骨髄線維症(こつずいせんいしょう)とは?
国際的な診療ガイドラインに基づく
概要
骨髄線維症は、骨の中にある血液を作る組織(骨髄)が繊維で置き換わり、正常な血液細胞を作れなくなるまれな血液の病気です。進行すると貧血や疲れやすさが現れ、脾臓(ひぞう)が腫れることもあります。
重要な事実
- 骨髄線維症は、骨髄の中で血液を作る力が弱くなる病気です。
- 進行は人によって大きく異なり、何年もかけてゆっくり進むことが多いです。
- 治療は症状をやわらげ、生活の質を保つことを目指します。
- 日本では指定難病に該当する場合があり、医療費の助成を受けられることがあります。
骨髄線維症はまれな病気で、10万人に1人前後で見つかります。一般的な血液検査では見つからないことも多く、特別な検査が必要です。
主に60歳以上の中高年に発症しやすい病気ですが、若い人でも、ごくまれに子どもでも発症することがあります。男性にやや多いとされています。
症状
- 突然の激しいおなかの痛みや張りが続く
- 意識がもうろうとする、呼びかけに反応しない
- 胸の強い痛みや、突然の息苦しさがある
- 止まらない出血や、血が混ざるおう吐がある
- ⚠高熱が続く(38度以上)
- ⚠感染症の疑いがある(悪寒、のどの痛み、咳など)
- ⚠普段より極端に動けなくなるような強い疲れがある
- ⚠皮膚にあざが急に増える、鼻血が止まりにくい
一般的な症状
- 疲れやすさ、全身のだるさ
- 息切れ、動悸
- 貧血による顔色の悪さ
- 脾臓が腫れて、おなかに張りや痛みを感じる
- 原因不明の発熱や寝汗
- 体重減少
- 骨の痛み、特にあばら骨や背中の痛み
- 皮膚の強いかゆみ
- 感染症にかかりやすくなる
子供の症状
- 子どもではまれですが、発熱や「いつもだるい」と訴える、顔色が悪いといった症状が続くことがあります。成長や発育に影響が出ることもあるため、注意が必要です。
高齢者の症状
- 高齢者では、疲れや息切れを年のせいだと思い込み、診断が遅れることがあります。普段と違う強いだるさ、おなかの張り、原因不明の体重減少があれば、医療機関を受診しましょう。
原因
主な原因
- 骨髄中の血液を造る幹細胞(造血幹細胞)に遺伝子の変化が起こり、異常な細胞が増えることが原因と考えられています。
- 一部の人は、真性多血症や本態性血小板血症など、他の血液の病気が進行して骨髄線維症になることがあります。
- 原因がはっきりしないことも多く、化学物質や放射線への曝露が関与する場合もありますが、多くの人では特定の原因は見つかりません。
リスク要因
- 年齢が60歳以上
- 男性であること
- 他の血液疾患(真性多血症など)を持っている
- 特定の化学物質への曝露歴があること
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 上記の緊急症状がある場合
定期受診を予約すべき場合:
- 疲れやすさや息切れが長く続く
- おなかの張りや違和感がある
- 原因不明の体重減少がある
- 体を動かすと動悸や息切れがする
診断
骨髄線維症の診断は、血液検査や骨髄の検査(骨髄穿刺・生検)を中心に、画像検査や遺伝子検査を組み合わせて行います。専門の血液内科で詳しく調べます。
行われる可能性のある検査
- 血液検査(貧血や血小板の数の確認、異常な血液細胞の有無など)
- 末梢血塗抹標本検査(血液を顕微鏡で調べる検査)
- 骨髄穿刺・骨髄生検(骨髄の組織を取って、線維化の程度を調べる)
- 遺伝子検査(原因となる遺伝子の変化の有無)
- 腹部超音波検査やCT検査(脾臓の大きさや他臓器の状態を確認)
診察で予想されること
血液内科では、症状の聞き取りと診察の後、一連の検査を行います。骨髄検査は少し痛みを伴うこともありますが、数分で終わります。結果が出るまで数日から数週間かかることがありますが、医師が丁寧に説明してくれます。
治療
骨髄線維症の治療は、病気の進行度や年齢、全身状態に合わせて個別に決められます。症状をやわらげたり、病気の進行を遅らせたりすることを目的とした治療が中心です。
自宅でのセルフケア
- 十分な休養を取る
- 感染症を予防する(手洗い、うがい、人混みを避ける)
- バランスの良い食事を摂る
- 禁煙する
- 体調に合わせて、無理のない運動を行う
医療治療
治療には、貧血を改善するための輸血や、脾臓の腫れや炎症症状を和らげる薬、遺伝子の変化に働きかける薬などが使用されることがあります。進行した場合には、抗がん剤や免疫を調整する薬が検討されることもあります。薬の種類や用量は、患者さんそれぞれの状態に合わせて医師が決定します。
手術が検討される場合
脾臓の摘出術(脾臓を取り除く手術)は、脾臓の腫れによる強い痛みや、食事が取れないほどの圧迫症状がある場合に考慮されることがあります。また、若くて体力がある方では、造血幹細胞移植(骨髄移植)という根治を目指す選択肢もあります。手術や移植が適切かどうかは、専門医と十分に話し合って決めます。
この病気と共に生きる
骨髄線維症は慢性の病気です。「病気と共存する」という視点で、自分のペースを大切にすることが大切です。だるい日は休み、体調が良い日は家事や趣味に無理なく取り組みましょう。
生活習慣のアドバイス
- 睡眠を十分に取る
- バランスの良い食事を心がける
- 感染症予防をしっかり行う
- ストレスをため込まない
- 禁煙を心がける
食事と運動
食事は、偏ることなく、蛋白質やビタミンをしっかり含むバランスの良いものがおすすめです。免疫力が落ちていると感染症のリスクがあるため、生ものを避けるなど安全な食事を心がけましょう。運動は、散歩や軽いストレッチなど、つらくない範囲で軽く行うと良いです。
精神的健康と心の健康
慢性の血液の病気を抱えると、不安や落ち込みを感じることがあります。一人で抱え込まず、家族や友人、医療者に気持ちを話してください。必要に応じて、心理師や精神科医によるサポートを受けることも選択肢の一つです。もし「生きたくない」などの気持ちが強い場合は、すぐに信頼できる人に相談するか、全国のこころの健康相談統一ダイヤル(電話番号0570-064-556)にかけることもできます。
予防
骨髄線維症を完全に予防する方法は、まだ見つかっていません。ただし、健康な生活習慣を維持し、感染症を予防することで、合併症を減らし、進行をゆるやかにすることが期待できます。
ワクチン
骨髄線維症の方は感染症にかかりやすいことがあります。インフルエンザや肺炎球菌などの予防接種を受けるかどうか、また接種のタイミングは、主治医とよく相談して決めてください。
検診プログラム
骨髄線維症に特化した一般向け検診はありません。理由のない貧血やだるさが続く場合は、血液内科またはかかりつけ医で血液検査を受けることが早期発見につながります。
合併症
治療しない場合
- 進行性の貧血が続き、日常生活に支障をきたす
- 脾臓の腫れが強くなり、痛みや腹部の圧迫症状が現れる
- 感染症にかかりやすくなる
- 出血しやすくなり、生体へのリスクが高まる
- まれに急性白血病に進行することがある
長期的な見通し
骨髄線維症の経過は人によってさまざまで、何年も安定して生活できる方も少なくありません。近年は治療の選択肢も増え、症状をしっかりコントロールできるようになってきました。主治医と良い関係を築き、前向きに治療に取り組むことが大切です。
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情報源とガイダンス
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最終更新: 2026年7月31日
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