肺塞栓症:リスクがあるのはどんな人?
国際的な診療ガイドラインに基づく
概要
肺塞栓症(はいそくせんしょう)とは、脚や骨盤などの静脈の中でできた血の塊(血栓)が血流に乗って肺に運ばれ、肺の血管を詰まらせる病気です。血管が詰まると、肺で酸素を十分に取り込めなくなり、息苦しさや胸の痛みなどが起こります。
重要な事実
- 肺塞栓症は、突然症状が現れることが多い病気です。
- 手術後や長距離の移動、がん治療中など、体を動かさない時間が長いときに起こりやすくなります。
- 早く見つけて治療すれば、多くの人が回復する可能性があります。
肺塞栓症は、日本では決して珍しい病気ではありません。入院中や手術後、災害時の避難生活などで起こりやすくなることが知られています。
肺塞栓症は大人に多く見られますが、若い人でも起こることがあります。特に、手術後、けが、長距離移動、妊娠、がん治療中、過去に血栓症がある人などはリスクが高くなります。高齢になるほどリスクが増えるため、注意が必要です。
症状
- 突然の強い息苦しさ
- 胸の激しい痛み
- 意識を失いそうになる、または意識がない
- 血の混じった咳
- 顔色が真っ青でぐったりする
- ⚠軽い息苦しさや胸の痛みが続く
- ⚠脚の片側がむくんだり、痛んだりする
- ⚠動悸が続く
- ⚠めまいが繰り返す
一般的な症状
- 突然の息苦しさ
- 胸の痛み(息を吸うと強くなることがある)
- 咳(血が混じることもある)
- めまいやふらつき
原因
主な原因
- 脚や骨盤の深い部分の静脈に血栓ができる「深部静脈血栓症」が最も主な原因です。この血栓がはがれて肺の血管に流れ着くと、肺塞栓症になります。
リスク要因
- 手術後(特に整形外科や腹部の手術後)
- けがや骨折で長期間動かない
- 長距離の飛行機や車での移動
- がんで、治療中または治療後
- 妊娠中・出産直後
- ホルモン治療や避妊目的の薬を使用している
- 肥満、喫煙、高血圧
- 過去に血栓症になったことがある
- 高齢であること
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 急に息苦しくなったとき
- 胸の痛みがあるとき
- 血が混じった咳をしたとき
- 脚の片側が急に腫れたり、痛んだりしたとき
定期受診を予約すべき場合:
- 静脈血栓ができやすい状態(手術後、長距離移動後など)で、脚の痛みやむくみがあるとき
- 肺塞栓症の再発が心配で、定期的な診察を受けたいとき
診断
医師が問診と診察を行い、息苦しさや脚の状態を確認します。そのうえで、血液検査や画像検査を行って、肺の血管が詰まっていないかどうか調べます。
行われる可能性のある検査
- 血液検査(Dダイマーや酸素の状態を調べる)
- 胸部CT検査(造影CTで肺の血管を詳しく見る)
- 胸部X線検査
- 脚の超音波検査(血栓の有無を調べる)
- 肺換気血流シンチグラフィー(必要に応じて)
診察で予想されること
肺塞栓症が疑われる場合は、多くの人が入院して検査・治療を受けます。診断後は、循環器や呼吸器の専門医が中心となって治療方針を決めます。日本の医療機関では、緊急の場合は救急外来から対応してもらえます。
治療
治療の目標は、詰まった肺の血管をできるだけ早く元に戻し、新しい血栓ができないようにすることです。状態に応じて、血液を固まりにくくする薬(抗凝固薬)を使うのが一般的です。
自宅でのセルフケア
- 医師から処方された薬は、指示どおりに飲み続けましょう。
- 長距離移動や長時間の座位の際は、こまめに足を動かし、水分をとりましょう。
- 突然の出血、内出血、血便などの異常に気づいたら、すぐに医師に相談しましょう。
医療治療
一般的な治療は、抗凝固薬という血液を固まりにくくする薬を点滴や内服で使用する方法です。血栓が大きくて症状が重い場合には、血栓を溶かす薬や、カテーテルを使った治療、手術が行われることがあります。治療期間は、原因や血栓の大きさ、体の状態によって異なります。
手術が検討される場合
重症の場合や、薬では改善が難しい場合には、外科手術によって血栓を取り除くことがあります。また、抗凝固薬を使えない場合などには、下大静脈フィルターという小さな装置を血管の中に入れることもあります。
この病気と共に生きる
退院後も、抗凝固薬の服用や通院を続けることが必要です。定期的な血液検査を受けながら、医師の指示に従って生活しましょう。再発を防ぐために、足を動かす習慣をつけることが大切です。
生活習慣のアドバイス
- 禁煙をしましょう。
- 長時間同じ姿勢で座り続けないようにしましょう。
- 適度な運動を医師に相談しながら続けましょう。
- 水分をこまめにとりましょう(医師から水分制限の指示がある場合は従いましょう)。
食事と運動
バランスのよい食事を心がけ、塩分や脂肪のとりすぎに注意しましょう。運動は、ウォーキングなどの軽いものから始め、医師に確認しながら強度を調整してください。血栓予防に大切なのは、日ごろから血流をよくすることです。
精神的健康と心の健康
肺塞栓症を経験すると、再発への不安や体調の変化に対するストレスを感じることがあります。その気持ちは自然なことです。無理をせず、家族や友人、医療スタッフに気持ちを話してください。
予防
肺塞栓症は、リスクを下げることができます。手術後や長距離移動の際には、足を動かす、弾性ストッキングを使う、適度に水分をとるなどの対策が有効です。また、肥満や喫煙などの生活習慣の改善も予防につながります。新型コロナウイルス感染症などで長く自宅で過ごす場合も、こまめに動くことを心がけましょう。
合併症
治療しない場合
- 肺の血管が広範囲に詰まると、呼吸不全やショック状態になることがあります。
- 心臓に強い負担がかかり、心不全や突然死の原因になることがあります。
- 長期間にわたって肺の血管の圧力が高い状態が続き、慢性血栓塞栓性肺高血圧症という病気につながることがあります。
長期的な見通し
肺塞栓症は、早期に診断して適切な治療を受ければ、多くの方が回復します。再発を防ぐための治療と生活の見直しを続けることが大切です。担当医と一緒に、長期的な健康管理をしていくことができます。
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健康ガイドラインは国や地域によって異なります。この記事の情報は国際的な臨床ガイドラインに基づいていますが、お住まいの国の具体的なガイドライン、薬、または診療慣行を反映していない場合があります。健康上の懸念は常にご自身の医師または医療提供者と相談し、利用可能な場合は地域の国家ガイドラインを参照してください。
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情報源とガイダンス
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最終更新: 2026年7月31日
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