歩行肺炎(非定型肺炎)とは?
国際的な診療ガイドラインに基づく
概要
歩行性肺炎は、非定型肺炎とも呼ばれる肺の感染症です。症状が比較的軽く、つらいながらも普段の生活を送れることが多いため『歩行肺炎』という名前が付けられました。しかし、れっきとした肺炎なので、きちんと対処し、経過を見守ることが大切です。
重要な事実
- マイコプラズマなどの細菌やウイルスが原因になります
- せきが長く続くことが特徴です
- 多くの人は自宅で休みながら治療できます
よくある病気です。特に冬から春にかけて、学校や職場など人が集まる場所で流行することがあります。
子どもや若い成人に多く見られますが、高齢者や持病のある人もかかることがあります。特に集団生活をしている人に広がりやすいです。
症状
- 呼吸が非常に苦しい、息を吸うたびに胸がへこむ
- 唇や爪が青白い、または紫色になる
- 胸の強い痛みがある、または胸が締め付けられる
- 血の混じった痰が出る
- 意識がもうろうとする、呼びかけに反応しない
- ⚠高熱が続く(38.5度以上が3日以上)
- ⚠呼吸が速い、息を吸うときに肩で息をしている
- ⚠せきがひどくなり、食事や水分がとれない
- ⚠頭痛やせきがひどく、日常生活が送れない
- ⚠高齢者でぼんやりする、思うように動けない
一般的な症状
- 発熱(多くは低めの熱だが、高熱になることもあります)
- 長引くせき(乾いたせきが続くことが多い)
- のどの痛み
- からだのだるさ
- 痰(たん)や息苦しさ(人によります)
子供の症状
- 熱がなくてもかぜのような症状が続くことがあります
- せきが長引いて夜も眠れないことがあります
- ぐったりして機嫌が悪い、ゼーゼーと呼吸音がする
- 下痢や嘔吐などを伴うこともあります
高齢者の症状
- 発熱がない、または熱が低いことがあります
- せきが少ないこともあります
- 急に元気がなくなる・ぼんやりする(意識の変化)
- 食欲が落ち、転びやすくなることがあります
- 息切れや疲労感が目立つことがあります
原因
主な原因
- マイコプラズマ・ニューモニエという細菌(最も代表的)
- クラミドフィラ・ニューモニエなどのほかの細菌
- インフルエンザウイルスやRSウイルスなどのウイルス
- まれに真菌(カビ)が原因となることもあります
リスク要因
- 5歳から20歳代の子どもや若い人
- 学校・寮・職場など人が密集する環境
- 喫煙者または受動喫煙がある人
- ぜんそくやCOPD(慢性閉塞性肺疾患)などの持病
- 免疫力を低下させる病気や治療を受けている人
- 疲労や睡眠不足が続いている人
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 呼吸が速い、息苦しさが強まる
- 胸の痛みがある
- 唇や爪が青っぽい
- 高熱が続く、またはぐったりする
- 意識がぼんやりする(特に高齢者)
定期受診を予約すべき場合:
- せきが2週間以上続く
- 熱は下がっても疲労感が取れない
- かぜの症状が10日以上続く
- 身近な人が肺炎やマイコプラズマ感染症にかかっていた
- 回復が遅く、早めに診てもらいたい場合
診断
医師が問診と聴診器による診察を行い、症状や肺の音を確認します。必要に応じて検査を行います。
行われる可能性のある検査
- 胸部X線(レントゲン)検査:肺に影がないか確認します
- 血液検査:炎症の程度や感染の兆候を調べます
- 鼻のどのぬぐい液や痰の検査:マイコプラズマなどの病原体を調べます
- パルスオキシメーター:血中の酸素濃度を測定します
診察で予想されること
特別な準備は必要ありません。診察は5〜10分程度で、検査結果によっては数日後に再受診することもあります。せきが強いときは、マスクを着用して受診すると周囲への感染を防げます。
治療
治療は原因によって異なります。細菌が原因の場合は抗生物質を使用しますが、ウイルスが原因の場合は症状を和らげる対症療法が中心になります。軽症の場合は自宅での安静と水分補給で改善することもあります。
自宅でのセルフケア
- 十分な睡眠と休息をとる
- こまめに水分を補給する(水、白湯、スポーツドリンクなど)
- 部屋を加湿し、乾燥を防ぐ
- せきが続くときは、のどに良いはちみつ(1歳未満の乳児には与えない)やあたたかい飲み物を
- 市販のせき止めや解熱薬を使う場合は、医師・薬剤師に相談する
- たばこの煙を避ける
医療治療
細菌性の肺炎と診断された場合は、抗菌薬(抗生物質)を処方されることがあります。処方された薬は、症状が良くなっても勝手にやめず、指示された日数分すべて飲み切ることが大切です。ウイルスが原因の場合は、特効薬がないため、発熱やせきを和らげる薬(解熱鎮痛薬、せき止めなど)を使って症状を緩和します。重症例では点滴や酸素吸入が必要になることもありますが、その場合は入院での治療になります。
手術が検討される場合
肺炎そのものに手術が必要になることはほぼありません。ただし、肺炎が重症化して肺の周りに膿がたまる『膿胸』や『胸水』が起こった場合は、ドレナージ(管を入れてためた液を出す処置)や手術が検討されることがあります。
この病気と共に生きる
治るまでの間は、無理をせず、ゆっくり過ごしましょう。熱が下がってからも、せきや疲労感がしばらく続くことがあります。仕事や学校は医師と相談しながら再開し、徐々に日常を取り戻すことが大切です。
生活習慣のアドバイス
- せきエチケットを守る(マスク、手でおおう、人と距離を取る)
- 手洗い・うがいを習慣にする
- 十分な睡眠を心がける
- 部屋の換気と湿度の調整をする
- たばこを吸わない・副流煙を避ける
- 人混みや集まりは回復するまで控える
食事と運動
食事は、のどごしが良く消化の良いもの(お粥、うどん、スープなど)を少しずつ食べましょう。水分を十分に取りましょう。運動は、せきが治まり、体力が戻ってから軽い散歩から始め、激しい運動は医師の許可が出るまで控えましょう。
精神的健康と心の健康
せきが長引いたり、なかなか体力が戻らなかったりすると、不安やいらいらを感じることもあります。それは自然なことです。家族や友人に気持ちを話したり、好きな音楽を聴いたりしてリラックスする時間を持ちましょう。つらい気持ちが続く場合は、医療機関や相談窓口に話を聞いてもらうことも一つの方法です。
予防
完全に防ぐことは難しいですが、感染リスクを減らすことはできます。手洗いやせきエチケット、ワクチン接種、十分な休養とバランスの良い食事を心がけましょう。
ワクチン
インフルエンザワクチンはインフルエンザによる肺炎を防ぐのに役立ちます。また、65歳以上の方や慢性の病気がある方には、肺炎球菌ワクチンの接種が厚生労働省からもすすめられています。ただし、これらのワクチンはマイコプラズマ肺炎などの非定型肺炎を直接防ぐものではありません。
検診プログラム
特別な検診制度はありませんが、健康診断の胸部X線検査などで偶発的に肺炎が見つかることもあります。持病がある方や高齢の方は、日ごろから健康診断を活用しましょう。
合併症
治療しない場合
- 肺炎が重症化して呼吸不全になる
- 胸水(肺の周りに液体がたまる)や膿胸(膿がたまる)を起こす
- 中耳炎や副鼻腔炎を併発する
- まれに、髄膜炎や脳炎などの神経症状を起こす
- ぜんそくや気管支炎の悪化
- 長期間の疲労感やせきが残る
長期的な見通し
大部分の方は後遺症なく回復します。特に健康な子どもや若い人は、きちんと休めば1〜3週間で回復することが多いです。せきだけは数週間続くこともありますが、だんだん軽くなります。まれに重症化する場合もありますが、早めに医療機関を受診すれば、多くの場合は合併症を防ぐことができます。心配な場合や症状が良くならない場合は、ためらわずに医療機関に相談してください。
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健康ガイドラインは国や地域によって異なります。この記事の情報は国際的な臨床ガイドラインに基づいていますが、お住まいの国の具体的なガイドライン、薬、または診療慣行を反映していない場合があります。健康上の懸念は常にご自身の医師または医療提供者と相談し、利用可能な場合は地域の国家ガイドラインを参照してください。
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情報源とガイダンス
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最終更新: 2026年7月31日
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