尿管瘤(にょうかんりゅう)とは?
国際的な診療ガイドラインに基づく
概要
尿管瘤は、生まれつき尿管の一部が風船のように膨らんで、膀胱の中にできる病気です。尿管とは、腎臓で作られた尿を膀胱に送る管のことです。尿管の出口が狭かったり形がおかしかったりすると、尿がうまく流れずに膨らみができます。小さくて症状がないこともありますが、尿の流れをさまたげたり、尿路感染の原因になったりすることがあります。
重要な事実
- 尿管瘤は先天的(生まれつき)の異常で、多くの場合、子ども時代に見つかります。
- 症状がないことも多く、別の検査や健康診断がきっかけで見つかることもあります。
- 治療は症状や重症度によって異なり、経過観察から手術までさまざまです。
尿管瘤はあまり一般的ではありません。およそ4,000人から8,000人に1人の割合で起こるとされています。日本では厚生労働省の難病情報に取り上げられることはありませんが、先天的な尿路奇形の一つとして知られています。
男女比では女の子に多く見られます。多くは片側の腎臓に起こりますが、まれに両側に起こることもあります。乳児や幼児で見つかることが最も多いですが、大人になってから症状が出て診断される場合もあります。
症状
- 尿がまったく出ない(無尿)
- 高熱と震え、意識がもうろうとする
- 激しいわき腹や背中の痛み
- 子どもがぐったりして反応が弱い
- ⚠発熱(特に子ども)
- ⚠血尿が続く
- ⚠排尿時の強い痛み
- ⚠おしっこの量がいつもより明らかに少ない
- ⚠吐き気や嘔吐が続く
一般的な症状
- 尿路感染(排尿時の痛み、頻尿、発熱など)
- おなかやわき腹の痛み
- 尿が出にくい、尿の勢いが弱い
- 症状がまったくないこともある
子供の症状
- 原因のはっきりしない発熱の繰り返し
- 機嫌が悪い、ぐったりしている
- 吐き気や嘔吐
- おしっこの量が少ない、おむつがなかなか濡れない
- おなかにしこりを触れる(腎臓が腫れた場合)
高齢者の症状
- 繰り返す膀胱炎や腎盂腎炎(背中の痛み、高熱、悪寒など)
- 腰やわき腹の鈍い痛み
- 排尿困難や尿の勢いが弱い
原因
主な原因
- 尿管瘤は、胎児のときに尿管の出口(尿管口)がうまく形成されずに、尿管の一部が袋状に膨らんでできると考えられています。
- 正確な原因はまだわかっていません。遺伝的な影響ははっきりしていませんが、まれに家族内で見られることもあります。
リスク要因
- 女の子に多いことが知られています。
- 腎臓や尿管に別の奇形(重複腎盂尿管など)がある場合に合併しやすいことがあります。重複腎盂尿管とは、片方の腎臓から尿管が2本に分かれて出る生まれつきの状態です。
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 上記の「緊急」に該当する症状がある場合は、すぐに救急車を呼ぶか、救急外来を受診してください。
- 特に乳幼児の発熱やぐったり感は、重症の尿路感染のサインのことがあります。
定期受診を予約すべき場合:
- 子どもで頻尿、排尿時痛、繰り返す発熱がある場合
- 健康診断で尿検査の異常(血尿、たんぱく尿など)を指摘された場合
- 妊娠中のエコー検査で、赤ちゃんの腎臓や膀胱に異常を指摘された場合
- 成人で原因不明の尿路感染を繰り返す場合
診断
尿管瘤は、画像検査で診断します。胎児期にはおなかのエコー(超音波検査)で見つかることがあります。出生後は、腎臓や膀胱のエコー、排尿時膀胱尿道造影、MRI(磁気共鳴画像)などを組み合わせて行います。
行われる可能性のある検査
- 腎臓・膀胱の超音波(エコー)検査:腎臓の腫れ(水腎症)や尿管瘤の有無を確認します。
- 排尿時膀胱尿道造影(VCUG):膀胱に造影剤を入れて、排尿時の尿の逆流や尿管の状態を調べます。
- 腎シンチグラフィー:腎臓の機能や左右の腎臓の働き方の割合を調べます。
- 血液検査・尿検査:腎機能や尿路感染の有無を確認します。
診察で予想されること
検査は多くが痛みを伴いませんが、乳幼児では動かないように眠らせる鎮静を使うことがあります。造影剤を使う検査では、検査前に水分を摂ったり検査後に排尿を促したりする指示があります。結果は通常数日から1週間程度でわかります。
治療
治療は、症状の有無、年齢、腎臓への影響、尿の逆流の有無などによって決まります。無症状で腎機能が保たれている場合は、経過観察となります。一方、尿路感染を繰り返したり、腎臓がすでにダメージを受けている場合は、内視鏡手術や開腹手術などが必要になることがあります。
自宅でのセルフケア
- 水分を十分に摂る(医師にすすめられた量を守る)。
- 排尿を我慢せず、こまめにトイレに行く。
- 尿路感染を防ぐため、清潔を保つ(特に女の子はおしりを前から後ろに拭くなど)。
- 便秘にならないようにする(便秘が膀胱を圧迫して症状が悪化することがあるため)。
医療治療
薬物療法として、尿路感染を予防するために抗生物質を医師が処方することがあります(自己判断での服用は絶対にしないでください)。また、尿管瘤の出口を内視鏡で切開する手術や、尿管を膀胱に移植する手術、腎臓の機能がほとんど失われている場合には腎尿管摘除術(腎臓と尿管を摘出する手術)が検討されることもあります。治療法は医師が詳しく説明します。
手術が検討される場合
尿の流れが悪く腎臓に負担がかかっている場合、尿路感染を繰り返す場合、尿管瘤が大きく排尿を妨げている場合などには、手術が勧められます。手術の時期は多くの場合、乳児期から幼児期です。
この病気と共に生きる
尿管瘤と診断されたら、かかりつけの小児科医や泌尿器科医と定期的にフォローアップすることが大切です。多くは治療後、普通の生活ができます。小さなうちは、おむつ替えのときにおしっこの様子を観察しましょう。
生活習慣のアドバイス
- 水分をしっかりとる。
- おしっこの間隔があきすぎないようにする。
- 発熱、排尿時痛、尿のにごりなど感染のサインに注意する。
- 医療機関を受診するときは、尿管瘤があることを伝える。
食事と運動
特別な食事制限は通常ありません。バランスの良い食事を心がけ、便秘を防ぐために食物繊維や水分を十分に摂りましょう。運動も通常可能ですが、激しいスポーツや運動についての制限があるかどうかは主治医に確認してください。
精神的健康と心の健康
小児期に繰り返す検査や手術は、子どもにとって不安になりやすくなります。ご両親は、子どもの年齢に合わせてわかりやすく説明し、さみしい思いをしているときはそばで安心させてあげてください。思春期以降で尿漏れなどが続く場合も、ひとりで悩まずに医療者に相談しましょう。
予防
尿管瘤は生まれつきの構造異常のため、予防する方法はありません。重要なのは、早期に発見して適切な治療やフォローアップを受けることで、腎臓への合併症を防ぐことです。
検診プログラム
出生前のエコー検査で見つかることがありますが、一般的な乳児健診のスクリーニングとしては定められていません。尿路感染を繰り返す場合は、早期に泌尿器科専門医の検査を受けましょう。
合併症
治療しない場合
- 水腎症(腎臓に尿がたまって腫れること)
- 腎機能の低下や腎臓の委縮
- 重症の尿路感染症(腎盂腎炎)を繰り返すこと
- 尿の流れが滞ることで尿路結石ができやすくなること
- ごくまれに、腎不全に至ることもある
長期的な見通し
適切な治療によって、ほとんどの場合、腎機能を守ることができ、予後は良好です。経過観察の場合も、定期的な検査を続ければ日常生活にはほとんど影響がありません。手術が必要なケースでも、ほとんどは内視鏡による低侵襲な手術が選ばれ、入院期間も比較的短いことが多いです。
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情報源とガイダンス
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最終更新: 2026年7月31日
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