆっくりなタイプの場合は、症状がなくて経過観察ができることもあります。
手術が検討される場合
非ホジキンリンパ腫では、症状が出ている部分(胃や腸など)に出血や閉塞がある場合などに、限定的な手術が行われることがあります。ただし、手術だけで済むことはまれで、通常は薬物療法を組み合わせて治療します。
この病気と共に生きる
治療中は体調が変わりやすく、だるさや吐き気、感染しやすさなどがあります。無理をせず、自分に合ったペースで生活しましょう。仕事や学校、家事については、かかりつけ医や医療ソーシャルワーカーに相談しながら調整できます。
生活習慣のアドバイス
- 禁煙を心がけ、アルコールは医師の指示に従い節酒する
- インフルエンザの流行期などは人混みを避け、マスクを着用する
- 体調の良い時は、軽いウォーキングなど無理のない範囲で体を動かす
- 入浴や皮膚のケアで、かゆみなどを清潔に保つ
食事と運動
偏食せず、たんぱく質や野菜を中心にしたバランスの良い食事を心がけましょう。食欲がない時は、少量を何回かに分けて食べる工夫をします。運動は、医師に確認した上で、無理のない範囲で行ってください。
精神的健康と心の健康
がんと診断されることは大きなショックで、不安や落ち込みが生じるのは自然なことです。気持ちがつらい時は、家族や友人、医療チームに打ち明けてください。がんと向き合う中で、心のケアも治療の一部として大切にしましょう。
予防
非ホジキンリンパ腫を確実に予防する方法は、今のところわかっていません。ただし、免疫力を高く保つために、バランスの良い食事、十分な睡眠、適度な運動、ストレスをためない生活を心がけることは大切です。
ワクチン
非ホジキンリンパ腫を直接予防するワクチンはありません。ただし、感染症にかかりにくくするために、インフルエンザや肺炎球菌などの一般的なワクチン接種を、医師と相談して受けることは勧められます。
検診プログラム
一般的ながん検診のように、健康な人を対象に非ホジキンリンパ腫だけを調べる検診はありません。気になる症状がある場合は、早めに医療機関を受診することが大切です。
合併症
治療しない場合
- 腫瘍が大きくなって周りの臓器(気道、脊髄、胃など)を圧迫し、呼吸困難や麻痺、出血などの危険な状態を起こす可能性があります。
- 免疫力が低下して、感染症にかかりやすくなります。
- がんが全身に広がり、治療が難しくなることがあります。
長期的な見通し
非ホジキンリンパ腫は、進行が速いタイプでも治療の反応が良く、完治が期待できるがんの一つです。進行がゆっくりなタイプも、長く安定して過ごせる方が多いです。近年の治療薬の進歩により、さらに成績が改善しています。診断後も希望を持って、医療チームとしっかり相談しながら治療を続けることが大切です。
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情報源とガイダンス
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最終更新: 2026年7月31日
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