ジカウイルス感染症
国際的な診療ガイドラインに基づく
概要
ジカウイルス感染症は、ジカウイルスというウイルスが原因の感染症です。主に「ネッタイシマカ」や「ヒトスジシマカ」という蚊に刺されることでうつります。多くの人は軽い症状だけで自然によくなりますが、妊娠中の女性が感染すると、おなかの赤ちゃんに深刻な影響をおよぼすことがあるため、特に注意が必要です。
重要な事実
- 主に蚊に刺されることで感染します。
- 感染しても約8割の人は症状に気づきません。
- 妊娠中の感染は、赤ちゃんの小頭症などの原因になることがあります。
- 現在のところ、日本で承認されたワクチンはありません。
日本国内での感染はまれですが、中南米や東南アジア、アフリカ、太平洋諸島などの流行地域では多くの感染者が報告されています。海外旅行で感染することもあります。
流行地域に住んでいる人、またはそこを訪れる人は、誰でも感染する可能性があります。特に妊娠中の女性と、流行地域から帰国した妊婦、そのパートナーは注意が必要です。
症状
- 意識がぼんやりする、呼びかけに反応しない
- けいれんが止まらない
- 呼吸が苦しい
- 片側の手足に力が入らない、しびれがある(まれな神経合併症の可能性)
- ⚠高熱が続く
- ⚠激しい頭痛
- ⚠ぐったりして水分がとれない
- ⚠妊娠中の方で、流行地域での滞在歴があり、発熱・発疹などの症状がある
一般的な症状
- 発熱(多くの場合は軽い発熱)
- 発疹(赤い斑点やブツブツ)
- 関節痛(特に手足の関節)
- 結膜炎(目の充血)
- 筋肉痛・頭痛・倦怠感
原因
主な原因
- ジカウイルスを持った蚊(ネッタイシマカ、ヒトスジシマカ)に刺されること
- 性行為による感染(まれ)
- 妊娠中の母子感染(胎盤を通じて赤ちゃんにうつること)
- 輸血による感染(極めてまれ)
リスク要因
- 流行地域(中南米、東南アジア、アフリカ、太平洋諸島)への旅行や居住
- 蚊の多い時期・時間帯(夏の朝方・夕方)の屋外活動
- 流行地域から帰国した男性との性交渉
- 妊娠中(胎児への影響のリスク)
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 妊娠中の方:流行地域から帰国したら、症状がなくてもなるべく早く産科医に相談してください。
- 発熱・発疹・関節痛などがあり、流行地域への渡航歴がある場合
- 手足の力が入らない、しびれ、顔のゆがみ、物が二重に見えるなどの神経症状がある場合
定期受診を予約すべき場合:
- 流行地域への渡航を予定している場合は、出発前に渡航外来や保健所で情報を確認しましょう。
- 帰国後、気になる症状が続く場合は、一般内科を受診しましょう。
診断
医師が症状、渡航歴、蚊に刺された可能性を詳しく聞き、必要に応じて血液や尿の検査を行います。デング熱など症状が似ている病気との区別も大切です。
行われる可能性のある検査
- PCR検査(血液や尿の中にウイルスの遺伝子があるかを調べる)
- 血清抗体検査(ウイルスに対する抗体が体内にあるかを調べる)
診察で予想されること
検査結果が出るまでに数日かかることがあります。検査前後の安静や、入院が必要になることはほとんどありませんが、妊娠中の場合や症状が強い場合は、経過観察のために入院することもあります。
治療
特別な治療薬はなく、症状をやわらげるケアが基本です。多くの人は1〜2週間で自然に回復します。妊娠中の方は、使用する薬の種類に注意が必要なため、必ず医師に相談してください。
自宅でのセルフケア
- 十分な休養をとる
- 水分をこまめにとる(経口補水液やスポーツドリンクなど)
- 発熱や痛みがある場合は、医師・薬剤師に相談して適切な対症療法の薬を選ぶ
- 蚊に刺されないよう、長袖・長ズボンを着用し、虫よけを使う(それ以上感染を広げないため)
医療治療
症状に応じて、解熱鎮痛薬やかゆみ止めなどの薬が処方されることがあります。薬の種類や用量は医師が判断します。重症化して神経症状が出た場合は、専門的な治療や入院が必要になることがあります。ギラン・バレー症候群などの合併症には、免疫療法などの治療が行われますが、具体的な方法は担当医が説明します。
手術が検討される場合
手術が必要になることはありません。
この病気と共に生きる
多くの方は1〜2週間で回復します。流行地域では、蚊に刺されないための対策(虫よけ、長袖・長ズボン、蚊帳など)を続けましょう。また、症状がある間は、周りの人にうつさないために、性行為や輸血を避けるなどの注意も必要です。詳しくは医師に相談してください。
生活習慣のアドバイス
- 規則正しい生活を送り、免疫力を保つ
- 十分な睡眠をとる
- 家の周りの水たまり(蚊の発生源)をなくす
- 流行地域では、蚊の活動時間(明け方・夕方)の外出を避ける
食事と運動
水分をしっかりとり、消化のよい食事を少しずつ食べましょう。回復後は、無理のない範囲で散歩などの軽い運動から始めると良いです。妊娠中の方は、医師の指導に従って体重管理と栄養を心がけましょう。
精神的健康と心の健康
感染や赤ちゃんへの影響について不安を感じるのは自然なことです。特に妊娠中の方は、胎児への影響について大きな心配を抱えることがあります。ひとりで悩まず、医師や保健師に相談してください。必要に応じて、専門のカウンセリングや支援を紹介してもらうこともできます。
予防
ワクチンがないため、蚊に刺されないことが最大の予防方法です。流行地域への渡航時は、虫よけ剤(DEETなど)を使い、長袖・長ズボンを着て、寝るときは蚊帳を使用しましょう。また、性感染の可能性もあるため、流行地域から帰国した後は、一定期間コンドームを使用するなどの対策が勧められています。期間や具体的な方法は、医師に相談してください。
ワクチン
現在、日本で承認されたジカウイルス感染症のワクチンはありません。
検診プログラム
妊娠中の方は、流行地域への渡航歴がある場合、症状がなくても医療機関に相談し、必要に応じて超音波検査や血液検査を受けることが勧められています。胎児への影響を確認するための検査です。
合併症
治療しない場合
- まれに、ギラン・バレー症候群(手足の麻痺などの神経症状)が起こることがある
- 妊娠中の感染では、胎児の小頭症、脳の形成異常、聴覚・視覚障害などの先天性ジカウイルス症候群を引き起こすことがある
長期的な見通し
多くの人は後遺症なく回復します。妊娠中の感染は赤ちゃんに影響を与える可能性があるため、早期に医療機関を受診し、定期的な経過観察を続けることが大切です。たとえ影響があったとしても、適切な医療と支援により、子どもたちの成長を支えることができます。希望を持って、医療チームと一緒に進んでいきましょう。
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必ず医師に確認してください
健康ガイドラインは国や地域によって異なります。この記事の情報は国際的な臨床ガイドラインに基づいていますが、お住まいの国の具体的なガイドライン、薬、または診療慣行を反映していない場合があります。健康上の懸念は常にご自身の医師または医療提供者と相談し、利用可能な場合は地域の国家ガイドラインを参照してください。
重要なお知らせ この情報は教育目的にのみ提供されています。専門的な医療アドバイス、診断、治療に代わるものではありません。ご自身の状況については、常に資格を持つ医療専門家にご相談ください。医療上の緊急事態が発生した場合は、直ちに最寄りの救急医療サービスに連絡してください。
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情報源とガイダンス
この記事は教育目的で、利用可能な場合は認知された健康情報および臨床ガイダンスの情報源を参照して作成されています。具体的な情報源リンクはトピックによって異なる場合があります。
最終更新: 2026年7月31日
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