交通性陰嚢水腫(こうつうせい いんのうすいしゅ)について
国際的な診療ガイドラインに基づく
概要
交通性陰嚢水腫(こうつうせい いんのうすいしゅ)は、お子さんや成人の男性の陰のう(睾丸を包んでいる皮膚の袋)の中に、おなかの中の液体(腹水)がたまる病気です。通常は、おなかと陰のうの間にある管(腹膜鞘状突起)が自然に閉じますが、これが開いたままの状態だと、おなかの液体が陰のうへ流れ込み、むくみや腫れが起こります。このタイプの陰嚢水腫は「交通性」と呼ばれ、体の姿勢や活動によって大きさが変わることが特徴です。
重要な事実
- 生まれたばかりの赤ちゃんによく見られることがあります。
- 多くの場合、1歳までに自然に治ることがあります。
- 陰のうが腫れたり、触ると水ぶくれのような感触がすることがあります。
- 感染や痛みを伴う場合は、すぐに医療機関を受診する必要があります。
- 成人では、けがや手術の後に起こることがあります。
はい、新生児の男の子では比較的よく見られる状態です。まれに成人でも起こりますが、全体としては一般的な疾患のひとつです。
主に乳幼児、特に生後1年以内の男の子に多く見られます。成人では、陰のうや鼠径部の手術後、または腹部の圧が高まる状態(慢性のせき、便秘、重いものを持ち上げる仕事など)で起こることがあります。
症状
- 陰のうに突然の激しい痛みがある
- 陰のうが急に赤く腫れて熱を持つ
- 吐き気や嘔吐を伴う
- おしっこが出ない、または激しい腹痛がある
- ⚠陰のうの腫れが急に大きくなった
- ⚠腫れた部分が硬くて触ると強い痛みがある
- ⚠発熱(38度以上)がある
- ⚠陰のうをぶつけた後に腫れが続く
一般的な症状
- 陰のうが片側または両側に腫れる
- 腫れが朝小さく、夕方や立ちっぱなしの後に大きくなる
- 触ると柔らかく、水が入った風船のような感触
- 痛みは通常ありませんが、重だるさを感じることがある
- 腫れの大きさが、時間や体勢によって変化する
子供の症状
- おむつ替えのときに陰のうが腫れているのに気づく
- 泣いたり、いきんだりすると腫れが目立つことがある
- 痛がらないので、赤ちゃんは普段と変わらず機嫌よく過ごすことが多い
高齢者の症状
- 陰のうの腫れが徐々に大きくなる
- 歩行や座っているときに違和感や重さを感じる
- 腫れが大きくて下着やズボンが窮屈に感じる
- 急に痛みが出た場合は、他の病気(精索捻転や感染症など)の可能性もあるため注意が必要
原因
主な原因
- 胎児のときにおなかと陰のうをつなぐ管(腹膜鞘状突起)が閉じずに残る
- この開いた管を通って、おなかの液体が陰のうに流れ込む
- 成人では、陰のうや鼠径部の手術、けが、感染症の後に起こることがある
- おなかの圧力が高くなる状態(慢性的なせき、便秘、重い物を持ち上げる)が影響することがある
リスク要因
- 未熟児(早産で生まれた赤ちゃん)
- 鼠径ヘルニアや陰嚢水腫の家族歴がある
- 陰のうや鼠径部の手術を受けたことがある
- 慢性的なせきや便秘がある
- 重い物を頻繁に持ち上げる仕事や生活習慣
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 陰のうに突然の強い痛みがある
- 腫れが急に大きくなり、硬くなった
- 発熱や吐き気を伴う
- おしっこが出にくい、または血が混じる
定期受診を予約すべき場合:
- 陰のうの腫れに気づいたら、数日待っても引かない
- 腫れの大きさがだんだん大きくなっている
- 子どもで1歳を過ぎても腫れが自然に消えない
- 大人で腫れが続く、または気になる
診断
医師が陰のうを触診し、光を当てて透かす検査(透光検査)を行います。また、立ったり寝たりしたときの腫れの変化を確認します。必要に応じて超音波検査で内部の状態を詳しく調べます。
行われる可能性のある検査
- 視診と触診(目で見て、手で触って確認)
- 透光検査(懐中電灯のような光を当てて、液体がたまっているかを確認)
- 超音波(エコー)検査(陰のうの中の状態を映像で確認)
診察で予想されること
検査は痛みを伴わず、たいていの場合その日のうちに終わります。超音波検査はジェルを塗って機械を当てるだけなので、赤ちゃんでも安心して受けられます。診断後は、自然に治るかどうか、手術が必要かどうかを医師が説明してくれます。
治療
治療は年齢や症状の程度によって異なります。乳児では自然に治ることが多いため経過観察が選ばれることがありますが、成人や自然に治らない場合は手術が検討されます。
自宅でのセルフケア
- 腫れが気になっても、強く押したりもんだりしない
- 清潔を保ち、陰のうをこまめに洗う
- 締め付ける下着は避け、ゆったりしたものを身につける
- 痛みや急な変化がないか、毎日チェックする
医療治療
主な治療は外科手術です。手術では、開いた管を閉じて、たまった液体を除去します。子どもでは鼠径部の小さな切開で行うことが多く、大人では陰のうに切開を加える方法や、内視鏡を使う方法(腹腔鏡手術)などがあります。どの方法が適しているかは、年齢や全身状態、原因によって医師が判断します。
手術が検討される場合
乳児で1歳を過ぎても自然に治らない場合、または腫れが大きくなって日常生活に支障がある場合は、手術が検討されます。成人では、基本的に手術が治療の中心となることが多いです。
この病気と共に生きる
経過観察中の場合は、特に生活制限はありません。腫れの大きさや痛みの変化に注意し、気になることがあれば早めに医療機関に相談しましょう。
生活習慣のアドバイス
- 重い物を持ち上げるときは、ひざを曲げて腰に負担をかけない
- 便秘を防ぐため、水分と食物繊維を十分に取る
- 長時間立ちっぱなしの作業は、適度に休憩を取る
- 喫煙している場合は、禁煙を検討する(せきの原因になるため)
食事と運動
特別な食事制限はありませんが、バランスの良い食事を心がけ、便秘や慢性的なせきを防ぐことが大切です。激しい運動は制限ありませんが、術後は医師の指示に従って運動を再開してください。
精神的健康と心の健康
陰のうの腫れや治療について心配になることもあるでしょう。特に成人では見た目や身体の変化が気になって、不安やストレスを感じることがあります。つらい気持ちを抱え込まず、パートナーや家族、医師に相談することが大切です。
予防
新生児の交通性陰嚢水腫は先天異常の一種であるため、予防は難しいとされています。成人では、陰のうや鼠径部のけがを避けることや、慢性的なせき・便秘を治療することが、リスクを減らすのに役立つ可能性があります。
ワクチン
該当する予防接種はありません。
検診プログラム
特に決まった検診はありませんが、乳児の健康診査や家庭での観察で早めに気づくことが大切です。
合併症
治療しない場合
- 腫れが大きくなり、歩行や活動に支障をきたすことがある
- まれに、開いた管を通って腸などが飛び出す鼠径ヘルニアを合併することがある
- 陰のうの皮膚が伸びて、皮膚トラブルを起こすことがある
- 感染症(陰嚢水腫の感染)を起こすと、痛みや発熱が出ることがある
長期的な見通し
ほとんどの場合、適切な診断と治療を行えば完全に治る状態です。乳児では自然に治ることも多く、手術が必要な場合も低リスクで安全に行えます。成人でも手術後の再発はまれで、通常は問題なく回復します。
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最終更新: 2026年7月31日
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