溶血性尿毒症症候群(HUS)とは
国際的な診療ガイドラインに基づく
概要
溶血性尿毒症症候群(HUS)は、血液中の小さな血管が傷つくことで、赤血球が壊れたり、血小板が減ったり、腎臓の働きが悪くなったりする、まれで重い病気です。細菌感染などがきっかけとなることが多く、早めの診断と治療が大切です。
重要な事実
- HUSは、腸の感染症(特に大腸菌O157など)の後に起こることが多い病気です。
- 主に子どもに多く見られますが、大人でも発症することがあります。
- HUSは緊急の治療が必要な状態で、多くの場合は入院して治療します。
HUSはまれな病気で、特に4歳以下の小さな子どもで多く報告されています。日本では年間に数百人程度の発症とされ、決して多い病気ではありません。
子ども、特に幼児で多く見られます。高齢者や、免疫力が低下している人もリスクがあります。健康な大人でも、まれに発症することがあります。
症状
- 尿がほとんど出ない、または全く出ない
- けいれん発作がある
- 意識がもうろうとする、呼びかけに反応しない
- 息苦しさがある
- ⚠血便が続く
- ⚠激しい頭痛がある
- ⚠原因のはっきりしないあざや出血がある
- ⚠極度のだるさで動けない
一般的な症状
- 血の混じった下痢(血便)
- だるさ、疲れやすさ
- むくみ(特に足や顔)
子供の症状
- 顔色が青白い、/虚弱
- あざができやすい
- 尿の量が減る(おしっこの回数が少なくなる)
- 機嫌が悪い、ぐったりする
高齢者の症状
- 血圧が高くなる
- 足や顔のむくみが目立つ
- 意識がもうろうとする、混乱する
原因
主な原因
- 腸管出血性大腸菌(O157など)による食中毒
- 細菌やウイルスによる感染症のあと
- 特定の薬剤の使用(まれ)
- 妊娠や遺伝的な要因(まれ)
リスク要因
- 生や加熱が不十分な牛肉を食べる
- 井戸水や汚染された水を飲む
- 年齢が小さい(特に4歳以下)
- 免疫力が低下している状態
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 血便がある、または下痢が数日続く
- 嘔吐や下痢がひどく、水分が取れない
- 尿の量が明らかに少ない
- 原因不明のあざや出血がある
定期受診を予約すべき場合:
- 胃腸炎の症状があって回復が遅い
- 家族や身近な人がHUSを発症した
診断
HUSの診断は、まず症状と経過を確認し、血液検査と尿検査で赤血球の破壊、血小板の減少、腎機能の低下を確認して行います。必要に応じて便の検査で原因となる大腸菌を調べることもあります。
行われる可能性のある検査
- 血液検査(貧血、血小板数、腎機能)
- 尿検査(タンパク尿、血尿)
- 便検査(腸管出血性大腸菌の検出)
診察で予想されること
診断のためには、通常、病院で採血や尿検査を行います。症状が重い場合は、そのまま入院して安静にしながら、詳しい検査と治療を進めます。
治療
HUSの治療は、体が自然に回復するのを助けることが中心です。入院の上で、水分補給や腎臓のケアなどの支持療法(体を支える治療)を行います。原因となる感染症そのものに特効薬はなく、一人ひとりの症状に合わせて治療方針が決められます。
自宅でのセルフケア
- 安静にして体を休める
- 脱水を防ぐため、医師の指示に従って水分を取る
- 状態の変化(尿の量、血色、出血)を記録する
医療治療
治療は入院で行われ、輸液(点滴)による水分と電解質の調整、重症の貧血には輸血、腎機能が低下した場合には一時的に腎臓の働きを代替する透析(とうせき)が行われることがあります。また、重症例では血漿交換(けっしょうこうかん)などの特殊な治療を検討する場合もあります。これらの治療はすべて医師の慎重な判断のもとで行われます。
手術が検討される場合
HUSに対して通常、手術が必要になることはありません。ただし、合併症が起こった場合は、その状態に応じて専門的な処置が検討されます。
この病気と共に生きる
退院した後も、しばらくは腎機能のフォローアップ(経過観察)が必要です。定期的に血液検査と尿検査を行い、血圧のチェックも続けます。疲れやすい状態が続くことがあるため、無理をせず徐々に日常生活に戻ることが大切です。
生活習慣のアドバイス
- しばらくは激しい運動や長時間の外出を控える
- 手洗いを徹底し、感染症から身を守る
- 通院を欠かさず、医師の指示に従う
食事と運動
腎機能が低下している間は、主治医や管理栄養士の指示に応じて塩分やたんぱく質の調整が必要になることがあります。回復後はバランスの良い食事と、体力に応じた軽い運動(散歩など)から始めることをおすすめします。
精神的健康と心の健康
入院中の不安や「再発しないだろうか」という心配は自然なことです。気持ちを一人で抱え込まず、家族や友人、医療スタッフに話すようにしましょう。必要に応じて心理的なサポートも受けることができます。
予防
完全に予防することは難しいですが、食中毒を防ぐことでHUSの大きな原因である大腸菌感染を減らすことはできます。
ワクチン
現在、HUSそのものを予防するワクチンはありません。食中毒予防の基本的な対策が最も重要です。
検診プログラム
特定の定期検診はありませんが、胃腸炎のあとには、尿量の減少や血色の悪さに注意し、異変を感じたら早めに受診してください。
合併症
治療しない場合
- 急性腎不全が進行し、透析が必要になることがある
- 高血圧が続く
- けいれんなどの神経症状が現れることがある
長期的な見通し
HUSは深刻な病気ですが、適切な治療を受ければ多くの子どもは回復します。特に早期に発見され、入院して十分な支持療法を行うことができれば、予後は良好です。ただし、一部の方は腎機能に影響が残ることがあるため、退院後も定期的なフォローアップが大切です。希望を持って治療に取り組みましょう。
サポートを探す
外部リンクは第三者のウェブサイトを開きます。Ruqelo は外部コンテンツについて責任を負いません。団体名の掲載は推奨を意味するものではありません。
必ず医師に確認してください
健康ガイドラインは国や地域によって異なります。この記事の情報は国際的な臨床ガイドラインに基づいていますが、お住まいの国の具体的なガイドライン、薬、または診療慣行を反映していない場合があります。健康上の懸念は常にご自身の医師または医療提供者と相談し、利用可能な場合は地域の国家ガイドラインを参照してください。
重要なお知らせ この情報は教育目的にのみ提供されています。専門的な医療アドバイス、診断、治療に代わるものではありません。ご自身の状況については、常に資格を持つ医療専門家にご相談ください。医療上の緊急事態が発生した場合は、直ちに最寄りの救急医療サービスに連絡してください。
関連する疾患
情報源とガイダンス
この記事は教育目的で、利用可能な場合は認知された健康情報および臨床ガイダンスの情報源を参照して作成されています。具体的な情報源リンクはトピックによって異なる場合があります。
最終更新: 2026年7月31日
教育上の注記: この情報は教育目的のみであり、診断ではありません。
免許を持つ医療者のアドバイスを補うために使い、代わりにはしないでください。
症状が重篤、悪化、または緊急の場合は、地域の救急番号に電話するか、緊急医療を受けてください。