赤ちゃんのふけ(乳児脂漏性皮膚炎)について
国際的な診療ガイドラインに基づく
概要
乳児脂漏性皮膚炎は、赤ちゃんの頭皮に黄色や茶色っぽい、フケのようなくっついた皮(かさぶた状のもの)ができる、とてもよくある皮膚の状態です。医学的には「脂漏性皮膚炎(しろうせいひふえん)」と呼ばれ、通称は「クレードルキャップ」とも言います。かさぶたのような皮が厚く貼りついても、赤ちゃんの健康に影響はほとんどなく、自然に良くなることがほとんどです。
重要な事実
- 生後2〜3ヶ月の赤ちゃんに多く見られる、ごくありふれた皮膚のトラブルです。
- かゆみや痛みはほとんどなく、頭皮が脂っぽくなったり、カサカサの皮がついたりします。
- 毎日のやさしい洗浄とケアで、数週間から数ヶ月かけて自然にきれいになっていきます。
はい、とても一般的です。赤ちゃんの約10人に1人から3人に1人が経験すると言われており、決して珍しいものではありません。
主に生後2〜3週間以降の新生児から乳児に見られます。生後6ヶ月を過ぎると自然に落ち着くことが多いですが、大きくなってからも頭皮や顔にフケや赤みとして現れることがあります。
症状
- 呼吸が苦しそう、顔色が悪い → すぐに119番に電話してください
- 高熱がありぐったりしている、ミルクやおっぱいを飲まない → すぐに119番に電話してください
- 皮膚から膿(うみ)が出ていたり、急に赤く腫れて熱をもっている → すぐに119番に電話してください
- ⚠かさぶたの下がジュクジュクと湿って、にじむ液体や出血が続く
- ⚠発疹が急に全身に広がった、または強いかゆみや痛みを伴う
- ⚠家庭でのやさしいケアを続けても、どんどん悪くなる
一般的な症状
- 頭皮に黄色や茶色の、べったりと貼りつくフケのような皮ができる
- 頭皮が脂っぽくなったり、カサカサして粉をふいたように見える
- 通常、かゆみや痛みを伴わない
子供の症状
- 頭皮以外に、額、まゆげ、まぶた、耳の後ろ、首のしわ、おむつ周りに広がることがある
- 皮の下の皮膚が赤くなったり、ジュクジュクしている場合は、念のため医師に相談しましょう
高齢者の症状
- 大人の場合は、頭皮のフケやかゆみ、赤みが続くことがある
- 頭皮のほか、顔のTゾーン(額・鼻・あご)や胸、わきの下などにも脂っぽいフケや赤い発疹が見られることがある
原因
主な原因
- 皮脂の分泌が一時的に多くなること(お母さんからもらったホルモンの影響)
- 皮膚に常在する「マラセチア」というカビの一種が増えすぎて、炎症や皮膚の生まれ変わりの乱れを起こすこと
- 増えた皮脂と古い角質が混ざり合い、頭皮に厚く積もってしまうこと
リスク要因
- 家族に脂漏性皮膚炎やアトピー性皮膚炎の人がいる
- 肌が脂っぽい、または敏感肌の赤ちゃん
- 気温の変化や汗、乾燥などで皮脂分泌のバランスが崩れる
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 症状が頭皮だけでなく全身に広がっている
- 皮の下が赤く腫れたり、汁が出たり、出血が見られる
- 赤ちゃんがかゆがったり痛がったりしている様子があり、機嫌が悪い
定期受診を予約すべき場合:
- 生後6ヶ月を過ぎても良くならない
- 毎日のケア方法が分からず、不安がある
- 市販の赤ちゃん用シャンプーや保湿クリームを使っても改善しない
診断
医師(小児科または皮膚科)が、赤ちゃんの頭皮や皮膚の状態を目で見て診断します。問診では、いつから症状があるか、どこに広がっているか、これまでのケアについて聞かれます。
行われる可能性のある検査
- ほとんどの場合、視診だけで診断がつきます
- 感染や他の皮膚疾患が疑われる場合にのみ、皮膚のかけらを採取して顕微鏡で調べることがあります
診察で予想されること
診察はとても短く、赤ちゃんへの負担はほとんどありません。医師からは、毎日の洗い方やスケール(皮)の落とし方のコツ、保湿の方法などを具体的に教えてもらえます。心配いりません。
治療
治療の基本は、毎日のやさしい洗浄と、ゆるんだ皮を少しずつ取り除くことです。自然に良くなることも多いため、薬を使わずに様子を見ることもあります。医師が必要と判断した場合は、炎症を抑える外用薬(ステロイドなど)や、カビの増殖を抑える外用薬(抗真菌薬)が処方されることがありますが、赤ちゃんに使うものはどれも安全性がよく検討されています。
自宅でのセルフケア
- 毎日または1日おきに、赤ちゃん用の刺激の少ないシャンプーで頭皮をやさしく洗い、よくすすぎましょう
- 洗ったあとは、柔らかいベビーブラシやガーゼで、ゆるんだ皮をそっと取り除きましょう(無理にはがさない)
- ベビーオイルや保湿クリームを頭皮に薄く塗り、15〜30分ほど置いてから洗い流すと、皮がやわらかくなって落ちやすくなります(使う前は薬剤師や医師に相談しましょう)
- 皮を指でこすったり、無理にはがしたりしないようにしましょう
医療治療
医師による治療では、皮膚の炎症を鎮める外用薬や、マラセチアというカビの増殖を抑える外用薬が処方されることがあります。いずれも赤ちゃん向けに安全性が確認されたものを医師の指導のもとで使います。自己判断で大人用の薬を使ったり、処方された薬を長く使い続けたりしないようにしましょう。
手術が検討される場合
手術は通常必要ありません。
この病気と共に生きる
毎日のケアのコツは、皮脂がたまりやすい頭皮をこまめにやさしく洗い、清潔を保つことです。皮が気になって一度に取ろうとせず、毎日少しずつゆるめていくのがおすすめです。あせらず続ければ、赤ちゃんの肌は自然にきれいになっていきます。
生活習慣のアドバイス
- 赤ちゃんの爪を短く切り、かきこわしによる傷や感染を防ぎましょう
- 帽子やヘルメットを長時間かぶせるときは、蒸れないように頭皮をこまめにチェックしましょう
- 室内の温度や湿度を快適に保ち、汗をかいたらやさしく拭き取りましょう
食事と運動
特別な食事制限や運動制限は必要ありません。母乳育児中のお母さんも普段通りの食事で大丈夫です。離乳食を始めてからも、特定の食品を避ける必要は通常ありません。
精神的健康と心の健康
赤ちゃんの頭皮の見た目が気になると、親としては心配になるものです。しかし、これは親のせいでも、育児の仕方に問題があるわけでもありません。一時的で自然に治る状態だと知るだけでも、気持ちが楽になります。不安なときは、医師や助産師、保健師に話を聞いてもらいましょう。
予防
完全に予防することはできませんが、毎日やさしく頭皮を洗って皮脂のたまりを減らし、洗ったあとは保湿を心がけることで、症状が軽くなったり、悪化しにくくなったりすることがあります。
ワクチン
ワクチンとは直接の関係はありませんが、乳幼児の予防接種や定期的な健診は通常通り受けてください。
検診プログラム
特別な検診は必要ありません。乳幼児健診の機会に、頭皮の状態を医師に見てもらうと安心です。
合併症
治療しない場合
- かきむしって皮膚に細かい傷がつくと、細菌感染を起こしてジュクジュクとした炎症が悪化することがある
- 頭皮のかさぶたが厚くなっても、跡が残ることはほとんどない
- ごくまれに、炎症が強く長く続くと、皮膚の色が一時的に変わる(黒ずむ)ことがある
長期的な見通し
乳児脂漏性皮膚炎は、多くの場合、生後6〜12ヶ月までには自然に良くなります。治療が必要な場合でも、毎日のやさしい洗浄と、必要に応じた外用薬で数週間のうちに改善します。あとや傷跡が残ることはほとんどなく、赤ちゃんの将来の健康に影響することもありません。安心して、あせらずに向き合っていきましょう。
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必ず医師に確認してください
健康ガイドラインは国や地域によって異なります。この記事の情報は国際的な臨床ガイドラインに基づいていますが、お住まいの国の具体的なガイドライン、薬、または診療慣行を反映していない場合があります。健康上の懸念は常にご自身の医師または医療提供者と相談し、利用可能な場合は地域の国家ガイドラインを参照してください。
重要なお知らせ この情報は教育目的にのみ提供されています。専門的な医療アドバイス、診断、治療に代わるものではありません。ご自身の状況については、常に資格を持つ医療専門家にご相談ください。医療上の緊急事態が発生した場合は、直ちに最寄りの救急医療サービスに連絡してください。
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情報源とガイダンス
この記事は教育目的で、利用可能な場合は認知された健康情報および臨床ガイダンスの情報源を参照して作成されています。具体的な情報源リンクはトピックによって異なる場合があります。
最終更新: 2026年7月31日
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