水疱性類天疱瘡とは?
国際的な診療ガイドラインに基づく
概要
水疱性類天疱瘡(すいほうせいるいてんぽうそう)は、体の免疫システムが自分の皮膚を誤って攻撃してしまうことで、皮膚に大きな水ぶくれができる病気です。免疫とは体を守る仕組みですが、それが誤って皮膚の一部を敵とみなすと、炎症が起こり、水ぶくれや赤み、強いかゆみが生じます。この病気は人から人にうつることはありません。
重要な事実
- 免疫の異常が原因で、感染症ではありません。
- 高齢者(特に70歳以上)に多く見られます。
- 治療により症状を抑えることができ、多くの人が日常生活を続けられます。
日本では比較的まれな病気ですが、自己免疫が原因でできる水ぶくれの病気の中では最も多いタイプです。厚生労働省から指定難病にも定められており、全国で年間に数千人程度が診断されていると推定されています。
主に高齢者に発症します。70歳代から80歳代に最も多く、男女ともに見られますが、やや男性に多いという報告もあります。
症状
- 息苦しさや、顔やのどの急な腫れがある
- 広い範囲の水ぶくれが急速に広がり、意識がもうろうとする
- 高熱や悪寒とともに、皮膚のただれが急に悪化する
- ⚠水ぶくれの中にうみがたまるなど、皮膚の感染を疑うサインがある
- ⚠口や目の周りの水ぶくれのせいで、食事や呼吸・視界に支障がある
- ⚠水ぶくれが全身に急速に増えている
一般的な症状
- 皮膚に大きな張った水ぶくれ(水疱(すいほう))ができる
- 強いかゆみを伴う赤い発疹(はっしん)がある
- 水ぶくれは破れやすく、ただれやかさぶたになることがある
- 腕、脚、お腹、太ももなどに左右対称に出ることが多い
子供の症状
- 子どもではまれですが、手足や口の中に水ぶくれができることがあります。
- 痛みやかゆみが強く、夜眠れないこともあります。
高齢者の症状
- 高齢者では特に脚や腕のぶつけやすい場所に水ぶくれができやすいです。
- 皮膚がもろくなっているため、こすれただけでも水ぶくれができることがあります。
- かゆみが非常に強く、皮膚をかきむしってしまうと症状が悪化します。
原因
主な原因
- 免疫システムが皮膚の一部分(表皮と真皮の間の構造)を誤って攻撃する
- 何がきっかけで免疫の異常が起こるかは、はっきりしないことが多い
- 特定の薬剤や感染が引き金になる場合もあるが、うつる病気ではない
リスク要因
- 70歳以上である
- アルツハイマー病やパーキンソン病などの神経の病気がある
- 特定の内服薬を長期間使用している
- 免疫の病気を起こしやすい体質である
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 水ぶくれが急速に広がっている
- 水ぶくれが破れて、痛みやうみ、赤みが広がっている(感染の可能性)
- 口の中や目の周りに水ぶくれができ、食べる・飲む・見るのが苦しい
定期受診を予約すべき場合:
- 原因が分からない水ぶくれが数日以上続く
- かゆみが強く、保湿剤などを使っても治まらない
- 皮膚の状態が気になり、はっきり診断を知りたい
診断
診断のためには、皮膚科の専門医による診察と、皮膚の一部を採取して顕微鏡で調べる検査(皮膚生検)が行われます。また、採血で病気に関係する抗体が含まれていないか調べることもあります。診断後、厚生労働省の指定難病として医療費助成の申請ができる場合があります。
行われる可能性のある検査
- 皮膚生検:水ぶくれのふちの皮膚を小さく採取し、顕微鏡で調べます
- 直接蛍光抗体法:採取した皮膚を染色して、免疫の抗体が皮膚に沈着していないか確認します
- 血液検査:血液中に病気と関連する抗体がないかを調べます
診察で予想されること
皮膚科の受診から確定診断まで、通常は数週間かかることがあります。検査前に自己判断でステロイドなどの塗り薬を使うと、正確な診断ができなくなることがあるため、使わずに医師に相談してください。
治療
現在のところ病気そのものを完全になくす治療法はありませんが、免疫の働きを調整する薬や炎症を抑える外用薬を使って、水ぶくれやかゆみを抑える治療が中心になります。症状は数か月から数年続くこともありますが、多くの人は治療で日常生活を良好に保てます。必ず医師の指示に従ってください。
自宅でのセルフケア
- 皮膚をこすらず、やわらかい布でやさしく押さえるように洗う
- 水ぶくれが破れても、自分で皮をむかず、清潔に保つ
- 爪を短く切り、かゆくてもかきむしらないようにする
- 刺激の少ない保湿剤で皮膚を保護する
- ゆったりした綿の服を選び、衣服による摩擦を避ける
医療治療
治療は皮膚科の医師が行います。水ぶくれや赤みが少ない場合は、炎症を抑える塗り薬が使われることがあります。症状が強い場合は、免疫の働きを抑える内服薬や点滴治療が行われることもあります。治療内容は症状の広がりや体の状態に合わせて医師が個別に決めます。勝手に薬を増やしたり止めたりせず、必ず医師か薬剤師に相談してください。
この病気と共に生きる
日常生活では、皮膚を傷つけないことがとても大切です。入浴はぬるめのお湯で、刺激の少ない石けんを使い、タオルでこすらず押して拭きましょう。水ぶくれの状態を毎日観察し、痛みや赤みの広がり、うみなどの感染のサインに気づいたら、早めに医師に連絡してください。
生活習慣のアドバイス
- ストレスをためすぎない工夫をする
- 十分に睡眠をとる
- かゆみが強いときは熱い湯を避け、冷たいタオルで冷やす
- 外出時は紫外線対策をして、肌を保護する
食事と運動
特別な食事制限はありません。栄養バランスのよい食事をとり、体の免疫力を維持しましょう。運動は、皮膚を摩擦しない範囲で、散歩や軽いストレッチなどを無理のない範囲で行うとよいです。血圧や心臓の病気がある場合は、医師に相談してから始めてください。
精神的健康と心の健康
皮膚の見た目が変わると、外出や人と会うことに不安を感じるかもしれません。また、かゆみが続くと睡眠が不足し、気分が落ち込むこともあります。つらい気持ちをひとりで抱え込まず、医師や家族に相談してください。必要であれば、心の専門家やカウンセリングなどの支援も受けることができます。
予防
この病気を完全に予防する方法はまだ分かっていません。ただし、薬がきっかけと疑われる場合は、医師の判断で薬の変更を検討することがあります。自己判断で薬を中止するのは危険なので、必ず医師に相談してください。
ワクチン
免疫を抑える治療を受ける前には、インフルエンザや肺炎球菌などのワクチンを済ませておくことが勧められます。接種の時期や種類は、医師に相談して決めましょう。
検診プログラム
一般的な健康診断でこの病気を調べるスクリーニングはありません。皮膚に水ぶくれや異常を感じたら、早めに皮膚科を受診することが早期発見・早期治療につながります。
合併症
治療しない場合
- 水ぶくれが破れた部分から細菌感染を起こすことがある
- 広い範囲の皮膚がただれると、水分や栄養が失われることがある
- 口やのどに水ぶくれができると、食べることや飲み込むことがつらくなることがある
- 症状を放置すると長く続き、入院による治療が必要になることもある
長期的な見通し
早期に正しい診断と治療を受けられれば、多くの患者さんで症状をうまくコントロールできます。治療期間は数か月から数年かかることがありますが、症状が落ち着けば薬の量を減らしていけることも少なくありません。あきらめずに医師と一緒に治療を続けていきましょう。
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必ず医師に確認してください
健康ガイドラインは国や地域によって異なります。この記事の情報は国際的な臨床ガイドラインに基づいていますが、お住まいの国の具体的なガイドライン、薬、または診療慣行を反映していない場合があります。健康上の懸念は常にご自身の医師または医療提供者と相談し、利用可能な場合は地域の国家ガイドラインを参照してください。
重要なお知らせ この情報は教育目的にのみ提供されています。専門的な医療アドバイス、診断、治療に代わるものではありません。ご自身の状況については、常に資格を持つ医療専門家にご相談ください。医療上の緊急事態が発生した場合は、直ちに最寄りの救急医療サービスに連絡してください。
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情報源とガイダンス
この記事は教育目的で、利用可能な場合は認知された健康情報および臨床ガイダンスの情報源を参照して作成されています。具体的な情報源リンクはトピックによって異なる場合があります。
最終更新: 2026年7月31日
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