顔面骨折:症状・治療・回復ガイド
国際的な診療ガイドラインに基づく
概要
顔面骨折とは、顔の骨(あごの骨、鼻の骨、目の周りの骨など)にひびが入ったり、折れたりするけがです。転んだり、ぶつかったり、交通事故などの強い衝撃で起こることが多く、顔のはれや痛み、変形を引き起こします。
重要な事実
- 顔面骨折は、顔に強い力が加わると起こります。原因は交通事故や転倒、スポーツ中の衝突が多く見られます。
- 骨折した場所によって症状は異なります。あごが動かしにくくなったり、鼻が曲がったり、物が二重に見えたりすることもあります。
- 早めに医療機関で診てもらうことで、骨を正しい位置に戻し、顔の形や働き(食べる、話す、見るなど)をできるだけ元どおりに回復させる治療を受けられます。
顔面骨折は、大きなけがをして救急外来を受診する人のうち、少なくない割合を占めます。特に若い世代の男性に多く見られるけがですが、子どもや高齢者でも起こります。
10代から30代の男性に最も多く見られます。交通事故やスポーツ中のけがが主な原因です。一方で、高齢者は骨がもろくなっているため、つまずいて顔をぶつけるだけでも骨折することがあります。子どもでは、転んだときに顔を打つことで起こることがあります。
症状
- 意識がもうろうとする、意識を失う
- 呼吸が苦しい、息ができない
- 顔からの出血が止まらない
- 目が見えない、物が二重に見える
- 顔の形が大きく変形している
- このような症状があるときは、すぐに119番に電話して救急車を呼んでください。
- ⚠強い痛みが続く
- ⚠口が開けにくい、あごが動かない
- ⚠鼻血がなかなか止まらない
- ⚠顔のしびれが続く
- ⚠強い衝撃のあとに顔のどこかがはれて痛む
- ⚠このような症状があるときは、できるだけ早く整形外科・形成外科・救急外来を受診してください。
一般的な症状
- 顔のはれや内出血(あおあざ)
- 痛みがあり、顔を触ると強く痛む
- 顔の形が左右で異なるように見える
- あごが動かしにくい、口が開けにくい
- 物をかむと違和感がある、上下の歯がうまくかみ合わない
- 鼻血が出る、鼻がつまる、鼻の形が変わる
- 目がはれて開きにくい、物が二重に見える
- 顔の一部の感覚がにぶくなる、しびれる
子供の症状
- じつは子どもは骨がやわらかいため、大人と同じようには折れにくいですが、それでも強い衝撃では骨折することがあります。
- 言葉でうまく伝えられないため、きげんが悪くなったり、泣き続けたりすることがあります。
- 顔を触られるのをいやがる、食べたがらない、飲みたがらないなどがサインになります。
- 子どもの顔面骨折は回復が早いことが多いですが、必ず医療機関で診察を受けてください。
高齢者の症状
- 骨がもろくなっているため、小さな衝撃でも骨折することがあります。
- 痛みを感じにくく、骨折に気づかないこともあります。
- 転倒が原因の場合は、めまいやふらつきなど、転んだ理由もあわせて医師に相談することが大切です。
- 入れ歯(義歯)が合わなくなった、食事中に違和感があるなどの変化が見られることもあります。
原因
主な原因
- 交通事故(自動車、バイク、自転車など)
- 転倒や転落(特に高齢者や子ども)
- スポーツ中のぶつかり合いや転倒(ラグビー、サッカー、野球、柔道など)
- 暴力やけんかによる顔面への打撃
- 工事現場や作業中のはね返りなどの事故
- 高所からの落下
リスク要因
- 骨粗しょう症などで骨がもろくなっている
- 高齢による転倒のしやすさ
- コンタクトスポーツを行っている
- バイクや自転車に乗るときにヘルメットをかぶっていない
- 見えにくさやめまいなどで転びやすい体の状態にある
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 意識の異常がある、激しい頭痛がある
- 目が動かない、見えにくい、物が二重に見える
- 顔からの強い出血がある
- 呼吸がしづらい
- こうした場合には、ためらわずに119番へ救急車を要請してください。
定期受診を予約すべき場合:
- 顔を強く打って、痛みやはれが続く
- あごを動かすと痛む、口が開けにくい
- かみ合わせが変わった気がする
- 鼻血が何度も出る、鼻の形が気になる
- 顔のしびれや感覚の変化がある
- このような症状がある場合は、数日待たずに早めに受診しましょう。
診断
医師が顔の状態を診察し、どのようにけがをしたか、今の症状について詳しく聞きます。その後、画像検査を行って、骨のひびやずれの有無を確認します。痛みが強い場合は、痛みをやわらげる処置を行いながら検査を進めます。
行われる可能性のある検査
- X線(レントゲン)検査:骨のひびや折れを確認する基本的な検査です。
- CT検査:骨折の場所やずれ方を詳しく調べます。顔面骨折の診断では非常に役立つ検査です。
- 診察(視診・触診):顔の形、はれ、痛む場所、目の動きや神経の状態を確認します。
- 場合によっては、視力や眼球の動き、歯やかみ合わせの状態を詳しく調べることもあります。
診察で予想されること
救急外来では、まずけがの状況と全身の状態を確認します。骨折の検査が終わるまでに数時間かかることもありますが、正確に診断するために必要な流れです。骨折が見つかった場合は、手術の要否や治療の選択肢について医師から説明があります。不安なことは遠慮なく質問してください。
治療
顔面骨折の治療の目的は、ずれた骨を元の位置に戻し、顔の形と働き(食べる、話す、見るなど)を回復させることです。骨折の場所や程度によって、手術を行う場合と行わない場合があります。方針は一人ひとりの状態に合わせて、医師が説明したうえで決まります。
自宅でのセルフケア
- けがをした直後は、冷たいタオルや氷枕で患部を冷やしてはれを抑えましょう。
- 頭を少し高くして安静にし、体を休めましょう。
- 痛みがある間は、硬いものやかみ応えのあるものを避け、おかゆやスープなどやわらかい食事をとりましょう。
- 鼻を強くかむ、顔を強く押すなどの刺激は避けましょう。
- 痛みがつらい場合は、医師または薬剤師に相談して、自分に合った対処方法を聞きましょう。
医療治療
骨折の程度が軽く、骨の位置が大きくずれていない場合は、手術をせずに安静を保ちながら自然に骨がくっつくのを待ちます。この間は、やわらかい食事にしたり、患部を冷やしたりしながら経過を見ます。骨がずれている場合や、顔の働きに影響が出ている場合は、手術によって骨を正しい位置に戻し、小さなプレートやネジで固定する方法がとられます。痛みに対しては、医師が適切な痛み止めを処方します。処方された薬は、必ず医師の指示に従って使ってください。
手術が検討される場合
骨が大きくずれている場合、かみ合わせや目の動き、呼吸などに問題がある場合、見た目への影響が大きい場合は手術が検討されます。緊急を要さない手術も多いため、医師と十分に話し合い、納得したうえで決めることができます。
この病気と共に生きる
手術をした場合、しばらくははれや痛みが続きます。骨がしっかりとくっつくまでは、ふつう数週間から数か月かかるため、その間は医師の指示を守って過ごしましょう。激しい運動や、顔に衝撃が加わる可能性のある行動は避けてください。通院での経過観察が回復には欠かせません。
生活習慣のアドバイス
- 医師が許可するまで、激しい運動やコンタクトスポーツは控えましょう。
- スポーツを再開するときは、ヘルメットやマウスガードなどの保護具を正しく使いましょう。
- 飲酒や喫煙は骨の回復を遅らせることがあります。回復までの間は控えるのが安心です。
- 睡眠や休養を十分にとりましょう。
- 通院の予定や治療に関するメモを残しておくと、安心して治療を続けられます。
食事と運動
骨の回復には、たんぱく質(肉、魚、卵、大豆製品)、カルシウム(乳製品、小魚、緑黄色野菜)、ビタミンD(魚、きのこなど)をバランスよくとることが役立ちます。あごを骨折した場合は、医師の指導に従って、ミキサー食やおかゆなどやわらかい食事で栄養をとりましょう。運動は、医師の許可が出るまでは軽い散歩程度にとどめ、顔に負担のかかる運動は避けてください。
精神的健康と心の健康
顔は自分の印象を大きく決める部分です。骨折や手術のあとの見た目の変化や、食事や会話のしづらさから、不安や落ち込みを感じることがあっても不思議ではありません。つらい気持ちはひとりで抱え込まず、家族や友人、医師や看護師に話してみてください。悲しみや不安が長く続く場合は、医療機関や地域の精神保健福祉センターなどの専門家に相談することもできます。緊急時は119番に電話をしてください。
予防
顔面骨折を完全に防ぐことはできませんが、リスクを大きく減らすことは可能です。車やバイクに乗るときはシートベルトやヘルメットを着用し、スポーツではマウスガードやフェイスガードなどの保護具を正しく使いましょう。高齢者の場合は、家の中の段差をなくす、手すりを設置するなど、転倒しにくい環境づくりが予防に役立ちます。
ワクチン
顔面骨折を直接予防するワクチンはありません。ただし、転倒の原因となる感染症(インフルエンザなど)を予防することは間接的な役立ちにつながります。ワクチンについて迷う場合は、医師に相談してください。
検診プログラム
顔面骨折のための特別な検診はありません。ただし、骨粗しょう症の検査を受けて骨の健康状態を把握しておくことは、高齢者の骨折予防に役立ちます。転倒しやすい体の状態が心配な方は、かかりつけ医に相談してみましょう。
合併症
治療しない場合
- 骨がずれたままくっついてしまい、顔の形が左右で異なって見えることがあります。
- かみ合わせが悪くなり、食事や会話に支障が出ることがあります。
- 目の動きや視力、鼻の働き、神経の感覚などに長く影響が残ることがあります。
- まれに、頭蓋骨とのつながりに問題が生じ、体液が漏れるなどの重い合併症を起こすことがあります。
- 見た目の変化による心理的なつらさや、自信を失う感覚が続くことがあります。
長期的な見通し
顔面骨折は、適切な治療を受ければ多くの場合、顔の形と働きはしっかりと回復します。若い世代ほど骨の治りは早く、見た目の回復もきれいです。高齢者でも、医師の指示に従って治療を続ければ、十分な回復が期待できます。回復には時間がかかることもありますが、あせらず治療に向き合うことが大切です。
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健康ガイドラインは国や地域によって異なります。この記事の情報は国際的な臨床ガイドラインに基づいていますが、お住まいの国の具体的なガイドライン、薬、または診療慣行を反映していない場合があります。健康上の懸念は常にご自身の医師または医療提供者と相談し、利用可能な場合は地域の国家ガイドラインを参照してください。
重要なお知らせ この情報は教育目的にのみ提供されています。専門的な医療アドバイス、診断、治療に代わるものではありません。ご自身の状況については、常に資格を持つ医療専門家にご相談ください。医療上の緊急事態が発生した場合は、直ちに最寄りの救急医療サービスに連絡してください。
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情報源とガイダンス
この記事は教育目的で、利用可能な場合は認知された健康情報および臨床ガイダンスの情報源を参照して作成されています。具体的な情報源リンクはトピックによって異なる場合があります。
最終更新: 2026年7月31日
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