医療関連感染(院内感染)を防ぐために
国際的な診療ガイドラインに基づく
概要
医療関連感染とは、病院や診療所などの医療機関で治療を受けている間に新しくかかる感染症のことです。患者さん自身が持っていた菌とは限らず、他の患者さんや医療機器、環境を介してうつることもあります。多くの場合は対策で防げます。
重要な事実
- 手洗いを含む手指衛生が、医療関連感染を防ぐ最も大切な方法です。
- 薬が効きにくい菌(薬剤耐性菌)による感染が増えていますが、施設や医療者の感染対策が重要です。
- 患者さんや家族から医療者へ「手を洗いましたか?」とたずねることも予防につながります。
医療機関で治療を受けるすべての人が感染するわけではありませんが、世界共通の医療安全課題として知られており、日本でも厚生労働省が院内感染対策を推奨しています。
手術を受けた方、カテーテルや点滴などの医療機器を使用している方、免疫力が低下している方、入院期間が長い方は、医療関連感染のリスクが高くなります。
症状
- 意識がもうろうとする・言葉がつながらない
- 呼吸が速い、息苦しい
- 体温が非常に高い(または低くて震えが止まらない)
- 強い痛みのある場所が広がる
- 皮膚が冷たく湿っている
- ⚠発熱が続いている
- ⚠手術創や点滴の刺し口から膿や強い痛みがある
- ⚠尿が急に出なくなった
- ⚠下痢や嘔吐がひどく水分がとれない
一般的な症状
- 38度以上の発熱
- 手術創やカテーテル挿入部位の赤み・腫れ・痛み
- 咳や痰の増加、胸の痛み
- 排尿時の痛み、尿の濁り
- 下痢や嘔吐
子供の症状
- 原因のはっきりしない不機嫌・ぐずり
- ぐったりして元気がない
- 母乳やミルクの飲みが悪い
- 高熱やけいれん
高齢者の症状
- 急にぼんやりする、いつもと違う様子
- 食欲の急な低下
- 活動量が落ちる、ベッドから起きられない
- 体温が低い(平熱以下になることもある)
原因
主な原因
- 手を介して病原体が口や目、傷口から入る
- 点滴カテーテルや尿道カテーテルなどの医療機器を介して菌が入る
- 手術創や傷口に菌が付着して増える
リスク要因
- 入院期間が長い・再入院が多い
- 大手術や人工呼吸器の使用
- 免疫力の低下(高齢、糖尿病、がん治療後など)
- 抗生物質の使用歴が多い(耐性菌のリスク)
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 発熱や傷の赤み、腫れが悪化している
- 息苦しさや意識の変化がある(この場合は119番へ)
定期受診を予約すべき場合:
- 医療機関に入院したとき、感染予防の方法をスタッフに確認したいとき
- 慢性疾患の管理や予防接種の相談をしたいとき
診断
医師が診察し、症状のきっかけとなった医療処置の経過を確認します。感染している場所を調べるため、血液や尿、傷の分泌物などの検査が行われることがあります。
行われる可能性のある検査
- 血液培養(血の中に菌がいないか調べる)
- 尿検査・尿培養
- 創部のぬぐい液の培養
- 胸部X線などの画像検査
診察で予想されること
検査は外来や病棟で行われます。培養検査は数日かかることがあります。結果が出る前に、医師が症状に合わせて抗生物質(抗菌薬)を開始する可能性があります。また、投薬の前にアレルギーの有無を聞かれることがあります。
治療
治療は感染の種類や場所、重症度によって変わります。細菌感染には抗生物質(抗菌薬)を使用しますが、最近では効きにくい菌も増えているため、医療者が適切な薬を選びます。症状が重い場合は、点滴による抗生物質治療や入院が必要なこともあります。
自宅でのセルフケア
- 水分を十分にとり安静にする
- 熱を測り記録する
- 傷や点滴刺し口を清潔に保つ
- 処方された薬は、指示に従って最後まで飲み切る
医療治療
感染の原因となる菌に合わせた抗生物質(抗菌薬)または抗ウイルス薬などを、点滴や内服で行います。菌の種類や薬の効き方を調べたうえで、医療者が最適な治療法を選びます。膿(うみ)がたまっている場合は、切開して排液する処置を行うこともあります。症状が重い場合は集中治療が必要になることがあります。
手術が検討される場合
手術創の感染が深い場合や、膿がたまっている場合は、外科的な処置(切開・排膿)が必要となることがあります。ただし、すべての感染症に手術が必要なわけではありません。医師が判断します。
この病気と共に生きる
医療関連感染を経験したら、指示された処置や薬を継続しながら、体を休め、感染の再発や悪化のサインがないかを観察することが大切です。無理せず、気になる症状が出たら早めに医療機関へ連絡しましょう。
生活習慣のアドバイス
- 栄養バランスのよい食事を心がける
- 十分な睡眠と休養をとる
- 体調の許す範囲で軽い活動を続ける
- 手洗いを習慣にする
食事と運動
特別な食事療法が必要な場合を除いて、たんぱく質やビタミンを含むバランスのよい食事をとると体力回復に役立ちます。運動は、主治医の許可があれば、散歩など軽いものから始めてください。息切れや痛みがあるときは無理をしないでください。
精神的健康と心の健康
感染症の治療中は不安や孤独を感じることがあります。気分が落ち込む、眠れないなどの症状が続く場合は、担当医や看護師に相談してください。無理に我慢せず、家族や友人に話すことも助けになります。
予防
はい。多くの医療関連感染は、手指衛生の徹底、適切な滅菌・消毒、抗生物質の適正使用などによって予防できます。患者さん側からも、手洗いをお願いしたり、傷の様子を伝えることが予防につながります。
ワクチン
インフルエンザや肺炎球菌などのワクチンは、入院中にかかりやすい病気を防ぐのに役立つ場合があります。かかりつけ医と相談してください。
検診プログラム
病院では入院時にメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)などの保菌チェックを行うことがあります。これは、ほかの患者さんへの感染を防ぐための対策です。
合併症
治療しない場合
- 感染が血液中に入り、敗血症(全身に強い炎症が起こる状態)を起こす
- 臓器が傷つき、集中治療が必要になる
- 入院期間が長くなり、体力の低下や合併症のリスクが高まる
- 抗生物質が効きにくい耐性菌の感染が広がる
長期的な見通し
多くの医療関連感染は、早期に発見し適切な治療を受ければ、症状は改善します。予防策を守り、医療者とコミュニケーションをとることが、回復への近道です。心配なことは遠慮なく相談してください。
サポートを探す
国際機関
地域の団体
- 厚生労働省 ↗ · 日本
外部リンクは第三者のウェブサイトを開きます。Ruqelo は外部コンテンツについて責任を負いません。団体名の掲載は推奨を意味するものではありません。
必ず医師に確認してください
健康ガイドラインは国や地域によって異なります。この記事の情報は国際的な臨床ガイドラインに基づいていますが、お住まいの国の具体的なガイドライン、薬、または診療慣行を反映していない場合があります。健康上の懸念は常にご自身の医師または医療提供者と相談し、利用可能な場合は地域の国家ガイドラインを参照してください。
重要なお知らせ この情報は教育目的にのみ提供されています。専門的な医療アドバイス、診断、治療に代わるものではありません。ご自身の状況については、常に資格を持つ医療専門家にご相談ください。医療上の緊急事態が発生した場合は、直ちに最寄りの救急医療サービスに連絡してください。
関連する疾患
情報源とガイダンス
この記事は教育目的で、利用可能な場合は認知された健康情報および臨床ガイダンスの情報源を参照して作成されています。具体的な情報源リンクはトピックによって異なる場合があります。
最終更新: 2026年7月31日
教育上の注記: この情報は教育目的のみであり、診断ではありません。
免許を持つ医療者のアドバイスを補うために使い、代わりにはしないでください。
症状が重篤、悪化、または緊急の場合は、地域の救急番号に電話するか、緊急医療を受けてください。