高アルドステロン症(原発性アルドステロン症)
国際的な診療ガイドラインに基づく
概要
高アルドステロン症は、副腎というホルモンを作る臓器が、アルドステロンというホルモンを過剰に作ってしまう病気です。このホルモンが多すぎると、体に塩分と水分がたまって血圧が高くなり、カリウムという大切なミネラルが尿で失われてしまいます。
重要な事実
- 高血圧の原因のひとつで、特に治療しても血圧が下がりにくい場合に隠れていることがあります。
- アルドステロンが過剰になると、血中のカリウムが低くなることがあります。
- 原因の多くは副腎にできる良性の腫瘍か、副腎全体が厚くなることです。
高血圧と診断される人のおよそ5~10人に1人に、この病気が関係しているという報告もあります。高血圧全体から見ると珍しいわけではありませんが、見逃されていることもあります。
30~50歳の成人に多く見られます。特に、高血圧がなかなか治らない人や、血圧を下げる薬を複数使っている人にみられることがあります。
症状
- 突然の強い胸の痛みや圧迫感
- 息苦しさがひどい
- 片方の手足の力が入らない、顔がゆがむ、言葉がうまく話せない
- 意識がもうろうとする、または失神
- 激しい頭痛とともに吐き気や意識の変化がある
- ⚠自分で測った血圧が180/110以上を繰り返す
- ⚠動悸や脈が飛ぶ感じが続く
- ⚠手足が突然、強くけいれんする
- ⚠筋力が急に落ちて立てない
一般的な症状
- 特に症状がないことも多いが、高血圧が続く
- 疲れやすさ
- 筋力の低下(体がだるい、力が入りにくい)
- のどの渇きや、尿の回数・量が多い
- 手足のしびれやこむら返り
子供の症状
- 子どもではまれですが、血圧が高い、成長がゆっくり、疲れやすい、筋力が弱いなどの症状が見られることがあります。
高齢者の症状
- 高齢者では転びやすさやふらつき、筋力低下、意欲の低下、認知機能の変化に気づかれることがあります。また、不整脈を起こすこともあります。
原因
主な原因
- 副腎の片側にできる良性腫瘍(アルドステロン産生腺腫)
- 両方の副腎が全体的に厚くなる過形成
- まれに副腎のがんや遺伝性の病気が原因になることもあります
リスク要因
- 家族に高アルドステロン症や若いころからの高血圧の人がいる
- 高血圧の治療薬でも血圧が十分に下がらない
- 血中のカリウム値が低い
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 上に書いた緊急の症状がある場合は、すぐに救急車(119番)を呼んでください。
- 動悸や不整脈、強い筋力低下がある場合は、その日のうちに医療機関を受診してください。
定期受診を予約すべき場合:
- 高血圧の治療をしていても血圧がうまく下がらない
- 血液検査でカリウムが低いと言われた
- 高血圧に加えて、だるさ・のどの渇き・頻尿などが続く
診断
まず血液検査で、アルドステロンとレニンというホルモンの値のバランスを調べます。その結果が疑わしい場合には、さらに詳しい検査を行います。
行われる可能性のある検査
- 血液検査(アルドステロン、レニン、カリウムなどの測定)
- 画像検査(CTやMRI:副腎に腫瘍がないか確認します)
- 塩分負荷試験やカプトプリル負荷試験などの確認検査
- 副腎静脈採血(どちら側の副腎から過剰に出ているかを調べる検査)
診察で予想されること
診断には数週間かかることがあります。検査のために、血圧の薬や利尿薬を一時的に調整する必要がある場合があります。医師が指示した通りに薬を調整することが大切です。検査中に不安があれば、遠慮なく医師や看護師に質問してください。
治療
治療の目的は、血圧を正常に近づけることと、カリウムの低下を防ぐことです。原因が腫瘍か過形成か、患者さんの年齢や健康状態によって治療法が選ばれます。
自宅でのセルフケア
- 塩分(食塩)を控えることが非常に大切です。味噌汁や漬物、加工食品などの塩分が多い食品は控えめに。
- 自分の血圧を毎日決まった時間に測って記録する。
- 水分は、腎臓に負担がかからないよう医師の指示に従って十分に取る。
- 禁煙と節酒を心がける。
医療治療
薬による治療では、アルドステロンの働きを抑える効果のある内服薬が使われます。これによって血圧を下げ、体内のカリウムを保ちます。どの薬を使うかは、患者さんの状態に合わせて医師が決めます。薬は自分で判断して変えずに、医師の指示に従ってください。
手術が検討される場合
副腎の片側に良性腫瘍がある場合には、その片方の副腎を手術で摘出する方法が選ばれることがあります。手術で腫瘍を取り除くと、血圧が改善したり、薬を減らせる可能性があります。手術が適しているかどうかは、専門医が詳しい検査の結果をもとに判断します。
この病気と共に生きる
高アルドステロン症と診断されたら、高血圧をうまく管理するための生活習慣を続けることが大切です。治療は長く続くことが多いですが、普段の生活を工夫しながら、自分の体と向き合っていきましょう。
生活習慣のアドバイス
- 毎日同じ時間に血圧を測る。
- ストレスをためすぎないようにする(適度な休憩、趣味の時間をもつ)。
- 規則正しい睡眠を心がける。
- 飲み薬や通院の予定を忘れないように、アプリや手帳を利用する。
食事と運動
塩分を控える食事を基本に、野菜や果物を積極的に取りましょう。ただし、カリウムを増やすサプリメントや食品を勝手に大量に取るのは避けてください。運動は、ウォーキングなどの軽い有酸素運動を1日20~30分程度、医師と相談しながら行うとよいでしょう。
精神的健康と心の健康
慢性の病気と付き合うことは、時に不安や疲れを感じるかもしれません。血圧の数値が気になったり、薬を飲み続けることに負担を感じたりすることは自然なことです。そんな時は、気持ちを誰かに話すことも大切です。
予防
高アルドステロン症そのものを予防する確実な方法はまだわかっていません。ただし、高血圧や生活習慣病を予防するために、日頃から塩分を控えめにし、適度な運動を心がけることは、病気の見つけやすさや重症化を防ぐ助けになります。
検診プログラム
高血圧が続く人や、血液検査でカリウムが低いと言われた人は、早めに医療機関で相談すると、高アルドステロン症が早く見つかることがあります。特定健康診査や職場の健診を定期的に受けることも大切です。
合併症
治療しない場合
- 持続する高血圧による脳卒中や心筋梗塞などの心血管疾患
- 心臓の肥大や心不全
- 腎臓の機能低下
- 低カリウム血症による不整脈や筋力低下の悪化
- 骨密度の低下による骨折のリスク増加
長期的な見通し
この病気は、適切に治療すれば多くは良好にコントロールできます。手術で治る人や、薬で血圧が安定する人は少なくありません。治療を続けながらも、普段と同じような生活を送れるようになることが期待できます。
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情報源とガイダンス
この記事は教育目的で、利用可能な場合は認知された健康情報および臨床ガイダンスの情報源を参照して作成されています。具体的な情報源リンクはトピックによって異なる場合があります。
最終更新: 2026年7月31日
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